ミュージカル「VIOLET」 2020年9月4日(金)~6日(日)を振り返ります。
9月3日に行われた
9月2日に行われた
ミュージカル「VIOLET」舞台稽古より。(撮影:花井智子さん)
ミュージカル「VIOLET」ロンドン公演より。(Photo by Scott Rylanderさん)
現在アメリカで起きていることと重なります。
【 #ヴァイオレット の原作】
— ミュージカル『VIOLET』 (@musical_violet_) 2018年12月13日
ドリス・ベッツ著「The Ugliest Pilgrim」
(原題を直訳すると「最も醜い巡礼者」)
「Beasts of the Southern Wild and Other Stories」
という短編集の中の、わずか29ページの物語。
こちらがもととなって
ミュージカル #violet が作られてます。
(梅芸スタッフ) pic.twitter.com/uE7NI9v57X
ドリス・ベッツ著「The Ugliest Pilgrim」 (原題を直訳すると「最も醜い巡礼者」) 「Beasts of the Southern Wild and Other Stories」 という短編集の中の、わずか29ページの物語。
「Back in print at last, the nine beautifully crafted tales in Beasts of the Southern Wild and Other Storiesdisplay Doris Betts at the top of her form: compassionate, witty, and unforgettable.
"The Ugliest Pilgrim" takes you into the adventures and into the heart of a disfigured young woman who has run away from her life in search of a better one. This award-winning story is the basis for the musical Violet, which won the New York Drama Critics Circle Award. In "Hitchhiker," a wary secretary hitches a ride in a boat with a man hell-bent on saving fish; instead he saves her from the river -- and herself. And in the title story, Betts brilliantly captures the inner life of a teacher and writer struggling to control her classroom, her household, and her life.」
うわぁ。
ヴァイオレットは「ノースカロライナ州のスプルースパインに始まり、テネシー州のナッシュビル、メンフィス、アーカンソー州のフォートスミスを通って、オクラホマ州のタルサへと向かう。」
2020年3月、稽古に先がけて行われた事前レクチャーの様子より
その移動距離は「東京から福岡までの2倍くらい。だから3日くらいで行けます。アメリカの1/3を横断するようなイメージです」
スプルースパインって・・
◎ヴァイオレットの町/スプルースパイン ヴァイオレットの住む家のイメージに近いという家(撮影:藤田俊太郎)
「日本で例えると、ズーズー弁の東北のような存在です。北海道や沖縄ではなくて、(本州と)地続きの"地方"のイメージ。若者もあまりいません。過疎は進んでいます」と藤田さん。アメリカ南部は白人の貧困率が非常に高いエリア。閉鎖的な雰囲気は今もあるそうで、藤田さんは「僕が日本人というのも大きいけど、スプルースパインではほとんど誰とも話してないです」と、町行く人に話しかけても目を背けられた経験を紹介されていました。」(俊太郎くん談)
ヴァイオレットがさまざまな人と出会った長距離バス/グレイハウンド・バス(撮影:藤田俊太郎)
ちなみに移動距離は「東京から福岡までの2倍くらい。だから3日くらいで行けます。アメリカの1/3を横断するようなイメージです」だそう。でもバスで3日間と考えると、けっこう大変な旅ですよね~。
◎ヴァイオレットが会いに行く"テレビ伝道師"/オーラル・ロバーツ大学(撮影:藤田俊太郎)
