毎日新聞夕刊に『お勢登場』の劇評(濱田元子さん)http://mainichi.jp/articles/20170215/dde/012/200/008000c
「人間の業や情、機微が乱反射する。作・演出の倉持裕が江戸川乱歩の短編8本を巧みにコラージュして紡ぐのは、妖しくもミステリアスな物語。ちりばめられたパズルのピースをはめ込んでいくような、スリリングな感覚を呼び起こす作劇がさえる。鮮烈に登場する黒木華はじめ、複数役を演じる俳優がさまざまな表情を見せ、奇譚に息を吹き込む。」
「大正、昭和と時代を行き来しながら、エピソードも入れ子構造の複雑な構成で迷宮へと誘う。込み入った場面展開も舞台装置をうまく使いテンポ良く見せる。映像を使いながらもアナログ感を残した処理が絶妙だ。」「黒木は無垢な雰囲気から、妖艶な悪女まで演じ分け、目線でゾクッとさせる。複数役を演じる寺十や梶原善、片桐はいり、千葉雅子らの達者ぶりが光る。姿を変え、立場を変え、演技の質感を変えながら輻輳する世界をスルリと生きる。「レトロモダンな着物(太田雅公衣装)も時代を濃く映し出し、目を引く。」
「世の中、解き明かしてしまうことが全てではない。不思議な手触りが残る。」
市川しんぺーさんの感想Tweet「「お勢登場」シアタートラム。前情報無しで観たら、乱歩のコラージュという仕掛けで織り成す悪夢のような時間でした。やはり乱歩は、おどろおどろしい仕掛けだけでなく人の内面が奥深い闇だというところが、それを覗くところが胆なんだなあ。笑えるシーンも多くてびっくり。26日迄。当日券あるって。」https://twitter.com/itikawasinpei/status/831855763886727168
同じ新聞に中嶋しゅうさん http://mainichi.jp/articles/20170215/dde/012/200/002000c
「ダンディーなたたずまい。が、カメラを前に表情を硬くした。「あがり性なんだよ。それを聞くとみんなびっくりするけど」。古典から現代劇まで、円熟味を増した演技で存在感を放つ中嶋しゅうが、意外な面を明かした。「舞台の袖に30分くらい前に行って、覚悟を決めないとだめ。『やるしかない、やるしかない』って思ってる」 心に留めているのが、森繁久弥に言われた言葉。「ドキドキしなくなったら終わりだよ」」「劇場には毎日違う観客が見に来る。そのうち1人か2人は、演劇を初めて見る人がいる……。「井上ひさしさんがそんな話をしてくれたことがある。初めて見たものって後に残るわけじゃないですか。今日も初めてのお客さんに会うんだ。そう思って仕事をしています」
なむはむだはむ