ほらほらコーヒーが冷めちゃってるよ 2

好きな人に伝えたいことはできる限り直接伝えます。都々逸作っています。浦和レッズと演劇と映画と音楽が大好き! 田島亮(・中嶋将人)、成河、亀田佳明、イキウメと浜田信也。演出家・藤田俊太郎を応援しています。小林賢太郎・片桐仁、ラーメンズは永遠に好き。B'z、BrandonBoyd&Incubus、JasonMraz、大橋トリオ、Eddie Redmayne

新国立劇場『温室』★★★★ 

    小劇場   座席はこんな感じ。私はA側 C1列で観ました。http://www.nntt.jac.go.jp/play/20000443_play.html
ハロルド・ピンターも深津篤史さんの演出も初体験。初めてのピンター作品はとてもおもしろかったです。会話がすごくおもしろい!「成立しない会話」を繰り広げるひとたちが。
 
作:ハロルド・ピンター 翻訳:喜志哲雄  演出:深津篤史
キャスト:高橋一生  小島 聖  山中 崇  橋本 淳  原 金太郎  半海一晃段田安則
 
『この国とも知れない、病院と思われる国営の収容施設。ここを舞台に繰り広げられる、施設の職員たちの不毛な権力争いや、不祥事の隠ぺい、職務怠慢など、滑稽ともいえるクリスマスの一日』(翻訳:喜志哲雄)
『患者「6457号」が死に、「6459号」が出産したという、部下ギブスからの報告に、驚き怒る施設 の最高責任者のルートは、秩序が何よりも重要だと主張し、妊娠させた犯人を探し出せ と命令する。 そして、ギブスは犯人が見つかったと報告するが、事態は奇妙な方向へと ...』(パンフレットより)
演出が少しくどいなぁーと思いましたが・・。もっとシンプルでも・・・回らなくても・・なんてちょっと思っています(゚O゚)\(- -; 
不安定さを表現したかったのかもですが、真っ赤に塗られた美術(机やワゴン、ソファに椅子、ヒーター、カップや電話の小物までも赤)机や椅子の足元が焦げたように黒くなっているセットがそこにあるだけで私は不安定になりましたもん。多分赤だけじゃそう思わなかったかも・・どす黒い部分に気持ちが動揺しました。(ツイン・ピークスのレッド・ ルームを思い出したよ。あの部屋のソファは黒だったけれど)
権力の保持に汲々とする男ルート(段田安則)とギブス(高橋一生)やカッツ(小島聖)の流されてゆく会話・やり取りが刺激的で楽しかったです。ルートは段田さんが演じるからか、嫌なヤツではなく、部下にうまく利用されちゃう上司って感じでした。そんなルートの滑稽さがカッツやラッシュにも見られました。国営というのがなんともねー。
いちばん怖かったのは最後、役人のロブ(半海一晃)とギブスのシーン。ものすごく不気味でした。その男が最初のほうで語られた死んだ6457号の外見『やせ形で、小柄ではなく目鼻立ちがはっきりしている、ちょっとびっこをひいている』男だったということ。背筋が凍りました。
そう思うと「6459はどんな女だ?」「太めで髪が黒い?」「金髪ではありません」「私は知らんよ」報告をしていないと言われ、いるかどうかわからない子どもの父親。作り上げられる父親。その女は全ての専門職員と関係していた?まるでカッツ嬢のようだ・・
そこはどんな施設なんだろう?どんな療養所。番号で呼ばれる患者。鍵のかけられた部屋にどんな患者たちが収容されているんだろう。パンフレットによると、ピンターはロンドンのハックニーという冷遇された土地で生まれたユダヤ人だったとのこと(まだモスクのなかった1930年代)そこからナチ政権下にあるのではと想像させられます。ピンター少年は第二次世界大戦後のイギリスでユダヤ人だったために差別の被害にあい相当辛い目にあっていたそうなんです。
あとひくわーー。半海さんが(笑)
 
ハロルド・ピンターですが、wikipediaを見たら映画は2本観ていました!『さらばベルリンの灯』と『フランス軍中尉の女』。 観ていないけれど『日の名残り』ってカズオ・イシグロの(鎌塚アカシとケシキのような?笑)ですね。名画座でやらないかなーー。
2013年7月に深津篤史さん演出の『象』が再演されるんですね。http://www.nntt.jac.go.jp/play/20000633_play.html