ほらほらコーヒーが冷めちゃってるよ 2

好きな人に伝えたいことはできる限り直接伝えます。都々逸作っています。浦和レッズと演劇と映画と音楽が大好き! 田島亮(・中嶋将人)、成河、亀田佳明、イキウメと浜田信也。演出家・藤田俊太郎を応援しています。小林賢太郎・片桐仁、ラーメンズは永遠に好き。B'z、BrandonBoyd&Incubus、JasonMraz、大橋トリオ、Eddie Redmayne

『再会の街で』REIGN OVER ME ★★★★☆ 

 監督・脚本:マイク・バインダー。
『ニューヨークの歯科医アランは美しい妻と二人の娘に恵まれ、さらに仕事は順調、他人もうらやむ生活を送っていた。ある日アランは大学時代のルームメイト、チャーリーを街で見かける。彼は“9.11”で妻子を亡くして以来、消息がわからなくなっていたのだ。後日アランは再びチャーリーと遭遇するが、彼は昔のことを覚えていない様子。だが、自宅アパートに招待してくれた。そこは何とも言えない不思議な空間で…。(goo)』とってもよい映画だった。http://www.sonypictures.jp/movies/reignoverme/
心の病がテーマのシリアスな映画なんだけど、ニューヨークの街の映像が美しく、音楽も脚本もよくて、コメディタッチのシーンがあるので暗くならず後味もよかった。9・11の飛行機事故で妻と3人の娘と犬を失い心を閉ざしたチャーリー・ファインマンアダム・サンドラー)の悲しみは深すぎて痛すぎて私が想像する以上に壮絶なものなんだろうということが彼の表情を通してわかり胸が苦しくなったけれど、アラン・ジョンソン(ドン・チードル)が抱える心の病は、なんだかとても身近だった(日本はまだ精神科に通うのが一般的じゃないけれど、歯医者みたいに行けたらサラリーマンの行列ができちゃうかも知れないな)。そのどこにでもいそうな仕事も成功し幸せな家庭をもつアランが、思い出したくないことはヘッドフォンでシャットアウトする心が迷子になり子どもになったようなチャーリーと一緒に、テレビゲーム『ワンダと巨像』で熱くなったり学生のころのようにセッションしたりキックボード型のスクーターで二人乗りしたりオールナイトの映画館で大笑いするシーンもよかった。
70年代のロック(ザ・フーとかブルース・スプリング・スティーンとか)がニューヨークの街と心を閉ざしたチャーリーに凄くマッチしていて、でもとても温かく心に沁みた。
主演ふたりの演技が素晴らしいのはもちろんだけど、アランの妻や精神科医アンジェラ(リヴ・タイラー)と裁判所判事(ドナルド・サザーランド)もよかったーー。とくに最後にしか出てこなかったドナルド・サザーランドの台詞は希望に通じていて感動。チャーリーの悲しみに終わりはないだろうけれど、それを共有し、友情と周囲の愛に支えられ、立ち止まることなく物語がはじまりますように。