ほらほらコーヒーが冷めちゃってるよ 2

好きな人に伝えたいことはできる限り直接伝えます。都々逸作っています。浦和レッズと演劇と映画と音楽が大好き! 田島亮(・中嶋将人)、成河、亀田佳明、イキウメと浜田信也。演出家・藤田俊太郎を応援しています。小林賢太郎・片桐仁、ラーメンズは永遠に好き。B'z、BrandonBoyd&Incubus、JasonMraz、大橋トリオ、Eddie Redmayne

シス・カンパニー『ベッジ・パードン』★★★★★ 

  6月からやっていたのですが、あんまり早く行くともう1回観たくなるので、最後の方のチケットをとっておきました。で、やっと観られた〜という感じ(これは1回でいいけれど(^^;))。史実に、あったかもしれないと思わせる脚色を加えているところは『ろくでなし啄木』みたいでした〜。それが今回は切ない恋物語でしたが・・。知らなかったことを演劇を通じて教えてくださり、「それならちゃんと知りたい」と思わせてもらって、三谷さんに感謝。
 全額義援金になるというので買いました、パンフ。赤十字以外にしてほしい。
楽しかったですーーーー。キャストのみなさま、匠すぎますーーー。なにから書けばいいのか・・今月で終わるのでネタバレあってもいいですよね。下宿先の外観を見せた美術と冒頭で枯れ葉が散ってきたときに季節がわかったところで、すでに心掴まれました。
漱石がまだ金之助だったころに書いたロンドン留学日記に「ベッジ」は登場しているそうです。その実在の人物(名前はアニーではなく、ペン)に目をつけ、物語を膨らませた三谷さんはさすがだわ。
『細かく当時の日記や手紙を読んでみると、そこには、下宿の使用人である<ベッジ・パードン>なる女性の名前が度々登場しています。しかも、他の記述が単なるメモのようであったり、西洋社会や外側から見た日本への論評口調も多く見受けられるのに対し、彼女や下宿での人々とのやりとりの記述には、のちの人気小説にも通じる、どこか軽妙で微笑ましい人物描写が見られます。例えば、<ベッジ・パードン>という名前は、本名ではなく、どうやら漱石が付けた呼び名らしいこと、その由来は、彼女が相手の言葉を聞き返すフレーズ “I beg your pardon? アイ・ベッグ・ユア・パードン? 失礼ですが?”が、彼女のキツイ訛りと舌足らずな発音のせいで、“ベッジ・パードン”と響き、この呼び名になったこと。』http://www.siscompany.com/03produce/33bedge/index.htm
ベッジ(=アニー)のコックニー・アクセント(ロンドンの下町)は語頭の[h]の発音が省略されるというもので、深津ちゃん、すばらしい訛りっぷりでした。かなり大変だと思います。いくら台詞とはいえ、ついふつうに言っちゃいそうだもの。その[h]のない単語が日本語の台詞になっても違和感無しっていう脚本もすごいよね〜。
訛りといえば、大泉洋ちゃん演じる畑中惣太郎は、日本語になると秋田訛りがあり、それがすごくコンプレックスになっていてバカにされたくないためにイギリスに来たという人物。大泉洋ちゃんの舞台を初めて観たけれど、すごくいいねーーーー。あまりにも自然で間がいいので本物のソータローみたいでした。←私がソータローを知っているわけじゃないんだけれど、キャスト5人のなかでいちばん自然で、驚きました。もっと大泉洋っぽくなっちゃうんじゃないかと思っていましたから。
 
(明日書き足します〜) 以下、27日追記
何度かドキッとさせられました。金之助が下宿先に引っ越してきたとき、英語がわからないので何を言われても「ありがとうございます」しか言えないとか。金之助がベッジとなら楽しくおしゃべりできると告白したら「それはあなたが私を下に見ているからよ」とはベッジに言われるとか・・(★)。ベッジはそういう環境で育ってきたんだ・・夢を話すくだりにもジーンとしちゃいました。そういうことが、後半の金之助との切ない別れに通じている気がします。今までも我慢ばかりしてきたんだろうなぁ(我慢というか。境遇への諦め)・・アニー。
そして金之助が「イギリス人の顔がみな同じに見えるんだ」と自分の頭が病んできたんじゃないかと心配するところ。なんかわかる〜(笑)そして、そこを三谷さんが面白く演出していました。だって、その金之助にかかわったイギリス人が全員同じ顔なんだもの=そう、全員浅野和之さんです。11役も!!下宿先のブレッド夫妻からビクトリア女王まで!なかでも、故Mr.ジャックと弾丸ロスには爆笑しました。すごかった〜。
そうそう・・浦井健治くんがアニーの弟グリムズビーだったことには軽く衝撃。最初、浦井くんだと思わなかったもの(ミュージカルでの王子さま系の浦井くんしかイメージになかったので。実際観たことはないのですが・・)。でもキャストが5人だから、ああ浦井くんかって認識。楽しそうでした!公演しているうちにふっきれる瞬間があったのでしょうね。端から見るとどうしようもない弟だけど、にくめないピュアなところがありました。アニーとはちょっぴり近親相姦風・・。冒頭で金之助がロンドンはそういう変な家庭が多いんだと嘆いたのを思い出しました。クリスマスのプレゼント交換のとき♪ロンドン橋の歌と♪ジャックとジルマザーグース)を歌ったのですが、ミュージカル調がよけいに笑いを誘いました。 
そして!!なんといっても深津絵里の可愛らしいことったらもぉ〜大変です。第19回読売演劇大賞中間選考の女優賞に選ばれているようです。『春琴』も良かったけれど、この『ベッジ・パードン』も深津ちゃんのベッジ以外考えられないわ。生まれ育った境遇を強く生きるひたむきさがぴったり。1973年生まれって嘘ぉーーーーーーと思うほど可憐で、それこそそばかすのある妖精のようでした。あっ、アニーにそばかすはありませんれど、イメージで。
夏目金之助という人物も、もう私のなかで萬斎さんになりました。最後ライティングデスクで肩肘つく姿は、よくお見かけする夏目漱石の写真とそっくりでしたしね。妻から手紙が来ないからって腹を立てながらベッジに魅かれ付き合い出しちゃったわけだけど(★ 子どもがいることを内緒にしておくあたり許せない!)そして最後にはベッジを捨てた・・実際はどうだったんだろう。好きだったんだろうけれど・・気になるわ〜。パンフレットに書いてあるかな〜。
イギリスのドラマで使われていそうな音楽も楽しかったです。