何回観ても毎回新しいお芝居を観るような気持ちになる。苦しくてエネルギー使い果たす舞台。
ひとつの会話の中で刻々と四方に変化してゆくバーブルとフマーユーンの感情と同じスピードで私の感情も上がったり下がったり変わる。
こんなにも喜怒哀楽が行ったり来たりする作品滅多にあるものではないと思う。
だから見終わったときの疲労感がすごい。
なのにもう終わってしまうと思うと寂しくて仕方ない。
ハッピーエンドではなくて孤独感に襲われるし、「個」と「全」という生涯誰もが日々直面していくものを演劇を通じて突きつけられたからかも知れない。
フマーユーンに血を流してもらっている場面の亀田バーブルが白く儚くて消えてしまいそうで苦しい。美しいタージマハルの建築に関わってきた2万人もの人の人生を摘み取ってしまったわけだから。「美は死んだ」「俺が美を殺した」彼の心も死んでしまったかのようでした。