ほらほらコーヒーが冷めちゃってるよ 2

好きな人に伝えたいことはできる限り直接伝えます。都々逸作っています。浦和レッズと演劇と映画と音楽が大好き! 田島亮(・中嶋将人)、成河、亀田佳明、イキウメと浜田信也。演出家・藤田俊太郎を応援しています。小林賢太郎・片桐仁、ラーメンズは永遠に好き。B'z、BrandonBoyd&Incubus、JasonMraz、大橋トリオ、Eddie Redmayne

葛河思潮社第一回公演『浮標(ブイ)』東京初日★★★★★ 

定時だと間に合わないので20分早退して吉祥寺シアターへ。すごいきれいな建物でした。横浜から遠いけれど・・・・
 劇場前におもしろそうな地下のお店。   駐輪場が。  
まいったなぁーーーーー(T^T) 田中哲司さんのどこにも哲司さんの顔は見られず青白い顔をした久我五郎がそこにいました。KAATでは(途中から忘れたけれど)「哲司さんだ」と思って観たのですよね。今夜はお顔が全然違いました。びっくり・・。
とにかく五郎さんを見ていると辛くて苦しくて・・(T^T) たまに息するのを忘れていたかも、私。砂浜に出ている時間の五郎さんが・・疲れて追いつめられ神経衰弱、とうとう爆発して暴言で人を傷つけちゃう五郎さんが・・切ないのです。ギリギリになって出てくるギリギリの言葉に、凄まじいものがあり胸が苦しくなりました。生活のため(美緒の治療費も)借金して、絵の具が買えなくて油絵が描けないでいるのに、自分の絵を侮辱した先生のことは許せない(自分は人の絵をとうとう貶してしまうのに)画家としてのプライドなのか・・。貧困で追いつめられて思い通りにならなくて自分の敵だと思うひとにぶつかってしまう悲しさ。
でもね・・五郎さんが美緒(藤谷美紀)に接するのが、優しくて優しくて優しくて果てしなく優しくて、生きてほしいから(思い通りにしたいから?かも)怒鳴るしうるさいことも言うんだけど、食べさせてあげるとか注射とか熱を計るときとかもう優しくて優しくて。最後に万葉集を読んで聞かせる声の優しいことったらもう・・甘い声なのよね。こんなに激しく誰かを愛すること(少し偏った愛だけど。←思い通りにしたい。と思う)が出来たら・・うーん、私にはムリだろうな(笑) その愛される美緒の儚いこと・・美し過ぎて消えてしまいそうです。どんどん声さえも出なくなっているのに、あるシーンでは声を荒げます。精一杯に・・自分のことではない、あることで。
素晴らしいのは五郎だけじゃなく、他の全員の登場人物の描き方。 (ここからは後ほど)(いろいろ熱く思いすぎてどう書けばいいのやら 笑)(東京の初日だしね)
いくつのシーンが印象に残っているけれど・・
タイトルの「浮標」という言葉は、海辺で京子が口にします。赤いブイ。五郎には、波が荒れていてその赤いブイが見えないんですよね・・(T^T)。
最愛のひととの時間があと1時間だったら・・。赤井(兵隊さん:大森南朋)に「私ひとりを置いて行かないでほしい」とでも言うように、でも言葉にできず何度も何度も赤井を見つめる伊佐子(安藤聖)。嫁いだ家(元はその家の女中をしていた)に一人残されるのはつらいだろう。我慢できずに「あなたがいない間に子どもが生まれたらどうしよう」と訴えるけれど、子どものことだけじゃない気がする。戻って来られないんじゃないかと決めている瞳が切ない。女は不安で、男は・・どうにもならないんだろうなぁ・・その時代に。
すばらしく完成された70年前の戯曲を長塚さんが現代に蘇らせ、それに応えて、さらにすばらしいものに出来るスタッフや役者さんたちの力って凄いとぁーーー。それを心に刻むことが出来た私は幸せです。とくに二村周作さんの仕事(美術。それは全然主張していないんですよ)は一生忘れないと思います。と、そこにいる五郎さんの背中と万葉集からこぼれ落ちる砂。
13日まで公演があるのですよね。もう何度も美緒が死んでしまったら、哲司さん(五郎)も死んでしまうのではないかと思うほど・・。神様はいるから大丈夫だとは思いますが・・。
 パンフレット、やっと読みます。
KAATの感想(たいして書いてないけれど)http://d.hatena.ne.jp/Magnoliarida/20110121
戯曲。ルビありのテキストをダウンロードしました(笑) 浮標 ブイ  三好 十郎 http://www.aozora.gr.jp/cards/001311/card49776.html