ほらほらコーヒーが冷めちゃってるよ 2

好きな人に伝えたいことはできる限り直接伝えます。都々逸作っています。浦和レッズと演劇と映画と音楽が大好き! 田島亮(・中嶋将人)、成河、亀田佳明、イキウメと浜田信也。演出家・藤田俊太郎を応援しています。小林賢太郎・片桐仁、ラーメンズは永遠に好き。B'z、BrandonBoyd&Incubus、JasonMraz、大橋トリオ、Eddie Redmayne

ホリプロ『わたしを離さないで/NEVER LET ME GO』2回目★★★★★ 

 ←赤羽駅 
 さい芸のペペロネにて今朝の埼玉新聞を読みながらのランチ。

1回目 http://d.hatena.ne.jp/Magnoliarida/20140504/1399217002  Never Let Me Go http://d.hatena.ne.jp/Magnoliarida/20140509/1399624180
2回目で最後の『わたしを離さないで』は最前列(今回はB列)・・昨日同じような席で観た友人が「見切れる」「見えない人物多数」と言っていたので、覚悟しての観劇。前回J列のセンターブロックで全部奥まで見えていたからストレスなかったけれど、最前列のサイドブロックはすごく見切れていました。これきりだったら足りなかったと思う。だって一幕の視聴覚室場面は舞台の淵ギリギリに机や椅子などが山積みされたセットなので顔はほとんど見えず、最後に誰が来たか全くわからなかったし(私は1回観ていたのと、三幕の最後でリフレインされるので鈴だとわかるけれど)防波堤の波飛沫も全然見えなかった。ああ・・せめてD列を最前にしてほしかったわ、ホリプロさん。あんまりなので2階でもいいから空いていないかなぁ〜と思ったんですが、当日券売り切れで、補助席もズラリと出来ていました。
と書きましたが、それでも、本当に素晴らしい作品でした(T ^ T)。一幕〜二幕〜三幕と、物語にどんどん追い詰められていき胸が締め付けられますから・・。冬子先生ももしかしたら・・・・ もう一回、もっと後ろの正面席で観たかったなぁ。
 
最前列の端っこだったからこそ見えた表情もあり、何度も何度もぐっときました。例えば一幕でクラスメイトにいじめられたあと、客席に背を向けて着席したもとむ(三浦涼介)が冬子先生(銀粉蝶)のお話を聞きながら大粒の涙をぽろぽろ、体育の授業があると告げられるまで滝のように綺麗な涙を流し続けていた横顔は、正面からはきっと見えなかったと思う。私までもらい泣き。
 
そして、今回すごいな〜と思ったのは、三浦りょんりょんちゃんがいちばん三幕それぞれの顔が違っていたこと。声も。年齢、体調までもちゃんと演じ分けていて、素晴らしかったです。一幕はとても無垢な少年の顔。瞳がキラキラ輝いていました。二幕はぐっと青年っぽくなっていて、八尋(多部未華子)の前では鈴(木村文乃)には見せない、人なつこい優しい顔に。三幕の二度目の提供を終えたあとの顔は元気に振るまっても、体調最悪なのが一目でわかる色のない目をしていました。それでも三幕とも儚さで包まれた寂しい顔をしていた・・それは3人ともそうでした。

揺れ動く表情が抜群の多部ちゃんのこととか、
 
「嘘をついたわけではないのよ。鈴、泣かないで」と八尋。全編にちりばめられた「嘘」のこととか、
 
     あとで 振り返ろうと 思う  けれど なんか収拾がつかない でも間違いなく引きずりそう
 
『わたしを離さないで』はクローン人間を創るところは描かれていないけれど、3月に観た英国ナショナル・シアター・ライヴの『フランケンシュタイン』では、優れた体力と人間の心を身につけた怪物が、「理想の人間」として自分を創造し棄てたヴィクター・フランケンシュタインに会いにいく場面。映画『ブレードランナー』は遺伝子工学により開発された「レプリカント」と呼ばれる人造人間が、開発者であるタイレル博士に面会に行く場面がフラッシュバック。
プロローグ、手術の傷跡が痛々しく弱り切ったケン(内田健司)という提供者と介護人の八尋の場面(*)と、繰り返される「提供」とか「オリジナル」という言葉が出てこなければ、どれだけ輝く青春ものになったんだろう。4時間弱の舞台は美しく叙情的で、とても残酷。でも、そのなかで確実に彼らはきらめいていました。ただ、だからこそ残された時間があまりにも短いことが残酷。
(*)ストレッチャーに乗ったケンは八尋にヘールシャムの思い出を話してくれと頼みました。幸せな記憶を自分の記憶に染み込ませるために。そのプロローグが終わりかけたとき、向こうからスローモーションで記憶が呼び起こされ、介護人の八尋が少女時代の八尋にシフト(回想)。(順番がバラバラな感想になっちゃうな・・) あのヘリはドクターヘリなのかな?←こう言っちゃうととたんに俗っぽくなるけれども。