ほらほらコーヒーが冷めちゃってるよ 2

好きな人に伝えたいことはできる限り直接伝えます。都々逸作っています。浦和レッズと演劇と映画と音楽が大好き! 田島亮(・中嶋将人)、成河、亀田佳明、イキウメと浜田信也。演出家・藤田俊太郎を応援しています。小林賢太郎・片桐仁、ラーメンズは永遠に好き。B'z、BrandonBoyd&Incubus、JasonMraz、大橋トリオ、Eddie Redmayne

藤田俊太郎が語る「美女と野獣」

 プレミアム吹替版の試写を観て。(取材・文 / 熊井玲さん 撮影 / 川野結李歌さん)http://natalie.mu/stage/pp/beautyandbeast03
『全体に脚本と演技と歌の力、演出が集結し、総合芸術として高みに到達するとこれほどまでの感動が生まれるんだなって。なんの隙もないし、文句の付けようがないですよね。脚本は昼と夜、冬と春といったバランスが素晴らしいし、きっとスコアを解読していくと音楽的にも閉塞感と解放感がきっちり計算されて構成されているんだろうなと思います。僕が涙してしまったのは、クライマックスのシーンで、CGももちろん躍動感が美しいし、役者さんの表情をキャプチャーして(物としての)画を作っているのだと思いますが、確かに時計やタンスが歌っているように見えるし、燭台なんてもう本当に素晴らしいですよね! 室内のシーンを蝋燭の灯りだけで全編撮ったスタンリー・キューブリックの映画「バリー・リンドン」が僕は大好きなんですけど、10代のときに観て「わあ、これどうやって撮影したんだろう」って思った、その驚きをこの作品では圧倒的に乗り越えてしまったなって。野犬や馬の描写も素晴らしいし、映像の長回しもうまく多用されていて……とてもひと言では言えません。』
『吉原光夫さん、なんて格好良い悪役なんだろうと思いました。ガストンが最後、塔から落ちてガサッと音だけがする、かすかな残酷さを残して朝が来て春になるんですよね。そこが印象的で胸に突き刺さりました。』
『今思ったんですけれど、「美女と野獣」で、Gorillazデーモン・アルバーンとジェイミー・ヒューレットによるイギリス出身の架空のカートゥーンバンド)のライブみたいなのをやったら面白いんじゃないですかね? 劇場でスクリーンに映画を投影して、吹替のキャストは例えばオケピ(オーケストラピット)に隠れていたりして、上映が終わると全員がオケピから姿を現すとか。一ミュージカルファンとして好き勝手を言ってるだけですが(笑)、それくらい夢が広がるメンバーですよね。』
『普遍的に誰の中にもある孤独というか、監督と俳優が役を深めたからなのかもしれません。また例えば、ベルが野獣に幽閉される檻に、父親を突き飛ばして自ら入っていくシーン。どこか違う世界に行きたいベルの憧れと、父親を守りたい一心、相反する感情が違和感なくリアルに表現させたのはバックボーンがしっかりしているからではないでしょうか。吹替版のキャストの方々も、そういった努力をたくさんしてらっしゃるんじゃないですかね。村井(國夫)さん演じるベルの父親が、ある女性の思い出話を語り、ベルの「その魅惑的な女性のことを教えてくれる?」と言うセリフに村井さんが答えて「君の母さんは」ってただひと言話した瞬間に、その女性がベルの母親で、もう亡くなっている人なんだって情報が全部わかる。村井さん、すごいなって思いました。吹替えだから姿が出ない、声だけの表現にすごみを感じます。』
『他者は遠い存在だし遠いからこそつながりたいし、僕自身に置き換えるなら他者を強く求めているから演劇って仕事を選んでいる。僕は17歳で高校中退してるんです。20歳までいろいろなバイトをして自分がやりたいことを模索していたんですけど、どこに行ってもあまり受け入れられなかった。当たり前ですよね、中卒でなんの根拠もない存在ですから。となると“そうか、やっぱり高校に行って勉強したほうがいいのか”って思ったり……そのあと幸運にも大学に受かって黒は白に反転して夜は朝になったんです、野獣のように。だからそういう瞬間はきっと僕の人生史にもあって、共感につながったのではないでしょうか。』
『(ボールルームのシーン)ベルの黄色いドレスが美しかったですね。黄色は太陽とか光の象徴ですよね。そもそも光と闇の話で、あのシーンで野獣の闇がベルの光によって浄化されていく。夜の中の太陽とか月のような美しさ、夜の奇跡というふうにも見えますね。』
『とても生意気ですが、先日「ラ・ラ・ランド」を観たときに、「なぜこれを自分が撮ってないんだろう」って思ったんです。悔しくて地団駄踏んで映画館を出ました(笑)。今後映画に携わることができたら、これまで培ってきたもの、自分の表現に対する思いをすべて注ぎ込んで、夢は大きく、できたらミュージカルを底本にした映画を監督してみたいですね。』
     その時を待っています!
俊太郎くんが「バリー・リンドン」が好きだとは嬉しい。私も大好き。何回か書いたけれど、キューブリックの中でいちばん好きなので!
あと・・新しい髪型、かっこいいですね(笑)