ほらほらコーヒーが冷めちゃってるよ 2

好きな人に伝えたいことはできる限り直接伝えます。都々逸作っています。浦和レッズと演劇と映画と音楽が大好き! 田島亮(・中嶋将人)、成河、亀田佳明、イキウメと浜田信也。演出家・藤田俊太郎を応援しています。小林賢太郎・片桐仁、ラーメンズは永遠に好き。B'z、BrandonBoyd&Incubus、JasonMraz、大橋トリオ、Eddie Redmayne

『ラビット・ホール/Rabbit Hole』2回目★★★★★

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PARCO劇場にて初日ぶりの『ラビット・ホール』観劇。H列センター。←やっぱりこのくらいの列が好き。

ラビット・ホール/Rabbit Hole』初日★★★★★ 

magnoliarida.hatenablog.com


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回数を重ねて、さらに劇場空間に馴染んでいて素晴らしかった。この舞台、美術と音楽のセンスも素晴らしいのよね。セットの天井の高さや会話がリアルなので、映像的な印象…。天井が可動式で場面転換により2階の子ども部屋が見える場面があります。

初日は最前列のサイドだったので、時間の流れによる子ども部屋の違いがよく見えていなかった。ダニーが亡くなってまだ8ヶ月、ダニーが描いた絵がたくさん飾ってある生前のままであろう部屋。(家を売ろうと決めて)ダニーの遺品の仕分けをしているベッカとママ。そしてラスト。これけっこう視覚的に重要です。見えなくても一階の部屋の変化で何となくはわかるけど…。

喪失と再生の物語。誰にでも起こるだろう後悔。

家族でも夫婦でも悲しみにたいする向き合い方が違う。

成河ハウイーは家の外で、宮澤ベッカは家の中で「穴」から抜けようとしている、夫婦のすれ違い。ハウイーに浮気の疑いもあるこの夫婦。ふたりを支えるママと妹のイジーだけでは救えなかっただろうところに、現れた加害者少年ジェイソン。飛び出してきた犬を避けての事故だけど、ダニーを死なせた罪悪感を感じている様子がまるでない少年だけど、ベッカを変えたのは彼が書いたSF小説(科学者の父親を亡くした少年がパラレル・ワールドに存在する別の父親を探すために「ラビット・ホール」に入る)だと思った。解決にならなくても無限のパラレルワールドは救い。

それにしても・・サザビーズに勤めていたらしいベッカ(生活感がない。おしゃれなデザートを作るステキな奥さん系)と大学で知り合ったという自家用ジェットを持っている友達がいるハウイーは裕福な家で育ったんだろうな。家の素敵さからして・・。子どもを失って離婚するケースをよく聞くけれど、この夫婦の会話からもそれがわかった。ふたりを繋いでいた子どもをある日突然失ったのだからお互いに思いやりを持てるまでに時間がかかると思うけれど、このふたりも一緒に向き合わないからどんどん気持ちはすれ違い、殺伐としていた。

それでとベッカとハウイーにはお互いを思う気持ちがあったから、同じ方向を向いて(客席に向かって)並んで進む決意が見えたラストだった。きっと大丈夫。かな・・。

で、ちよっぴりがさつでデニーズもクビになっちゃうダメな子扱いのイジー(土井ケイト)がいちばん優しくて、気を遣えて、家族思いだった(ハウイーの浮気もベッカに言わずに解決にもっていった)。ミュージシャンだけどちゃんと仕事がある(スタジオミュージシャンかしら)オジーとはできちゃった婚になると思うけれど、きっと素敵なママになるわ。


翻訳、演出、俳優、美術、音楽、照明、全部同じレベルで上質な舞台。

作/デヴィッド・リンゼイ=アベアー 翻訳/小田島創志 演出/藤田俊太郎

出演 ベッカ:宮澤エマ ハウイー:成河 イジー:土井ケイト ジェイソン:山﨑光 母ナット:シルビア・グラブ


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