シアタークリエ ミュージカル『ジャージー・ボーイズ Jersey Boys』 「New Generation Team」公演レポート(取材・文・撮影/橘涼香さん)
「このミュージカル『ジャージー・ボーイズ』も大きな試練に巻き込まれたコロナ禍は、エンターティメント業界に筆舌に尽くし難い痛手をもたらした。そもそもエンターティメント自体が不要不急のものとされ、全ての劇場の灯が消えたあの日々は、いま思い返しても胸ふさがれる辛い記憶になっているのミュージカル『ジャージー・ボーイズ』も大きな試練に巻き込まれたコロナ禍は、エンターティメント業界に筆舌に尽くし難い痛手をもたらした。そもそもエンターティメント自体が不要不急のものとされ、全ての劇場の灯が消えたあの日々は、いま思い返しても胸ふさがれる辛い記憶になっている。ただ、そのなかから良いことをなんとか探し出そうとするなら、例えどんなに体調が悪くても舞台に穴を空けるべきではない、というコロナ禍以前の舞台芸術に根強く残っていた意識が、大きく転換されたことだったのではないだろうか。この意識改革は日本ではまだまだ浸透していなかったメインキャストのカバーを務めるアンサンブルメンバーや、全ての役柄の代役に入ることができるという、頭をたれるしかないスウィングを務める俳優が、公に告知される流れを生み、舞台で様々な役柄を演じるアンサンブルメンバーの地力の高さを、改めて目にする多くの機会を生んできている。」
「〜 今回ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』が踏み出した更に大きな一歩が、カンパニー内でのオーディションを経た「New Generation Team」による本公演の実現だった。ただ、そのなかから良いことをなんとか探し出そうとするなら、例えどんなに体調が悪くても舞台に穴を空けるべきではない、というコロナ禍以前の舞台芸術に根強く残っていた意識が、大きく転換されたことだったのではないだろうか。この意識改革は日本ではまだまだ浸透していなかったメインキャストのカバーを務めるアンサンブルメンバーや、全ての役柄の代役に入ることができるという、頭をたれるしかないスウィングを務める俳優が、公に告知される流れを生み、舞台で様々な役柄を演じるアンサンブルメンバーの地力の高さを、改めて目にする多くの機会を生んできている。そのなかで、今回ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』が踏み出した更に大きな一歩が、カンパニー内でのオーディションを経た「New Generation Team」による本公演の実現だった。」
「フランキー・ヴァリの大音智海は、そもそも日本でのミュージカル『ジャージー・ボーイズ』が、いまも現役の歌手として活動を続けるフランキー・ヴァリの「天使の声」、トワングと呼ばれる独特の発声をこなす、中川晃教の存在ありきではじまった初演時から、ザ・フォー・シーズンズの一員になったかもしれないハンク役他で、出演を続けてきた人材。これは演出の藤田俊太郎の功績のひとつでもあるが、様々な役柄を演じるメンバーにもどこかで必ず耳目を引く持ち場が用意されているこの作品で、大音が美しいトワングを披露した瞬間「ここに日本のフランキー・ヴァリになれる人がもうひとりいる」と感じさせた初演の記憶はあまりにも鮮烈だ。それから9年。大音自身が『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』のベイビードール役をはじめとした数々の舞台で大きな注目を集め、満を持して臨んだフランキー・ヴァリ役では、美しい歌声は言うまでもなく、芝居力の高さを強く感じさせる仕上がりになったのに目を引かれた。ザ・フォー・シーズンズのなかで誰よりもスターの輝きを持っているフランキーが、人として抱えている心の弱さや、不器用な生き方を大音が繊細に描き出したことで、フランキーが作品のなかで敢えて選んでいく苦難の道程を、なんとか応援したいという気持ちがより募ってきたのは大きな発見。踊れる強みも軽やかな動きにつながり、是非また観たいと思える大音フランキー・ヴァリの誕生に拍手を贈りたい。」
「トミー・デヴィートの加藤潤一は、これまでにも大作ミュージカルに数多く出演していて、『ロミオとジュリエット』のパリス役、『RENT』のトム・コリンズ役、『1789 -バスティーユの恋人たち-』のロワゼル役、『ラブ・ネバー・ダイ』のガングル役等々、印象に深い役柄がいくつも思い出せるキャリアが豊富だ。更に今回のTeam BLACKで演じているボブ・クルーのひと癖ありながらスマートな造形も光るなかで、冒頭盆が回って階段に座っている加藤が見えた瞬間「あ、トミーがいる」と思わせた存在感と役創りの確かさに舌を巻いた。トミーはザ・フォー・シーズンズを作った人物であり、壊滅的な危機をもたらした人物でもあるという難しい役柄だが、加藤のトミーにはイキがっていながらも、根っこの部分では音楽に対して、また、その音楽の天与の才を持つフランキーに対しての愛があることがきっちりと押さえられていて難役にシンパシーを与えることに成功している。コメディリリーフ的な役柄に多く当たっている経験値も生き、あくまでも憎めないトミーになっていたのも嬉しい。」
