先日観た『東京福袋』のアマヤドリの作品『ゆきずり』は、フリルの序章だったのね。
ちょっと大森南朋のイメージの不思議な男シゲル(松下仁)と同じベンチに座っている、ひょろ長い加瀬亮風の大学生戸塚(糸山和則)がフリルのブラウスを着ているからフリルというわけではなく、参加した2つの演劇祭で優勝して賞金が入ったら衣装にお金を使おう・・ならフリルをふんだんに使おうみたいな感じで付けたタイトルらしいけれど(惜しくもお金は入らず)、私は戸塚のブラウスがフリルだから・・の理由でもいいな(笑)全ては戸塚の白昼夢的な・・。
アマヤドリですが、私はひょっとこ乱舞のパワー溢れるダンスにそんなに思い入れがなかったからか(作品・作風もスピード感のあるダンスも好きだけれど)、《らしさ》に大きな違いは感じず、これが今の広田さんの作品なんだなぁと思ったし、深みがあってとても好きでした。あの動きやステップは盛り込まれていましたしよ。
『フリルなんかなくても服は存在します。』 一回振り出しに戻りたかったのかな・・。♪空っぽの冷蔵庫開けていろいろ思い出しているうちにゼロがいいゼロになろうもうまっしろに(イナセンセもこう言っていますし)なろうって?
足されたもの、目に見えるものが削ぎ落とされ、空白が増えた感じ。わからないところも有りましたが(例えば、あの調査員みたいな女性=蝉の存在とその調査。吉祥寺(榊菜津美)はシゲルが愛情を注いでいたフィギュアかと思っていたら天使のような存在?)、その奥にあるだろうもの、見えないものを感じとりたいと思いながら観ていました。
美術(天井から下がった細いレーヨン?のフリンジ布が舞台の左右いっぱいに広がるカーテンのよう。平行している世界とか生きているものと生きていない幻のもの(蝉たちと生きてゆく蝉)を分けているような・・。その布に触れることができるのは蝉たちだけ?)、照明(ほの暗さがこの作品にぴったり)、さりげない音楽(←プレビューにくらべて親切になっているらしい)もステキでした。
脚本・演出:広田淳一 http://amayadori.sub.jp/?p=149 広田さん、好きだな。
ひょっとこ乱舞の『ロクな死にかた』のDVD購入。爆破した最終公演の『うれしい悲鳴』より好きな作品です。
結局、あらすじとか、観ていないひとに向けての感想は書けないな。自分用だね(笑)