KAATの横にホテル建設中
「近頃発見されて話題となった、フランツ・カフカの長編小説の遺稿。これをすかさず舞台化しようという企みが、この度の公演である。困難な上演になるだろう。なにしろ、そんな遺稿なんて見つかってないのだから。
カフカ(1883〜1924)は、お馴染みの『変身』をはじめとした数々の短編小説と、『失踪者(アメリカ)』、『審判』、『城』の3本の未完の長編小説(『審判』は途中が欠落、他の2作は文字通りの未完)を遺し、親友の編集者マックス・ブロートに「遺稿は全て焼き捨ててほしい」と言い遺して天に旅立った。死因は、当時まだ不治の病だった結核。マックスは約束を反故にし、焼き捨てるどころか、全集を出版した。ひどい話だが、そのおかげで今、我々はカフカの、カフカにしか書けない小説を、幾度でも読むことができる。そして、死後100年近くを経ての、新たな長編原稿の発掘。発掘されてないのだけれど。
発掘されてない以上読めるはずがない。故に私はまだこの小説を未読だ。きっと前例に漏れず、欠損だらけだろうと憶測する。ラストシーンはあるのだろうか。全体がないのだからあるわけがないが。
「ドクター・ホフマンのサナトリウム」というのは、彼が最後の数ヶ月を過ごした療養所である。ということは、『城』のあとに書かれたのだろう。書かれてないのだけれど。「 カフカ第4の長編」は、まだ見ぬ「カフカ最後の長編」だ。人生の終焉を見つめ、それまでにない「新しいカフカ」が見つかるやも知れぬ。困難な公演だ。せめて遺稿が見つかっていればもう少し楽だろうに。」
ケラリーノ・サンドロヴィッチ
『ドクター・ホフマンのサナトリウム 〜カフカ第4の長編〜』観劇。
何もかも凄くて、大好きで、体が熱く火照ったまま電車に乗っています。
今まで観たケラさんの作品の中で一番好き!
ケラさんのカフカ愛の集大成なんだろうなぁーー。
とにかく最高でした!全部好きです。
しかもね、前川さんの『終わりのない』とシンクロしていたの〜 偶然だけどすごく嬉し〜い。
好きなところだらけ好きな人だらけのなか、武谷公雄さんがケラさんの舞台に立っていて同じく大好きな多部ちゃんにあんなことやこんなことしてて感動。しかも体はってた!音尾さんと!
武谷さん、めちゃめちゃいい顔いい体してました〜😍
麻実れいさんのあんな可愛らしい役もはじめてかも。違和感ないのも凄い。魔法かしら〜きっと魔法使える麻実さん!
エッシャーの絵のように時空を上昇し下降する美術、それだけでも見応えあるプロジェクションマッピング、照明、贅沢な生演奏、小野寺さんのスタイリッシュなステージング!
瀬戸康史くんの色気にもびっくり。ラバンからガザになったとたん放たれた色気!陥没や遠野物語のときは感じなかったのにいつの間に⁈ すごく良い俳優に色気まで増してさらにすごくなってた!
死後自分の原稿を焼いてくれと友人に頼んだザ・絶望くんのカフカに、2019年の未来からサナトリウムに迷い込んできたふたりが、死後に本が出版されたことを伝えられて良かったな〜って本気で思った。フィクションなのに😊
【作・演出】ケラリーノ・サンドロヴィッチ
【振付】小野寺修二 【映像】上田大樹 【音楽】鈴木光介
谷川昭一朗 武谷公雄 吉増裕士 菊池明明 伊与勢我無
王下貴司 菅彩美 斉藤悠 仁科幸
【演奏】鈴木光介(Tp) 向島ゆり子/高橋香織(Vn) 伏見蛍(Gt) 関根真理(Per)
美術:松井るみ 照明:関口裕二 音響:水越佳一 衣装:伊藤佐智子 ヘアメイク:宮内宏明 舞台監督:福澤諭志、竹井祐樹 演出助手:山田美紀 プロダクション・マネージャー:平井徹 技術監督:堀内真人 制作:小沼知子、桑澤恵、藤野和美、小田未希 プロデューサー:伊藤文一 制作統括:横山歩