劇評「新国立劇場「ヘンリー四世」 不安な後継者 不透明な世界」(野田 学さん)http://www.nikkei.com/article/DGKKZO10292910V01C16A2BE0P00/
「佐藤B作が人間のあさましい本音を、切りかえの妙で見せる。新王となるハルに見放される老騎士の無残さも際立っていた。ハルの浦井健治はやんちゃな好青年としてひた走るが、不安の中で苦悩する姿をもっと見たい。ハルと対決するライバル、パーシーの岡本健一が熱い演技で第1部の柱となった。後継への期待と不安をにじませるヘンリー四世の中嶋しゅうが周到だ。」
「中劇場の広い舞台には廃材でできたようなバリケード状のゲートが置かれた(島次郎美術)。内部の階段でうごめく人影が、先行き不透明な時代を象徴する。」「折々でクイーンのロックが流れる。米国大統領選でトランプ陣営が自分たちの楽曲を用いることに抗議したバンドだ。不安な後継者という現代的テーマに、シェイクスピアの史劇世界を重ねる狙いだろう。小田島雄志訳。」