「受け継ぎ、磨いていく 演劇界の巨匠、独自の世界に」(山根由起子さん、成川彩さん)「月に演出家蜷川幸雄が80歳で、10月に俳優平幹二朗が82歳で逝った。最後まで情熱の若々しい炎を燃やし続けて「生涯現役」だった。没後400年の節目を迎えたシェークスピア作品が目立ち、超大作の「ヘンリー四世」などが話題を呼んだ。」「蜷川演出の作品では、2月にシェークスピアの「リチャード二世」が再演された。羽織はかまと留め袖姿の老人たちが車いすで登場。老人と若者のペアでタンゴを踊る。老いと若さ、生死など人生の裏表を象徴的に描いた。最後の作品は5〜6月に上演されたシェークスピアの「尺には尺を」。蜷川は病室で映像を確認していたという。
「平は9〜10月に舞台「クレシダ」に出演、よどみないセリフを披露。朗々とした声と迫真の演技で最後まで大きな存在感を放った。通しで6時間以上の鵜山仁演出のシェークスピア「ヘンリー四世」では、ヘッドホンにロッカー風の衣装をまとった「ハル王子」が登場、クイーンの楽曲も流すなど、自由でみずみずしい現代感覚が際だった。中津留章仁、長田育恵、古川健らの新作も光った。」