ほらほらコーヒーが冷めちゃってるよ 2

好きな人に伝えたいことはできる限り直接伝えます。都々逸作っています。浦和レッズと演劇と映画と音楽が大好き! 田島亮(・中嶋将人)、成河、亀田佳明、イキウメと浜田信也。演出家・藤田俊太郎を応援しています。小林賢太郎・片桐仁、ラーメンズは永遠に好き。B'z、BrandonBoyd&Incubus、JasonMraz、大橋トリオ、Eddie Redmayne

イキウメ「散歩する侵略者」劇評 

東京公演は終わってしまいましたが、大阪公演と北九州公演があります。http://www.ikiume.jp/kouengaiyou.html
2017年11月13日に紙面に出た劇評
「不意をうつ「生」への本質的問いかけ イキウメ「散歩する侵略者」6年ぶり上演中」(本庄雅之さん)http://www.chunichi.co.jp/chuspo/article/entertainment/news/CK2017111302000016.html
「オリジナリティにあふれたサイエンス・フィクションで現実社会の落とし穴を突いたり、常識と思われている価値観を揺さぶるエンターテインメントを連打する作・演出家前川知大が主宰する劇団「イキウメ」の「散歩する侵略者」が、6年ぶりに上演中だ。2005年に初演、その後2度改訂された代表作。」「何らかの力によって個人が“侵略”されることと、人間が作り出した国家(土地や所属する国民や財産など)もしくは国家という概念が侵略されることの違いは何だろうか。それは防ぎうるものだろうか。目前のドラマでイマジネーションが広がる。が、クライマックスで胸を打つのは、人間が生まれ、生きていくことへの本質的問い掛けだ。夫が行方不明になる前と後の加瀬夫妻に見られる明らかな変化が思いも寄らない展開をもたらす。夫婦役2人の誠実な演技が、不意に観客の涙を誘う。さらに、ある概念をなくして「解放された」と喜ぶ人間をどう考えるのか。人との触れ合い、書物からの触発、宗教との出会いなど“チェンジ”の機会は、日常生活でいくらでもある。それぞれにとっての大事な「気づき」とは何か。終盤一気にたたみかける物語は、果てしなくロマンティックでありながら、さまざまな問いかけを含んだ万華鏡のような作品だ。」
 
2017年10月29日 長谷部浩さんの劇評「寓意による現代批判 イキウメの『散歩する侵略者』をめぐって」https://hasebetheatercritic.blogspot.jp/2017/10/97.html
「もちろん寓話である以上は、単純化、抽象化が行われているのはいうまでもない。たとえば「愛」という概念には「喜び」や「哀しみ」が隣接しており、ひとつの概念だけを抜き取るのは不可能だという反論も成り立つ。けれども、こうした寓話を巧みに使わなければ、届かない思い、届けたい主張があることを重くみたい。また、『太陽』でいえば、夜の住人と普通の人々、近作の『天の敵』でいえば、食血をする人々とされる人々のような二項対立がある。『散歩する侵略者』では、宇宙人と普通の人々が、否応もなく対立している。前川はこの対立を善悪で切り取るのではない。むしろ「宇宙人」とは、地球外生物ではなく、人類の歴史のなかで、侵略そして征服を企ててきた一部の人間を指すのではないか。そんな絶望的な思いが劇を観ているうちに立ち上がってくる。」