「ヴァイオレットが旅に出た理由は、テレビ伝道師(テレビを使って宗教を伝える伝道師)に会って顔の傷を治してもらいたいから。その伝道師のモデルであるオーラル・ロバーツは、"信者の傷に触れると治る"などの様子をテレビで放送した人物です。劇中でヴァイオレットが伝道師と会うのはオクラホマですが、藤田さんはその人が建てた「オーラル・ロバーツ大学」に行ってみたそう。すると、なんと偶然"祈りの時間"に立ち会うことができたそう。すごい! 写真に写っていたのは、伝道師の演説に集中し、涙を流す学生たち。それはなかなかの迫力ですが、藤田さんとキャストの皆さんは「この大人数だからそう感じるのではないか」「何かを信じる、という感覚は特別ではない」などと話し合われていました。」(俊太郎くん談)
「ベトナム戦争の恐怖と戦いながら旅をした白人兵士のモンティ、当時"変わらない"と思われた価値観の中に生き、格闘し、苦悩した黒人のフリック。」
「冒頭では、キング牧師の演説「I Have a Dream」の音声に乗せて白黒映像が舞台後方の壁に映し出され、観る者を1964年のアメリカへと誘う。舞台上部には、中央に穴が空いたドーナツ型の装置が吊るされ、ステージの上手、下手、後方は階段状の舞台装置に囲まれている。デザインもサイズもさまざまな木製の椅子があちこちに置かれ、舞台の隅には「BUS STOP」と書かれたオレンジ色のバス停標識が設置された。出演者たちが椅子と旅行かばんを手に回転盆の上に集まり、ハンドルを持った運転手を先頭に2列に並んで着席すると、舞台上は長距離バスの車内へと様相を変えた。」(ナタリー記事より)
1963年8月28日
「私には夢がある」(1963年)|About THE USA|アメリカンセンターJAPAN
「南部オクラホマ州タルは1921年5月31日から翌6月1日まで黒人虐殺事件が発生した場所。タルサのグリーンウッド地区は「黒人のウォール街」と呼ばれ、同地区には裕福な黒人コミュニティがありました。ところが、エレベーターの中での黒人少年と白人少女の「出来事」が原因となって、白人暴徒によって黒人が殺害されました。原因の詳細は未だに明白ではありません。」Wikipedia
VIOLETの時代は1960年代ですが、モンティのセリフに似たようなことが出てきました。
モンティの本名はモンゴメリ。そう呼ばれるのを嫌がったのはモンゴメリー・バス・ボイコット事件のせいですか?
「メンフィスは南北戦争以前には奴隷売買の市場として栄え、20世紀以降も黒人労働力を背景にアメリカ最大の綿花集積地として発展を続けた1960年代に公民権運動が活発となり、その功労者であるキング牧師が1968年4月4日、このモーテル(ロレイン・モーテル)、306号室で凶弾に倒れた。」
モーテルの女将は白人のヴァイオレットへの嫌悪感丸出しで彼女を連れてきた黒人兵士のフリックを叱るシーンがあります。あの場所でなかったらヴァイオレットとフリックは結ばれたことでしょう。モンティとの一夜にならずに。
ミュージカル「VIOLET」
2020年9月4日(金)~6日(日)東京芸術劇場 プレイハウス
原作:ドリス・ベッツ「The Ugliest Pilgrim」 音楽:ジニーン・テソーリ 演出:藤田俊太郎 脚本・歌詞:ブライアン・クロウリー 翻訳・訳詞:芝田未希
出演:唯月ふうか(Wキャスト)、優河(Wキャスト)、成河、吉原光夫 / spi、横田龍儀、エリアンナ、谷口ゆうな、稲田ほのか(Wキャスト)、モリス・ソフィア(Wキャスト) / 畠中洋、島田歌穂
美術:モーガン・ラージ 照明:日下靖順 音楽監督・ピアノコンダクター:江草啓太 衣裳:前田文子 ヘアメイク:宮内宏明 振付:新海絵理子 音響:宮脇奈津子 映像:横山翼 歌唱指導:山川高風/柳本奈都子 舞台監督倉科史典 技術監督:小林清隆
優河ちゃんの Instagram https://www.instagram.com/p/CE0gmXGsf28/?igshid=kzrrw2rtkcef
はじまり
「演出家を選ぶにあたって何度も会議を重ねた……と言いたいところですが、このプロジェクトをやれるのは藤田さんしかいないだろうというのが弊社の総意でした。藤田さんは偉大な演出家である故・蜷川幸雄さんのもとで修練を積まれて、イギリス演劇の厳しさを目の当たりにされています。しっかりとしたストレートプレイの基礎となるセンスをお持ちのうえで且つ新しいものにチャレンジし、ミュージカル作品の実績もあり着実に評価を得ています。毎回、新しいセンスを作品に持ち込まれている藤田さんにお願いしようと、満場一致で決まり、このプロジェクトのお話をさせていただきました。たまたまトムが演出された『タイタニック』の初演を観られていて、トムの感性にシンパシーを覚えていらした藤田さんから、ぜひやりたいとのお返事をいただきました。」
追記
モンティ成河くんブログより
9月8日の読売新聞夕方に『VIOLET』劇評(小間井藍子さん)