KAAT 大スタジオにて、た組の『ぽに』観劇。L2列というサイドの席。
「責任には出口が無いということを鬼ごっこをベースに、ごっこ遊びとして演劇にした」とあるのでぽにのアクセントが「鬼」なのか(「ポニョ」ではない)。ぽにごっこ…永遠に終わらない。
児童公園のお砂場のようなセット(綱の後ろの席は気の毒だ)も見終わりと薄ら寒く感じる。
登場人物全員が責任を取ろうとしない気持ち悪さ。それらに思い当たるふしがある、日常的に。
松本穂香ちゃんがとても良かった。ぽわんとした雰囲気に合っているNOと言えないメンヘラ気味の円佳。最初誰かわからなかった藤原季節くん演じる役者だという誠也のクズっぷりが凄い…だけど彼は円佳の本質(いい加減。投げ出すことはないけれど)を突いていると思う。だから、ぽわんな円佳を体目当てで利用しているだけだろう。
やんちゃを通り越して生意気な5歳児れん役の平原テツさんがとてもいい。れんの母親も子育てに無責任。帰宅時間の遅れをシッターの円佳に連絡もしない。その時大きな地震があり…マンションに戻れなくなる。
円佳が置き去りにした5歳のれんが体感43歳の「ぽに」になり訪ねてきたのだけど、足から壊死がはじまっていた。本体が見つからない?ということは生霊?地震の被害にあって瀕死なのか?「ぽに」って…生霊?2回書いちゃった。れんが「ぽに」なって来たから円佳は救われたのか?円佳の妊娠はその後どうなったのか?
津村さんはやっぱり…😏役だ(既視感あり)。
作・演出:加藤拓也
出演:松本穂香 藤原季節
平原テツ 津村知与支 豊田エリー 金子岳憲
秋元龍太朗 安川まり
音楽:谷川正憲(UNCHAIN) 舞台監督:竹井祐樹 美術・衣裳:山本貴愛 照明:吉本有輝子(真昼) 音響:小川陽平 演出助手:葛西祥太
あらすじ「円佳(23歳 松本穂香)はやりたい事が見つからず、ひとまず海外に行く事を目標として、時給1000円でバイトシッターをしている。好きな人である誠也(24歳 藤原季節)の家に頻繁に寝泊まりしながら、生意気でシッターを奴隷扱いする男児・れん(5歳 平原テツ)の家から最近よく指名をもらっている。
ある日、いつもの様にバイトへ向かうが、業務中に起きた災害によって円佳はれんと避難せざるを得なくなる。しかし避難所は定員で入れず、2人は彷徨う事に。そんな最中、れんはいつも通り横暴で、限界に達した円佳はれんを置き去りにしてしまう。円佳が誠也の家に帰宅した翌朝、れんは43歳の姿になって訪ねてくる。れんは「ぽに」になって訪ねてくる。」
加藤拓也さんのコメント『「ぽに」というものの始まりは近所の銭湯で鬼ごっこが最悪の永久機関ゲームなんだという秘密に気付いてしまったことからでした。つまり鬼ごっこの終わらなさからです。存じない方にも向けて説明しますと鬼ごっこという遊びは鬼役が人間役を追いかけ、タッチする事で永遠に役を押し付け合うというルールのもと、夕方5時に公園で解散したとて遊びは終わらず、鬼役だった人は鬼役のまま翌日の遊び時間まで持ち越し、鬼はまた人間を追いかけて役を押し付け合う出口無しの無限ゲームです。』
コインロッカーはよしおの背番号。
【11月7日追記】
演劇というライブ空間で味わう、演技者・松本穂香の力量 『ぽに』が描く現実との地続き https://realsound.jp/movie/2021/11/post-896739.html @realsound_mより