ほらほらコーヒーが冷めちゃってるよ 2

好きな人に伝えたいことはできる限り直接伝えます。都々逸作っています。浦和レッズと演劇と映画と音楽が大好き! 田島亮(・中嶋将人)、成河、亀田佳明、イキウメと浜田信也。演出家・藤田俊太郎を応援しています。小林賢太郎・片桐仁、ラーメンズは永遠に好き。B'z、BrandonBoyd&Incubus、JasonMraz、大橋トリオ、Eddie Redmayne

『アンチポデス The Antipodes』1回目 ★★★★★

昨夜は加賀さんで美味しい春菊天そばをいただいてから新国立劇場小劇場へ。
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2022シリーズ「声 議論, 正論, 極論, 批判, 対話...の物語」Vol.1『アンチポデス』観劇。プレビュー公演と初日の8日〜13日までが中止となり14日に幕が上がったので2日目になります。


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あらすじ「ある会議室に男女8人が集められている。そこがどこであるのか、いつであるのかも不明だが、リーダーであるサンディ(白井晃)のもと、彼らは企画会議として「物語を考える」ためのブレインストーミング(*)を始める。新たなヒット作を生むためである。サンディは「ドワーフやエルフやトロルは無し」と言う。恐ろしさや怖さの中にも消費者が親近感を覚えるリアルな物語を採用したい、と。既存の作品の焼き増しではない新しい物語を生み出すために、参加者たちは競うようにして自分の「リアル」な物語を披露していく。やがて会議室の外に世界の終末のような嵐が訪れる。」

「「地球の裏側」を意味するタイトルを冠した戯曲に登場するのは、閉ざされた部屋で物語を作り出す、という作業をしている8人の男女。」というけれど女性がひとりしかいない!

『アンチポデス』は、はじめて体験したようなお芝居でした。すごくおもしろかった。奥に窓があり会議テーブルの頭上の丸い照明が歪に映り込んでいるのもエレノアのある台詞とリンクしているようでした。

C列なので正面なので皆さんの絶妙な表情もよく見えて(サイド席はどうだったんだろう…←皆さん動くので問題なかったようです)その表情が誰かの言葉により刻々と変化していくのを覗き見しているみたいでした。皆さま上手いからお芝居だということを忘れます。

とくに同じ女性としてエレノア(高田聖子)の表情が良かった。すごくわかる。男たちの言葉に傷つかないふりをしてがんばっていた。編み物して気を鎮めながら。そういえば家庭の事情がわかるのはサンディとエレノアだけかな。

そして亀ちゃんのアダム(亀田佳明)はいちばんクリエィティブ、お洋服もいちばんオシャレでしたし(カッコイイ❤️)見せ場の長台詞に私の耳はうっとり。←アダムという名前も亀ちゃんにぴったりだなぁ〜。あ、伊達暁さんはデイヴの顔だし、なんか皆さま役名とお顔がマッチしていました。チョウヨンホさんの衣裳がイメージと違って可愛かったのはダニーM 2だからね。

パワハラ、セクハラが罷り通る男社会の会議。女性はエレノアのみ。アダムやエレノアと同じく私もサンディに異質扱いされてしまうダニーM2に共感しながらも、仕事を失いたくないから場の空気を読んで本当に言いたいことを言えなくなるかもしれない。会議で言いたいことは発言する方だけど、やっぱり顔色読んじゃうかな。

それにしても「新しいものがたりを生み出す」という目的を忘れて、というか何ヶ月もブレストして全然進まないなんて地獄!みんな顔色まで悪くなっていって(ホントに!)ぐるぐる坩堝に入っていく感じが最高でした。とても優しく時間の経過を知らせるような照明も最高。

みんなのランチや夜食のテイクアウトの注文を取りにくるサラ(万里紗)の存在が楽しい。衣裳が何回も変わるのはサラだけ(全部可愛い)わざと空気読めないように振る舞っているサラが好き。そのサラと、家庭の事情で出たり入ったりするサンディでしか日付が変わるのがわからないのもおもしろいけれど、5ヶ月って言った?まるでコルタサルの「南部高速鉄道」だわ〜笑。

終盤でエレノアが持ってきた宝箱に入っていた「ものがたり」がもしかしたら採用になるのでは?と期待したのは、あの地獄の会議室から出たかったからかも(私が。笑)

パンフレットに勝浦雅彦さんが寄稿していらっしゃるブレインストーミングについてのコラムの最後の9行に頷く私でした。公演中なので詳しくは書かないけれど、あの閉じ込められた空間は、街中に、家庭に、無数に存在していると思う。ちゃんと人の言葉に耳を傾けたい。

www.nntt.jac.go.jp

作:アニー・ベイカ
翻訳:小田島創志 演出:小川絵梨子
出演:白井晃、 高田聖子、 斉藤直樹、 伊達暁、富岡晃一郎、 亀田佳明、草なぎ智文、八頭司悠友、 加藤梨里香

美術:小倉奈穂 照明:松本大介 音響:加藤温 衣裳:髙木阿友子 ヘアメイク:高村マドカ 演出助手:渡邊千穂 舞台監督:福本伸生
主催:新国立劇場

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もう一回観るので(ほんとうはプレビューと初日も観る予定でした(T ^ T))また書きます。

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今回、富岡晃一郎さんが体調不良のため降板チョウヨンホさんが代役を務め、先月下旬に新型コロナウイルスに感染した加藤梨里香さんが16日昼公演から復帰なので私が観た回まで万里紗さんが代役でした。おふたりとも素晴らしかった!
(*)ブレインストーミングbrainstorming 通称ブレスト。1950年ごろに誕生した複数人で行う会議手法です。 活用によって、会議の参加者が、それぞれ自由にアイデアを提供したり参加者同士で刺激を与えあったりできるため、クリエイティブな発想を促せます。」


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ほんと、美味しいのよ〜。