下北沢小劇場B1にて、さいたまネクスト・シアターの竪山隼太くんが出演している『少年Bが住む家』観劇。現在33歳の李ボラム(イ・ボラム)さんが20代のときに書いた戯曲。
14歳で殺人を犯し実刑を受けたが保護観察処分で家に戻っている20歳のデファンと、彼を護るようにひっそり暮らす家族の苦悩を加害者側の視点で描かれていた。(東野圭吾の『手紙』のように)
苦しくて暗くて重いけれど、出演者が全員素晴らしく、とても良い作品でした。
逃げずに事件のことを知らない場所に引っ越さず、その町に家族で暮らすことを選び息子に自動車整備や仕事を教える父親。息子を守りたい母親。弟に寄り添おうとしている姉。
保護観察官が話した神様と闘ったヤコブの話と乗るバスを迷ったデファンに飴をくれたお婆さんが重なる。
デファンがもう一人の自分“少年B”に問いかける。少年Bがいなくなる日は来るのだろうか?
少年Bが現れたのは舞台手前にある四角い穴。その家にぽっかり空いた穴のようにも見える。
事件から6年以上…被害者の家族に謝罪に向かう決心をしたデファン。決して赦してもらえることはないだろうけれど、それでも止まった時間が動きはじめたことはデファンの家族にとっめはほんの少しだけ救いになるのかもしれない。
甘くなかった柿が時間が経ち熟れて甘くなったというラスト……
(ストーリーとは関係ないけれど、横にふたつに切ってスプーンで柿を食べるのをはじめて見た。韓国では当たり前の食べ方なのかな?)
「この家族と世間、二者の会話にたどり着く先はあるのだろうか。答えはないかもしれない。そのとてつもなく深い谷を作り出す原因が、己自身にもあることは忘れてはならない」演出の真鍋さんのコメントより。
誰もが被害者にも加害者にも世間にもなるということ。
◆ 新演出「少年Bが住む家」
作 :李ボラム(イ・ボラム)
演出:眞鍋卓嗣
翻訳:沈池娟(シム・ヂヨン)
出演:竪山隼太、鬼頭典子、田中茂弘、森川由樹、森尾舞、斉藤淳、八頭司悠友
トークで翻訳者の沈さんのお話を聞けて良かったです。
参加者:眞鍋卓嗣さん、沈 池娟さん、名取敏行
司会・濱田元子さん(毎日新聞 論説委員兼学芸部編集委員)←毎日新聞にいつも劇評書いておられる方!
昨日初日でした。
https://www.nato.jp/topics.html#topi_1
◆「獣の時間」
作 :金旼貞(キム・ミンジョン)
演出:シライケイタ
翻訳:石川樹里
出演:西山聖了、伊藤安那、山口眞司、清水直子、内田龍磨
現代韓国演劇2作品上演という企画なので、『獣の時間』も観たくなりました。
先週、座・高円寺でお会いした渡辺さんとまた遭遇。今日は客席でお会いした占部房子さんにご挨拶できて嬉しかった。昨年隼太くんと『朝のライラック』で共演(夫婦役)した占部さん!占部さんがやられているオカノウエノラジオに今回出演の森尾舞さんがゲストに来られたのはお稽古前だったかな?