日経にイキウメの劇評(内田洋一さん)http://www.nikkei.com/article/DGXMZO86971370Z10C15A5000000/
『劇団を主宰し、作・演出をになっているのは1974年生まれ、東洋大哲学科出身の前川知大。墓地にいると気持ちが落ち着くという異色の演劇人だ。日々の暮らしの裂け目にしみだすヘンなこと、コワイことをすくう言葉さばきはすでに一級品といえる。』
わ〜墓地というか私の場合霊園にいると落ち着きます〜。明日も行こうと思っていたところ。←あくまで予定。
『観客にさまざまな連想を抱かせつつ、劇はテンポよく進み、軽快にはずむ。役の転換によって場の空気も変位する演劇のゲーム性を体得した演出がうまい。日々の断片を今風の言葉で切り取る描写力も確かだ。細部の演技の輝きは、近年主流のプロデュース公演では味わえないチームワークのたまものだ。』
『夫の金銭感覚に憤り、ニートの兄の尊大さにあきれる若妻役、伊勢佳世のおかしさ。生き生きとした混乱ぶりが、日常の隣にある怪異を浮きたたせる。分身をひとり多役で演じる夫の浜田信也もフワリと奇妙な設定の中に入ってくる。おどろおどろしいオカルトにならないのがイキウメ流で「これって、ありうるかも」と見る者に信じ込ませてしまう機知がある。生の根拠などはなから信のおけないものだと告げるかのように、前川知大という劇作家は乾いた風を舞台に吹かせるのだ。』
そーーーーなのよ。「これって、ありうるかも」って、必ず思う。だからザラッと怖いのです。
『ちなみに安井には、この兄役に通じる傑作舞台がある。ネットの王様をドストエフスキーの原作とからめて描く「地下室の手記」で、やはり前川の脚本・演出。2月に赤坂REDシアターで見た安井の独演はちょっとほかにないほど見事だった。岩本幸子、盛隆二、森下創、大窪人衛らキャラクターが浮き出る役者たちを見るのも、イキウメ観劇の楽しみである。』
5月31日まで、東京・シアタートラム。6月5〜7日、大阪・ABCホール。