北とぴあのさくらホールにて文学座本公演『ガラスの動物園』観劇。亀ちゃん観たさに演劇の会に入ってしまった私😃
ローラ以外は同じキャスト。
シアターウエスト(270席)の初演から3年経っていたとは…。今年の6月から地方公演を重ねていて今日はその中盤、とても熟成されていた感じ。劇場も1300席(満席だったのでは⁉︎)と広くほぼ同じ美術なのがむしろ、この家族にポッカリと足りないものがある空間としてしっくりきた。照明も素晴らしかったなぁ。
3年前よりおもしろく見せているところも多く、その分「(ローラのために用意された)紳士のお客さま」の来訪で一夜にして訪れた希望から絶望へ一瞬で壊れてしまったウィングフィールド家のガラス細工のような3人に胸が締め付けられる後半。
はじめてであろう男性…しかも初恋の相手とのダンスからのはじめてのキス、はじめて覚えた幸せの感覚、ローラがちょっと積極的になったことで我に返ったジムに実は婚約者がいることを告白されたローラ。ジムが折ってしまったユニコーンの角は、テネシー・ウィリアムズの実際の姉、ロボトミー手術を受けた姉の切除された脳の一部リンクする。
ピーコートを脱ぐと1930年代です。シェイクスピアと呼ばれているトム。
冒頭で「これは追憶のものがたりです」と30代のトムが語り舞台は過去へ…20代のトムが暮らす1930年代のセントルイスのアパートに。時々おちゃめな表情を見せる亀ちゃんトム(=テネシー・ウィリアムズですね)が客席に語りかける詩のように美しいせりふについうっとり…いえ、ずっとうっとり。円盤化がないならCDでほしいくらい。
ラスト、大きな額縁からローラを見つめるトム、その後ろにウィングフィールド家の壁に掛かっている16年前に出て行った父親の額縁が見える。結局、トムは追憶…ローラを置き去りにした過去(父も母・アマンダと家族を置き去りにした)にずっと縛られて生きていくのだろうな。
「父親が家を出て以来、母子家庭として暮らしてきたウィングフィールド家の物語。かつては上流社会にいたという記憶から逃れられない母アマンダ。不自由な足を気にして現実から引きこもり、ガラス細工の動物たちにだけ心を許す姉ローラ。現実と乖離した母と姉を捨て去れず、一家を支えるためこの町で働くトム。そんな出口の見えない生活がジムという青年の来訪により変化していく。それはこの家族にとって希望の光に見えた。しかしガラス細工の動物たちが永遠の存在でないことを証明する光でもあった。トムが追憶の調べを奏でるとき、二度とは戻れない過去へと導かれてゆく。」
作:テネシー・ウィリアムズ
訳:小田島恒志 演出:高橋正徳
出演:塩田朋子、亀田佳明、梅村綾子、池田倫太朗
美術:乘峯雅寛 照明:阪口美和 音響:原島正治 衣裳:宮本宣子 振付:神崎由布子 舞台監督:寺田 修 演出補:水野玲子 制作:田中雄一朗、白田 聡
搬出のお手伝い、楽しかったです。丁寧なお仕事ぶりも見れて、すごくいい経験になりました。倫太朗くんも力仕事してました。明日は松戸で公演ですって。
今回は↓3年前と違って、ローラに感情移入することはなく、アマンダの愛ゆえの痛さが苦しかった。彼女には子どもしかいないんだもの。
新国立劇場のヴァン・ホーヴェ演出『ガラスの動物園』はイザベル・ユペールがアマンダよね。それは観たいかもって思うけれど…。
私にとってトムは亀ちゃんだから、大丈夫。