ほらほらコーヒーが冷めちゃってるよ 2

好きな人に伝えたいことはできる限り直接伝えます。都々逸作っています。浦和レッズと演劇と映画と音楽が大好き! 田島亮(・中嶋将人)、成河、亀田佳明、イキウメと浜田信也。演出家・藤田俊太郎を応援しています。小林賢太郎・片桐仁、ラーメンズは永遠に好き。B'z、BrandonBoyd&Incubus、JasonMraz、大橋トリオ、Eddie Redmayne

迷子の警察音楽隊 THE BAND'S VISIT ★★★★

  映画の日なので今日はこれ。
『色の浅黒い白鳥たちが砂漠の町に舞い降り、一晩そこで羽を休めたあとでまた飛び立っていく。見送る者と見送られる者との双方に、不思議な時間を一緒に過ごしたというささやかな「記憶」だけを残して。』と沢木さんが書いていた。そんな映画だった。ホントに何も起こらない、クライマックスなんていっさいないけれど、心に沁みるいい映画だった。映像(とても殺風景な風景)も音楽もよく、丁寧な作りがよかった〜。
『文化交流のため、イスラエルにやって来たエジプトのアレキサンドリア警察音楽隊のメンバー8人。しかし、空港には迎えもなく、団長(サッソン・ガーベイ)は自力で目的地を目指すが、なぜか別の街に到着してしまう。途方に暮れる彼らを、カフェの店主ディナ(ロニ・エルカベッツ)がホームステイさせてくれることになり……。(シネマトゥデイより)』
市役所に電話しても「アレキサンドリア警察音楽隊です。」という言葉さえ通じない国で迷子になった8人編成の音楽隊を助けてくれた食堂の女主人ディナがおもしろい!ラテン系で面倒見がよく、スイカに包丁を入れるところなんて私には到底出来ない格好良さだった。困っている彼らを放っておけない性格もあるけれど、きっとそこにあるのは好奇心!だと思う・・ずっとイスラエルの田舎町から出られずにいるから刺激が欲しかったんじゃないかな(^.^)。そんなディナも、ディナの店にたむろしている、英語が話せない他の団員たちを手分けして一晩泊めることになった地元の男たちも。家族がいるのに無職中だったり、恋愛に不器用で女の子と話すと“海鳴り”がしたり、公衆電話の前で夜中彼女からの電話を待っていたり・・そんな彼らは人生の迷子だった。
“言葉もよく通じない者同士の、奇妙な一夜”・・・無職男の家(赤ちゃんがいる5人家族)にお世話になることになった3人の、お互いのすごーーく気まずい雰囲気、なんかわかる!って可笑しかった。そのほかにも笑えるシーンが多かったんだけど、あまり笑っている人いなかったみたい(^_^;)。
←このシーンがかわいかった。デート経験もない“海鳴り”男のパピくんに恋の手ほどきをするナンパ男(^.^)。そのかなりナンパ男のカーレドはナンパにチェット・ベイカーを利用。そのカーレドが歌う「サマータイム」や「マイファニーバレンタイン」もこの映画のスパイスになっていた。言葉が通じなくても音楽はひとの心をつなげてくれるから。
隣国なのに長い間敵対してきたエジプトとイスラエル。だけど、イスラエルの田舎町に住む人にはそんなこと関係ないんだろうな。冒頭で流れる『かつて小さなエジプトの警察音楽隊イスラエルに舞い降りた。もう憶えている人は少ないかもしれない。それはたいしたことではないのだから』というセリフ。この“たいしたことではないのだから”というのがそれなんだと思った。母国語が通じないので片言の英語での会話のぎこちなさは最後まで変わらないんだけど、音楽や優しい時間をもったことで心の距離が縮まったのがよくわかった。最後の、これもまたぎこちなく手を振るシーンよかったなーー。あっ、いちばんよかったのは団長トゥフィーク!!ディナと団長の会話がよかった。団長は深い哀しみを背負ったひとでした(;_;)。
しいて言えば、ラストシーンの警察音楽隊の演奏をもっと長く聞きたかったーー!!素晴らしくて胸を打たれたもの。こういう演奏会がイスラエルで実現できればいいのにね(;_;)。


←私も好きなんです、チェット・ベイカー。トランぺッターなんだけど、歌声がすごくいいの!甘くってね。



 今、公式サイトのストーリーを読んでわかったんだけど、間違えてたどり着いた町ベイト・ティクバは“希望の家”、目的地ペタハ・ティクバは“希望を開く”という意味だったのね。ちなみに団長役のサッソンさんの名前は“喜び”という意味らしい(^_^)。http://www.maigo-band.jp/main.html