友人たちと別れてKAATへ。15時開演なのでゆっくりおしゃべり出来てよかった。
最前列が10列目だったので私は3列目でした。すごく近い〜。厳かで迫力ある美術セットです。古い劇場のプロセニアム・アーチ、楽屋のいくつもの化粧前ライトが夢の世界に誘ってくれました。
そこは記憶の流入する劇場。
失われた記憶が流入し、劇場は様々な記憶で満たされ、
やがて劇場自体がその記憶を帯電する。
観ながらフェデリコ・フェリーニの『8 1/2』の映像が頭に浮かびました。全然違いますが、映画的だなと思ったのです。
『「廃墟となった劇場」に、記憶を亡くした俳優たち、壁に塗り込められた音楽、鏡に透けるバレリーナの残像など、さまざまな記憶が流入し、やがて、劇場自体がその記憶を帯電する。』記憶のチップを買うことができるとか、SF的な設定ですがSFっぽくはなかったです。とても幻想的。
原案・音楽:三宅 純 構成・演出:白井 晃 出演:山本耕史、美波、森山開次、白井 晃、江波杏子
二村周作さんの美術がすばらしかったーーーーーーーー。KAATの大ホールの空間を贅沢に使った美術は圧巻でした。映像デザインの原案も二村周作さんだそうです。
伊藤佐智子さんの衣裳もすてきでしたーーーーー。←映画『空気人形』も伊藤佐智子さんです。
圧倒的にすばらしいのが三宅淳さんの音楽。それと森山開次さんがすごく良かった。声も良くて(これは前々から言っているのです)もっとセリフも聞きたかった〜。開次さん、さりげなく劇場のあちらこちらにふらりといますが、存在感があります。綺麗な長い髪をなびかせ、すごく高いところにするするといたり、ボーイになったりしますが、劇場の空間に住み着いた妖精のよう・・というか翼があるから天使のようでした。
山本耕史さんのフランス語の歌も素敵。歌を聞いたのはパワフルで切ないヘドウィグ・アンド・アングリーインチ以来です。歌といえば最初に登場した美波ちゃんが歌っているのかと思ったら歌手のLisa Papineauさんでした。違和感なかった〜。
フランス語とポルトガル語で歌われているのですが、和訳がわからないので歌詞の意味が全くわかりません。それでいいということなのでしょうか。
白井 晃さんのバレリーナ姿には驚いたーーーー。 誰かの記憶なのか、それとも彼の記憶なのか。感染する記憶。「断片的なコラージュ」という言葉がしっくりする舞台でした。劇場が記憶しているバレリーナの踊り。KAATは天井が高く音がいいのでこういう作品にぴったりね。
白井晃&三宅純インタビュー http://magcul.net
『曲と曲の間にあぶり出しのように浮かび上がるイメージのコラージュ』 http://magcul.net/focus/shirai_miyake/
『目の前で起こっている事とは別のストーリーや記憶を思い出したりする作品であって欲しい』 http://magcul.net/focus/shirai_miyake/2/#sw_page
白井さんもマッサンにご出演!
←年間何本演出するのだろう・・白井さん。出演もされるし、朝ドラも出るし・・。
記憶のチップといえばロビン・ウィリアムズ主演の『ファイナル・カット』。人の潜在意識(夢)に入り込むクリストファー・ノーラン監督の『インセプション』。←好きな映画です。『ロスト・メモリー・シアター』とは関係ありませんが、今回取り出された私の記憶です(笑)