ほらほらコーヒーが冷めちゃってるよ 2

好きな人に伝えたいことはできる限り直接伝えます。都々逸作っています。浦和レッズと演劇と映画と音楽が大好き! 田島亮(・中嶋将人)、成河、亀田佳明、イキウメと浜田信也。演出家・藤田俊太郎を応援しています。小林賢太郎・片桐仁、ラーメンズは永遠に好き。B'z、BrandonBoyd&Incubus、JasonMraz、大橋トリオ、Eddie Redmayne

CINRA.NET『皆既食 Total Eclipse』レビュー 

テキスト:小林英治 さん(2014/11/14)http://www.cinra.net/review/20141114-totaleclipse
『史実のエピソードをもとに作られている作品だが、ランボーヴェルレーヌの作品に接したことがない人も、この舞台を観るのにまったく支障はない。今作品は蜷川が得意とするシェイクスピア劇で見せるような大胆な舞台装置などはなく、基本的には室内の会話劇で、全編にわたってほとんど主演の二人によるマンツーマンの演技が繰り広げられる。つまり、観客は必然的に二人の俳優の一挙手一投足に集中することになり、瞬時に移り変わる生の役者の感情や息遣いをダイレクトに感じることになるのだ。重要なのは設定や時代背景ではなく、年齢も性格もまったく異なる二人の人間が、社会に背を向け、求め合いながらも反発し、傷つけ合ってしまう、否応のない心の揺れをリアルに感じること。もちろんこれは、俳優の力量がそのまま舞台の出来を左右することになるシンプルながら危うい演出だが、結果、蜷川の目論見通り「吉」と出たと言えるだろう。』
『全身で役にぶつかっている岡田のランボーは、美しく才気溢れるキャラクターという器を借りながら、幕が進むにつれて俳優岡田将生自身がその場で成長しているようにも見えてくる。おそらく日を重ねるごとに、役を自らのものにして、より大胆に内なる怪物を育てていくことだろう』
『孤独に包まれながらも過去の記憶に一筋の光を見出そうとする、終盤の悲痛なヴェルレーヌの独白は、役者としての確かな実力を感じさせる。そして最後に観客は、この作品の根底に流れる、社会への反抗と内部に抱える悪徳、その芸術的昇華というテーマが、自らも青年期にランボーに心酔し、過去に「心に異物を抱えている人物」が主人公の物語を数多く演出してきた蜷川幸雄自身の深い業を映し出す鏡ともなっていることに気づくだろう。』
 撮影:谷古宇正彦さん
 パンフレットに「私たち観客は今日、演劇そのものである演劇人が演出した詩そのものである詩人を目撃することになるのだと。ここになにがしの奇蹟が出現しないはずがない」歌人の石井辰彦さんが書いていました。