寺山修司没後30年/パルコ劇場40周年記念公演です。「寺山修司の官能的な超現実の言葉に×松本雄吉の壮大な「ヂャンヂャン☆オペラ」が挑む!」というキャッチコピー。http://www.parco-play.com/web/play/lemming/index.php
幕が上がりオープニングから五感が刺激され、夜になった今も胸の奥がきゅーーっとしています。寺山修司の演劇のことはよくわかりませんが、はじめて観た維新派の松本雄吉さんの演出はポップな印象でした。美術(林田裕至/舩木愛子)と照明(吉本有輝子)、音楽(内橋和久さんの生演奏)にも刺激されゾクゾク。流れている音楽はバイオリン+ヴィオラ+チェロという「変編成でダビングしまくりの分厚い音」だそうです。なんか血管に入ってくるような音でした。
明かりが灯るひとつひとつの窓の中にもいくつもの夢があり、誰かの夢に自分が出ているとしたら壁を壊して覗いてみたいと思いました。
ある日壁がなくなりコック1の夢がコック2の夢になり誰かの夢になり(女優?それとも別の誰か?)母の夢になり、もう誰の夢かもわからない。それとも全部コック1の夢だったのか・・。そんなふうに夢のレイヤーが歪みながら重なり、現実の時間も経過し変わっていく感じが好きでした。と、書いていて・・あれ? なにがなんだか迷宮入り。コントロール出来ない夢。
あ、「母を売る」とか「家族合わせ」とかの『身毒丸』を思い出すシーンがあったのですが・・どちらも寺山修司ですね。どちらもマザコン・・というか近親相姦的・・。『屋根裏の散歩者』の主人公が出てきた・・江戸川乱歩。
美しい世界観にどっぷり浸かった2時間。ラストシーンまで全部キレイでした。最後にキラキラ落ちてきた金色の紙は実は黒い紙でした。照明でキラキラしていたのね。
今回の片桐仁ちゃんは二枚目で、メガネはずした八嶋智人さんはひろみGOみたいで、少年の常盤貴子ちゃんが可愛かった。松重母さんは怪演という感じはしなくて仕草が結構エレガント(女優さんじゃなく松重さんをキャスティングしたのってすごいね)。アンサンブルのみなさんの7拍子のダンスシーンがすごくかっこよくて美しくて、思わず自分もそのリズムを刻んでいました。癖になるよー。振付けは、金子仁司さんと広崎うらんちゃん!あのリズムが、ステップが、体にまとわりついてきます。凄く面白かったです。
衣装もよかった〜。アンサンブルのみなさんのお着替えたくさんありました。それも楽しかった。
コック1@八嶋さんとコック2@ジンジンとの飛び交う台詞のキャッチボール。勢いよくてリズミカルで楽しかった〜。最初のシーンのやりとりでしかコックってわかりませんが(笑)服装はコックというより板前さん。壁がなくなり、現実のふたりが別々になってしまうのは切なさを感じました。それもまだ夢の続きかもしれません。わかりません。
レミング【lemming】:ネズミ科の哺乳類。体長14センチくらいで、尾はごく短い。夜行性。北欧に分布。数年ごとに大繁殖し、群れをなして大移動をする。たびねずみ。
「♪夢のネズミ算」
レミングのパンフレット、凄いです。大きさはB3の二つ折り。閉じてないのです。これで2000円は安いと思います。普段1000円以上のパンフはめったに買わない私ですが、これは買って本当に良かった。ゆっくりじっくり読みます。
もう1回観たいなーーー。