世田谷パブリックシアターにて『お勢、断行』千秋楽観劇。2階A列にて。素晴らしかった。もっと早く観て、もう一回観たかったなぁ。
ちなみに2年前感染防止策のため全公演中止になってしまった公演です。無事幕が上がり東京公演千秋楽おめでとうございます。これから兵庫・愛知・長野・福岡・島根を巡演。完走できますように。
倉持さんはからくりセットの使い方が最高に上手くて美しい。高さがあるので前だと見上げることになるから2階から観て良かったかも。
人間関係も其々の企みも箱根寄木細工のように動き、紐解かれ、解ける。仕掛けの数はいくつあったんだろう。今回も女性陣の衣裳🐙がとても美しくて大好き。←衣裳は『お勢登場』と同じ太田雅公さん。そして誰も衣裳負けしていなかった!
森下亮さんが「乱歩の世界から飛躍する見事な構成の中にそれぞれの断行が詰まってた。役の欲求から俳優の業みたいなものが見えて満足度高かったです。行き交う時間を連れて来る美術が美しかった。」とTweet。そう、行き交う時間を連れてくる美術なんですよ。私が観たこれまでの倉持さん作品(本多劇場の鎌塚氏シリーズの盆の演出も大好き)のいちばん大掛かりな仕掛けでした。斎藤ネコさんの音楽も良かったーー。
あらすじ「大正末期、資産家の松成千代吉の屋敷に身を寄せた女流作家、 お勢(倉科カナ)がいる。その屋敷には、千代吉の娘(福本莉子)と住み込みの女中(江口のりこ)、そして千代吉と小姑(池谷のぶえ)からの圧力に苦しむ後妻(大空ゆうひ)がいた。
ある日、千代吉に屈辱を受けた代議士(梶原善)は、 後妻と結託し、松成家の財産をすべて奪い去ろうと、千代吉を狂人に仕立て上げる計画を練る。女中、精神病院の医院長(正名僕蔵)、貧しい電灯工事夫(堀井新太)らを巻き込み、首尾よく進むかに見えたが、第一の殺人がおき、計画は思わぬ惨劇へと突き進むーーー」
「江戸川乱歩『お勢登場』の主人公である悪女お勢を、大正末期から昭和初期という時代背景はそのままに、また別の欲望渦巻く場所で活躍させたい、と思ったのが始まりだった。」と倉持さん。
すごい寝られた脚本でした。乱歩もびっくり・・するかな。
【原案】江戸川乱歩 【作・演出】倉持 裕 【音楽】斎藤ネコ
【出演】倉科カナ 福本莉子 江口のりこ 池谷のぶえ 堀井新太 粕谷吉洋 千葉雅子 大空ゆうひ 正名僕蔵 梶原 善
倉持さんで、江口のりこさん、池谷のぶえさん、千葉雅子さん、正名僕蔵さん、梶原 善さんがいて面白くないわけない。中でも江口のりこさんと池谷のぶえさんが素晴らしかったな〜。倉科カナちゃんも素晴らしいけれど、声が少しわざとらしく思えてしまった。前回の「お勢」が、声がもう魔性の黒木華ちゃんだったからなぁ。ごめんなさい。
『お勢、断行』(2022年)トレーラー
『お勢登場』 trailer movie 2017/02