第30回読売演劇大賞が決定
大賞は授賞式で発表!
最優秀作品賞=劇団チョコレートケーキ「生き残った子孫たちへ 戦争六篇」
最優秀男優賞=段田安則
最優秀女優賞=上白石萌音
最優秀演出家賞=五戸真理枝
最優秀スタッフ賞=前田文子
杉村春子賞=大原櫻子
芸術栄誉賞=草笛光子
選考委員特別賞=舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」
第30回読売演劇大賞 大賞発表は24日 : 読売新聞オンライン
最優秀作品賞 「生き残った子孫たちへ 戦争六篇」 劇団チョコレートケーキ
近現代史が題材の劇を手がけてきた劇団チョコレートケーキの集大成的企画。沖縄戦の悲劇を描いた新作「ガマ」のほか、「帰還不能点」「 無畏(むい)」「追憶のアリラン」、短編の「〇六〇〇 猶なお二人生存ス」「その頬、熱線に焼かれ」を集中上演した。
戦争 まさに進行中の問題突きつけた(審査評 西堂行人)「劇団チョコレートケーキのこの1年の活躍は演劇界にとって大きな意味があった。コロナ禍とロシア・ウクライナ戦争のさなか、新作1本を含む6本の舞台を1か月近くにわたり連続上演した。そのいずれもが戦争を扱う秀作で、今まさに進行中の問題を観客に突きつけ、考えさせた。古川健の劇作は太平洋戦争や沖縄戦など過去の歴史を検証しつつ、戦争はいまだ終結していないことを明らかにし、複数の舞台に出演した岡本篤、浅井伸治、西尾友樹の粒ぞろいの俳優陣がそれをよく担った。日澤雄介のきめ細かい演出は、長田佳代子の美術などスタッフ陣を集約し、演劇の根底にある創造する集団のパワーを再認識させるものであった。無謀ともいえる小劇団の挑戦は、数年続くコロナ禍で 萎縮気味だった演劇の力を回復させ、困難な時代に直面する我々に「生きる」勇気と希望を与えた。それは一つの“事件”であり、今後の演劇界を前進させる起爆剤になりうると確信した。」
選考委員特別賞 舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」
魔法世界の日々現出…審査評(小田島恒志)「魔法使いの正装であるガウンの裾を「ぶわさっ」と翻すと、机などの小道具、大道具がはけていく。今歩いていたと思った人物が光の壁の中へ消えていく。魔法で吹き飛ばされた人物が、逆さまになって宙に浮かぶ。大仕掛けのイリュージョンや美しい群舞に加えて、こうしたちょっとしたマジックが随所に織り込まれているが、それを 悉く「人力」で行っている。これを成し遂げるには、舞台上での俳優陣の努力もさることながら、舞台裏で働くすべての人たちの並々ならぬ集中力とプロの技が必要となることは想像に難くない。いや、それどころか、そう思わせないほどの完成度の高さで、つまり、当たり前のように、魔法界の日々の光景を自然に現出させている。その上で、親子、家族、仲間、友人、師弟などの「愛」を巡るこの物語がきめ細やかに演じられるのだから、観客の胸に迫らないわけがない。舞台演劇が「総合芸術」であることをまざまざと感じさせる見事な舞台であった。」
ハリポタも素晴らしいけれど海外と同じ台本・演出だから、やっぱりオリジナルの脚本の力は強いと思う。