グザヴィエ・ドランがもう映画を撮らないと… もっと観たいって思うから「うそぉ」となったけれど「いまは情熱が映画ではないものに向いている」「テレビドラマは監督するかもしれない。映画はもう監督したくないです。世界は良い状況であるとは言えません。なにか助けになることを、できるだけしたいのです。(実は)ひっそりとやっているのですが、もっと声に出して主張していきたい。私のプロジェクトはいま、(映画ではなく)どこか違うところにあると信じています」「私はいまも俳優です。演じることは絶対にやめませんよ」(シネマカフェ 賀来比呂美さんの記事より)とのことなので、まだ34歳、自分の才能は自由に使ってほしい .
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今日は、第76回カンヌ国際映画祭でクィア・パルム賞と脚本賞を受賞した『怪物』(監督:是枝裕和、脚本:坂元裕二)を観てきた。
3方向の視点で描かれているオムニバス映画だった。
あらすじ「一見、世界は得体の知れない怪物たちで溢れている。本作序盤に描かれる早織(安藤サクラ)の視点から見つめる世界は、まさにそんな「血の通っていない現代社会」の図である。息子・湊(黒川想矢)が担任教師の保利(永山瑛太)に暴力を振るわれたと学校に抗議に行った早織は、通り一遍の返答しかしない校長・伏見(田中裕子)と教師たちに憤る。だが、その後保利、伏見、湊、それぞれの視点から見た、同時期に起きた出来事が繰り返されることで、まるで、それまで世界を覆っていた皮膜がゆっくりと剥がれていき、本当の世界が見えてくるように、事件の全貌と、彼らの実像が明らかになっていく。」(リアルサウンドより)
予告の「怪物だーーれだ?」が印象的だったので怪物って誰のことなんだろうという脳になっていて、観ながらふと気づく… 自分が守りたいものが優先されるから、わからないもの、自分に理解できないものを排除して嫌悪感を膨らませてしまう…私も自覚なく先入観で差別しているのだろうと。いつでも何気ない言葉で加害者「怪物」になる… その言葉を親や先生や友だちから言われたら自分を「怪物」だと思って、誰にも言えなくなってしまうだろう。そんな子どもたちの話だった。
「ちゃんと生まれ変われるのか」と言うせりふが悲しい。依里への父親(中村獅童)のDVが「矯正」だと途中でわかるから。
誰かの正義で誰かが傷つく。子どもたちが自分は普通じゃないとか思わなくてすむ世界が普通ならいいのに。
麦野湊(むぎの みなと)役の黒川想矢くんと星川依里(ほしかわ より)役の柊木陽太くんが凄い。田中裕子さんも。
決してハッピーエンドではないラストシーンの疾走するふたりがとても美しかった。
『怪物』には“繋がりたい”と思う願いが込められている 坂元裕二が描き続ける孤独な人@realsound_
『怪物』は「LGBTQに特化した作品ではなく、少年の内的葛藤の話と捉えた。誰の心の中にでも芽生えるのではないか」と是枝さん。
クィア・パルム賞:性的マイノリティやフェミニストの登場人物、また、それらに関わる事柄を描く長編・短編作品のみならず、家父長的なジェンダー規範への異議申し立てを試みる作品に与えられる賞。