ほらほらコーヒーが冷めちゃってるよ 2

好きな人に伝えたいことはできる限り直接伝えます。都々逸作っています。浦和レッズと演劇と映画と音楽が大好き! 田島亮(・中嶋将人)、成河、亀田佳明、イキウメと浜田信也。演出家・藤田俊太郎を応援しています。小林賢太郎・片桐仁、ラーメンズは永遠に好き。B'z、BrandonBoyd&Incubus、JasonMraz、大橋トリオ、Eddie Redmayne

映画『繕い裁つ人』★★★★ 

 さっそく邦画。ヒューマントラスト有楽町にて。←お客さま10人くらいしかいなかったよ。
監督:三島有紀子『神戸の街を見渡す坂を上ると、その店はあった。「南洋裁店」という小さな看板が掛けられた、古びた洋風の一軒家。店主の南市江が作る服は、いつも即日完売。すべて昔ながらの職人スタイルを貫く手作りの一点ものだ。 神戸のデパートに勤める藤井は、市江にブランド化の話を持ち掛けるが、まるで“頑固じじい”のような彼女は、全く興味を示さない。一代目である祖母が作った服の仕立て直しとサイズ直し、あとは先代のデザインを流用した新作を少しだけ、市江はそれで満足だった。南洋裁店の服は、世界で一着だけの一生もの──それが市江の繕い裁つ服が愛される、潔くも清い秘密だった。 だが、自分がデザインしたドレスを作りたいはずだという藤井の言葉に、市江の心に封印してきた何かが揺れ動く──。 』http://tsukuroi.gaga.ne.jp/#
 
あるシーンで、市江さん(中谷美紀)が仕立て直す洋服のほどいた糸を藤井くんに渡し、藤井くん(三浦貴大)が糸巻きにその短い糸を巻いていく、とてもとても静かな時間が好きでした。洋服好きな母のことをずっと思いながら。洋服を大事に着ていた母の影響で、よく「お直し」に出して、その時に合うように丈を詰めたり、肩幅変えたりしています。気に入って買ったものは愛着があり捨てられなくて。
恩師が市江に「死装束を作ってほしい」と言った場面で、昨年、母に、母のお気に入りだったワンピースを着せて葬儀をし、最後は棺の中、それを母にかけたことを思い出しました。お気に入りのお帽子も一緒に。
 
どのシーンを切り取っても美しい絵になる映画。キャストとロケ場所の勝利と思うくらい美しい映画でした。南洋裁店、自然光がやさしいミシンのある作業場、図書館、珈琲店サンパウロ、南洋裁店の前の坂道、神戸の街並、結婚式をした邸宅のお庭など・・。温室での夜会シーンを飾る天井からのお花も美しいのですが、ちょっと人口的なので自然の光が差し込む場所がよかったなぁ。
そして、「好きなものとだけ、シンプルに生きる」市江。私は幸せのかたちを考えながら観ていました。
頑固な二代目で、とても静かで美しい仕立て屋職人の市江が、決してお固いだけの女性ではないことが最初のお寝坊シーンでわかったことで、すごく身近に感じることができました。母親(余貴美子)とのやりとり、雑貨店主を営む片桐はいりさん演じるお友達とのシーンもそう。
三浦貴大の演じる藤井が市江の作る洋服に惚れ込みブランド化を説得するように、この映画のもう一人の主役は“洋服”。」なのでお洋服中心かと思ったら美味しそうなものが沢山出てくる映画でした。市江の母が藤田にもてなしたお団子の食べた串の多さ、珈琲店サンパウロで食べるチーズケーキの大きさにびっくりしたりも。
衣装は映画『空気人形』舞台『ベッジ・パードン』など担当した伊藤佐智子さん。お母さんのワンピース生地を使ったゆきちゃん(杉咲 花)のワンピース、おじいさんのスリーピース、夜会シーンのドレスがとてもエレガントで素敵でした。そして!藤井くんの妹(黒木 華)のウエディングドレスの可憐で可愛らしいこと!白い薔薇とスズランの髪飾り。車椅子の花嫁。お庭でのシーン、花嫁の薄いベールが風でふわぁ〜と、ゆっくり花びらが開くように上がっていきました。
 予告だけでもう涙・・『君が生きた証』『カフェ・ド・フロール』
 ゴダール『さらば、愛の言葉よ』3Dと2D。
 今まで気がつかなかった有楽町駅ホームの街灯。