昭和に起きた大事件のアナザーストーリーを描いた高橋いさをさんの4作品「獄窓の雪─帝銀事件─」「夜明け前─吉展ちゃん誘拐事件─」「好男子の行方─三億円事件─」「あなたはわたしに死を与えた─トリカブト殺人事件─」を、2つの劇場で一挙に上演するという企画。
友だちとクールダウンする時間があってよかったけれど、ルヴァン杯負けてしまった気持ちを引きずりながら(優勝する予定だった😭)3本目の初日を見届けるため、すみだパークシアター倉へ。
高橋いさを作・田島亮演出『夜明け前─吉展ちゃん誘拐事件─』初日観劇。
出演:杉木隆幸・山像かおり・五島三四郎・筑波竜一・佐河ゆい・荒木理恵・奥野亮子・根津茂尚・かんのひとみ・田島亮
「1963年3月、翌年に東京オリンピックが開催されるその年、東京台東区に住む一人の少年が誘拐される。中原家の末っ子である満は公開された犯人の声が自分の兄であると確信し、他の兄弟姉妹に相談する。身内の犯した犯罪に右往左往する人々。果たして、彼らの下した決断は? 吉展ちゃん誘拐事件を犯人の兄弟姉妹の視点で描く。」
初日なので少しだけ。容疑者家族と愛人の葛藤(愛人が若かったら違っただろうと思う)、そこには被害者の家族も見える。素晴らしく見応えあるのでぜひ観に行ってほしい。
亮ちゃんの中原保、凄かったなぁ。とくに三四郎さん演じる(公開された声から保が犯人だと家族と警察に言い立てる)弟・五男の満とのやりとりに感情が揺さぶられ、そこには兄弟の愛があるというのがわかる高橋いさをさんのせりふにブワっと…。兄弟のいない私は保の愛人キヨ子(山像かおりさん)が保の兄・次男の弘二(筑波竜一さん)に言ったセリフが沁みてしまう。
昨日一昨日の2作に比べてすごく重い作品で、私は吉展ちゃん誘拐の容疑者の家族の父親が亡くなり、その棺のある部屋での兄弟の場面から涙が出てしまい、その涙のままラストの平塚八兵衛刑事の言葉(刑事は出てこない)が保を自白に追い込む場面になり終わるので、カーテンコール直後に写真撮影OKと言われても気持ちがすぐに切り替えられなかった… 撮ったけど。
田島亮ファンとしては、素晴らしく仕上がった演出作品を2本も観ることが出来て、出演する2作品はどちらも二つの面がある役なのがすごく嬉しい(福島弁の方言もあり、すごく難しいよねー)。「獄窓の雪」の竹内は頭の切れる記者なのに女性の前ではウブで可愛いし、竹内はモノローグで物語を繋いでいく役割を担っているもの私好み。「夜明け前」の保は家族や愛人の前ではとても幼い、そのなかにある闇の深さが端々に(『nursery』の主人公ルディとエリックのような)。
Acting Space×オフィスリコ×ISAWO BOOKSTORE公演 昭和大事件連続上演
スタッフ:舞台美術/銀ゲンタ 音響/丸山慶将(tone pocket) 音響オペレーター/佐藤凛(tone pocket) 照明/葛生英之(kiesselbach) ヘアメイク/本橋英子 演出助手/杉浦一輝(ぽこぽこクラブ)大川日南(ハルベリーオフィス) 舞台監督/砂山裕季(TEN WORKS) 制作/アルジェントカンパニー 制作補助/Muu 制作協力/ハルベリーオフィス 企画協力/田島亮 プロデューサー/北田万里子 銀ゲンタ 主催/オフィスリコプロダクション株式会社
アフタートークのサプライズゲストにルーキーズで共演した小出恵介くんが来てくれたのも嬉しかった。亮ちゃんがアバランチの役作りのためにお世話になったジャーナリストの中村竜太郎さんが小出くん(芸能活動を休止していたときに取材したことからの付き合いだと)に今日のことを話したら観たいと言ってくれたということでした。中村さんも小出くんも揃って亮ちゃんの演劇にたいする情熱と勉強していることを褒めてくれて、亮ちゃん照れてました。小出くんとはルーキーズの後に野田地図のワークショップでご一緒したんだって。
いつか一緒に作品作れるといいね。
「夜明け前-吉展ちゃん誘拐事件-」特報
毎晩違う姿を見せてくれたスカイツリー。
【追記】中村竜太郎さん「先日TIFFトークショーに登壇した小出恵介さんを誘って観劇。」
先日TIFFトークショーに登壇した小出恵介さんを誘って観劇。「どこが劇場の入口?」とうろうろする私に「中村さん」と声をかけてきたのは本公演の主役・田島亮さん。するとふたりが顔を見合わせ驚き、「恵介!」「優成!」とがっちりハグ。ROOKIESで共演した両氏。劇的再会をセルフィー📸😃#光への道は… pic.twitter.com/CvNPkX3Afa
— 中村竜太郎|ジャーナリスト (@ryudrajp69) 2023年11月5日
吉田晴人くんのイケてる先輩・碓井将大くんと吉田晴人くんもInstagramに。「出演されている役者の方皆さんのレベルが高すぎて、僕も血が騒ぎました。ぜひ、度肝を抜かれたい方は足を運んでください〜🦵」
高橋いさをさんのブログ「本作において、犯人を含め、登場人物はみな福島弁でしゃべる。そんな台詞をいかに書くか? 最初は途方に暮れたが、まずは標準語で書いてそれを福島弁がわかる人に直してもらうという方法で戯曲を仕上げた。方言で台詞を書いたのは初めての経験だったが、方言の素晴らしさを発見もした。「観劇」ならぬ「聴劇」でもある演劇において、耳から聞こえる言葉の魅力をわたしは本作を通して強く再認識した。」