「ボブ・ゴーディオの石川新太は、さほど大柄ではない体躯とキュートなビジュアルで少年役や若さが際立つ役柄を演じることが多く、『ニュージーズ』のレース役や、『フランケンシュタイン』のウォルター役などの印象が殊更強いし、Team BLACKのジョーイ役の小回りの利いた芝居も小気味よいなかで、ザ・フォー・シーズンズ随一の頭脳派であるボブ・ゴーディオを、キャラクターに相応しい冷静さを持ってスッキリと演じているのに感心させられた。本人念願の役どころだったそうだし、俳優・石川新太にとって新境地を感じさせる演じぶりと相まって、ここで見せた成果は今後の大きな財産となることだろう。何よりボブ・ゴーディオの持ちナンバー「December’ 63(Oh What A Night)」の朗々とした歌いっぷりが鮮烈。改めてその高い歌唱力に、目を開かれる思いだった。」
「ニック・マッシの山野靖博も『ジャージー・ボーイズ』には初演から出演していて、バスバリトンではなく、本格的なバスの声を持っているのが貴重な人材。キャロル・キングの人生をやはりその楽曲で描いたミュージカル『Beautiful』では、アンサンブルメンバーがスターの役柄を演じる珍しい構成が生きたライチャス・ブラザーズや、藤田演出による『天保十二年のシェイクスピア』での歌声で美声を広く知らしめてきたが、そのバスの声域が十全に生きるニック役での効果は絶大。ハーモニーを創る天才であるニックをまず声で納得させていたし、ことなかれ主義で見ないフリをし続けたことが、結局自らの自尊心を深く傷つけ、何より愛したグループから離れる結果を招くニックの悲哀を、どこか淡々とした佇まいのなかから感じさせていて、唯一無二の美声を今後更に多くの場所で聞けることを願う。」
「そんな「New Generation Team」が起こした新風が、回を重ね成熟を続けているミュージカル『ジャージー・ボーイズ』自体に、原点回帰の香りを持ち込んだことも大きな功績で、ザ・フォー・シーズンズのドラマを客席も共に体感する藤田演出の目指すところが、改めて鮮やかに浮き彫りになった感が強い。それは、ニュージャージーの貧しいイタリア系の若者が、どん底の暮らしから抜け出す3つの道「軍隊に行く、マフィアに入る、スターになる」の最も実現困難な道である「スターになる」を叶えた4人の物語が、まさにここから次のステップ、次のステージを目指していく「New Generation」としての4人自身の物語と重なったからに違いない。」
私は、ソロや芝居の大きな見せ場がある主役やメインとなるキャストを“プリンシパル Principal”、コーラスやダンスに加えて1人で何役もこなしプリンシパルを支える役者やダンサーの人たちを“アンサンブル”ということは知っていましたが、プリンシパルキャストはオーディションからプリンシパルの、アンサンブルキャストはアンサンブルのオーディションを受けることが通常な世界ということを今回まで知らなかったです。
俊太郎くんは、新国立劇場でもミュージカル『東京ローズ』全キャストをフルオーディションでキャストを選んだ。これもミュージカル界にはあまりないことだったんですね。
「936名もの方々にご応募いただき、歌唱映像を全て観させていただきました。全く違う価値観を持った、お一人お一人の誇らしい生き様を観て、声を聴き、向き合わせていただきました。強い意志と覚悟を感じました。全員と今回の仕事でご一緒することはできませんでしたが、映像を通して出会えたことを心から幸せに思っています。未来でまたお会いできると信じています。素晴らしい舞台表現の創作を通して再会できるよう日々、演出家として努力し続け進んでいきたいと新たに決意しています。」
【追記】プロデューサー今村眞治さん。〜 今村プロデューサーがいなければNew Geneは存在しませんでした。溢れる愛に、心から感謝。
#JBニュージェネ の立役者、
— 大音智海 (@OTO_TOMOMI) 2025年9月9日
プロデューサー今村眞治さん。
「今回の企画は特別なことではなく
僕にとっては『至極自然な流れ』です。」
というお言葉に、胸を打たれました。
今村プロデューサーがいなければNew Geneは存在しませんでした。
溢れる愛に、心から感謝。 https://t.co/GsuoRzVoDK
元々演劇を志望して会社に入った訳ではないので、日本の演劇界の事は異動してから勉強の毎日でした。
— 今村眞治 (@tohoimamura) 2025年9月8日
だから、ニュージェネの事をこれ程皆様が賞賛してくれている事に正直驚く様な有様です。
端役から台詞が増えていき、メインキャスト、あるいは主演を勝ち取る…というのはエンタメの世界だったら、
俳優が求める当然の“欲”だと思うし、そうでなければ技術の向上はないし、演劇にその道がない訳ない筈で、私的にはこの企画は至極自然な流れだと思っていたからです。
— 今村眞治 (@tohoimamura) 2025年9月8日
但し、大切なのは実力、運も勿論ですが、タイミングとバランスだと思っていて、
JBニュージェネはそれを上手く掴んだことは間違いな
く、更にはニュージェネの皆が日頃から(Xとかも含め)常に向上心を持って、技術だけでなく俳優としての器を大きくする努力を怠らなかった事に尽き、更に藤田俊太郎さんの出自からの思いが大きくプラスに作用したからだと、冷静な目で見て思います。
— 今村眞治 (@tohoimamura) 2025年9月8日
今日改めて大音君に感謝の言葉を頂き、私の正直な
“奇跡のミュージカル”『ジャージー・ボーイズ』新たな仕掛けで再び観客を魅了 Team BLACK&Team YELLOWゲネプロレポート も載せておきます。前も載せたけれど。