第29回読売演劇大賞 ノミネート決定! : エンタメ・文化 : ニュース : 読売新聞オンライン
上半期
◆作品賞 (公演主体)
・「帰還不能点」(2月、劇団チョコレートケーキ)
・「桜姫東文章」(4、6月、松竹)
・「フェイクスピア」(5~7月、NODA・MAP)
・「砂の女」(8~9月、キューブ/ケムリ研究室)
・「ニュージーズ」(10月、東宝/TBS)
◆男優賞 (対象公演)以下、50音順、敬称略
・阿部サダヲ「THE BEE」
・佐藤B作「ザ・空気ver.3 そして彼は去った…」
・高橋一生「フェイクスピア」
・松尾貴史「鴎外の怪談」
・村井國夫「獣唄 2021改訂版」「にんげん日記」
「高橋一生も初選出。3人が推し、1人が最高点だった。「フェイクスピア」で異なる時制や虚実の間をめまぐるしく行き来する役を演じ、「一瞬にして、体ごと役に移る身体能力の高さを感じた。せりふに 艶と体温がある」「彼の存在によって、物語の謎が解かれる展開でもブレない舞台になった」とされた。」
「森山未來、風間杜夫、川平慈英、山西惇、仲村トオル、石丸幹二、亀田佳明は及ばなかった。」
◆女優賞 (同)
・板垣桃子「獣唄 2021改訂版」「飛ぶ太陽」
・緒川たまき「砂の女」
・倉科カナ「雨」「ガラスの動物園」
・長澤まさみ「THE BEE」
・みやなおこ「堕ち潮」「ガラクタ」
「「砂の女」で妖艶な女を演じた緒川は、「得体の知れない人間像にリアリティーを伴った存在感があった。不思議な魅力を発散させている」「緒川自身が企画、演出に強く関わっていて作品の理解度の深さを感じた」と絶賛された。」
「長澤は「THE BEE」で、自宅に立てこもった男に責められる脱獄犯の妻などを演じた。「思い切りのいい、けれど繊細な演技で名作に新たな色を加えた」「なしくずしに暴力に慣れていく人間を生命力と生活感を醸し出して見事に具現化した」とたたえられた。」
「那須佐代子、増子倭文江は及ばず。明日海りお、佐藤彩香、堀奈津美を強く推す声もあった。」
◆演出家賞 (同)
・岡田利規「未練の幽霊と怪物―『挫波』『敦賀』―」「夕鶴」
・上村聡史「OSLO」「森 フォレ」
・野田秀樹「フェイクスピア」「THE BEE」
・日澤雄介「帰還不能点」「一九一一年」
・眞鍋卓嗣「インク」「海王星」
「話題作を手掛けた5人がそろった。日澤雄介は特に評価が高く、7人が推し、うち3人が最高点を付けた。「演出力の進歩が著しかった」とされ、「帰還不能点」については「一人ひとりの俳優を粒立つように動かす演出と相まって総合的に面白かった」などと絶賛された。」
「岡田利規は、夢幻能の様式で東京五輪の主会場やエネルギー問題に切り込んだ「未練の幽霊と怪物」が、「古い歴史のある能と現代を巧みに結んだ。今日的なイシュー(争点)を盛り込みながらユーモアも忘れない。観客に考えさせ、ともに作品を創ろうという姿勢がある」と好感された。歌劇の「夕鶴」も「演劇作品としても優れている」として選考対象になった。」
◆スタッフ賞 (同)
・伊藤雅子「反応工程」「友達」「ジュリアス・シーザー」
・国広和毅「OSLO」「森 フォレ」「ザ・ドクター」
・塵芥「獣唄 2021改訂版」「飛ぶ太陽」
・長田佳代子「森 フォレ」「一九一一年」
・松本大介「帰還不能点」「母 MATKA」「ダウト~疑いについての寓話」
「美術の長田佳代子が6人の推薦、4人が最高点を付ける圧倒的な評価で初選出された。「森 フォレ」は「年輪を想起させる円盤状の美術で140年にわたる波乱に満ちた家族の物語を象徴させた」、「一九一一年」は「机と椅子を組み合わせた巨大なセットが圧迫感とともに客席に迫った」と絶賛された。」
選考委員 50音順):小田島恒志(翻訳家、早稲田大学教授)杉山弘(演劇ジャーナリスト)徳永京子(演劇ジャーナリスト)中井美穂(アナウンサー)西堂行人(演劇評論家、明治学院大学教授)萩尾瞳(映画・演劇評論家)松井るみ(舞台美術家)矢野誠一(演劇・演芸評論家)