新国立劇場中劇場にて朗読劇『湯布院奇行 』観劇。
幕間。なんか声が纏わりついてくる。
ちょっとだけの金縛り感に体が硬直している。恐ろしく緊張した時間。
これから二幕へ #湯布院奇行 と呟く。
朗読劇を中劇場ってもつのか?と思っていたけれど舞台空間を大きく使った土井裕泰さんの演出にその心配は杞憂でした。私は5列目のセンターブロックだったのでサイドや後方列からどう見えたのかはわかりませんが。
100分なのか100日なのか、バグなのか、夢なのか、湯布院なのか、初台なのか…。マカオかもしれない(嘘)
成田凌くん、黒木華ちゃん、コムアイさんの歌唱(だけじゃなかったコムアイさん!)日高理樹さんの生演奏、照明、音響、映像、まるまると素晴らしかった。
燃え殻さんの夢か現実か、戻れるのか戻りたくないのか…夢にとりこまれたいのか、のような本。読んでいないわからないけれど佐藤佐吉さんらしい脚色。これは江戸川乱歩シリーズ見ているひとは頷いてくれるはず。江戸川乱歩がお好きな方はぜひ。
とりあえずお湯ためながら落ち着く。
主役の作家である「僕」成田凌くんの耳触りの良い声。早口なのに美しい言葉がスッと入ってくる(早口なのに噛まない😳)。彼だけが現実にいるような… のだけれど遠くへ行きたいらしい…
「しのぶ」「片桐さん」「〈僕〉の母」3役を演じた黒木華ちゃんの声にのみ込まれたわ~魔性だわ~鈴を転がすような声なのに怪物だわ~。逃げられないわ〜。とりこまれてもいい。
「元カノ」も演じた歌唱のコムアイさんの永遠に続きそうな高笑い。個性的で綺麗な歌声。
もう眠れないかも…正正正T
朗読劇『湯布院奇行(ゆふいんきこう)』
出演:成田凌 黒木華 <歌唱>コムアイ
原作:燃え殻 脚本:佐藤佐吉 演出:土井裕泰 生演奏:日高理樹
企画:佐井大紀 美術:乘峯雅寛 照明:齋藤茂男 音響:佐藤日出夫
衣裳:Babymix ヘアメイク:中村了太 映像:溝上水緒 劇中絵画:平井豊果 劇中曲:坂本慎太郎
舞台監督:加計涼子 演出助手:河合範子 宣伝美術:熊谷菜生 原作 構成協力:嘉島 唯
◆あらすじ◆
物語の主人公は、緊張が絶えない都会の日常に“バグ”を起こしてしまった小説家の「僕」(成田凌)。限界を迎えた朝のラッシュ時、気がつけばアルコール度数の高いロング缶を片手に脂汗をポトポトと垂らしながら、恩人である現代美術家の沖島にメールを送っていた。
「死にたいときってどうすればいいんですかね」
そんなこじれた十代のようなメールへの返信は
「旅に出なさい。
いつもより遠くまで。
死にたいという感情は遠くに行きたいということです」
沖島の指示のままに僕は湯布院の渓谷堂という喫茶店にたどり着き、「忍」という女に迎えられた。自らの“バグ”について語っていた筈の僕だったが、ふと目を覚ますと旅館の一室にいた。
僕「いつからそこに?」
忍「いやだわ。ずっとですよ」
僕「僕とあなたはさっきまで溪谷堂の一階の喫茶店に・・・。そのあと、どうやってここに・・・」
ただ静かに微笑む忍を後に部屋を出た僕は、廊下で忍と瓜二つの女性「片桐」と出会う。戸惑う僕を片桐が笑う。
「バグってらっしゃるのかしら」
片桐は沖島からのもう一通の手紙を読むよう告げる。そこに書かれていたのは、
「どんなに心地良かったとしても、百日以上滞在してはいけませんよ。
百日滞在してしまったら、
君は、
綺麗さっぱりこの世界から溶けてなくなってしまいますからね」
今日到着したばかりだと笑う僕に、忍が言う。
「ここに来られてもう一週間。早いですねえ」
食い違う会話に恐れを抱いた僕は、柱に滞在日数を刻み込もうとして、言葉を失う。
そこには、僕の字で「正」の字と二本、一週間分の日にちが刻まれていた・・・。
湯布院で織り成される夢とも現ともつかぬ世界に、彼は次第に翻弄されていき、やがて…
Shintaro Sakamoto - 動物らしく
始まる前に流れていた曲。「動物らしく」で検索したら曲名もそれでした。
朗読劇「湯布院奇行」
9/29 19:00公演 ライブ配信(10/6 23:59までアーカイブ配信あり)
チケット購入⇒yufuinkikou.com