『無駄な抵抗』はちょっと、いや、かなり手強い。今回は世田谷パブリックシアターのプロデュース公演で、イキウメの新作公演ではないけれど、前川知大さん作・演出でイキウメン全員とイキウメお馴染みの俳優さんたちも出演している、スタッフも。でも、これまでのイキウメとは違う新たなフェーズに入ったという感じなのかしら。
F列にて。
トリックスター的な役割を担っている大道芸人のダン(浜田信也)が可愛くて可愛くて可愛くて… ついついそっち目で追ってしまったから(はじめてだよね、ああいう役)。ただ、「何もしない」で人々を傍観している、誰かと同じことをする存在なのが実は問題なのかもしれない。そして、それは私なのだということに気づく。そのダンにブーイングして追いかけた人たちだって同じ。
『終わりのない』のアンドロイドの名前もダンでしたね。20体いるダン。もしかしたら今日のダンもAIだったりするかもしれない?心の中が見えない存在だったから。
「運命」とか「アイデンティティ」について考えてみる。抵抗しつづけなきゃ変わらないよと。
さりげなく誰かに言われた言葉、言った人は覚えていないだろう言葉(逆もある。私が誰かに言った言葉)に運命が左右されることがあることもわかる。どうでもいい人からの言葉じゃなかったから。
メタファーとして、島忠(大窪人衛)がとった行動に大きな意味があるのだろうとも思う。
感想はまだ書けないけれど、開演前から流れていたかみむら周平さんの音にほっとした私。
さい芸の客席だーーと思った世田パブの美術(土岐研一)。前川さんが昨年ギリシャを訪れて劇場を観て、その後日本のいくつかの駅前広場も観に行ったらしい。(そういえば、夏にパルテノン多摩で観た『オイディプス王』の素晴らしい美術も土岐研一さんだったなぁ。その時の俳優とダンサーたちの総勢16人のコロスもよかったなぁ。)
イキウメの公演より身近。池谷のぶえさん演じるこの物語の主人公山鳥芽依の抱えていた悩みはショッキングなものだったけれど、それでも近くにいる誰かのような身近さを感じる。それだから辛くなっちゃったのかも。
世田谷パブリックシアターの芸術監督の白井晃さんと前川さんのポストトークもあり有意義な時間でした。5分前の合図に電車音!びっくりした〜。
感想は追記します。もう一回観るのでその時にしようかなぁ。
『無駄な抵抗』トレーラー
【作・演出】前川知大
【出演】池谷のぶえ 渡邊圭祐 安井順平 浜田信也 穂志もえか 清水葉月 盛隆二 森下創 大窪人衛 松雪泰子
「無駄な抵抗はやめろ、と誰かが言う。
私の気持ちを挫こうとして。
抵抗は、やめない。まだ無駄と決まったわけじゃない。
前川知大×世田谷パブリックシアター5作目のタッグのテーマは、ギリシャ悲劇の大テーマでもある「運命」そして「自由意志」。
“運命と感じるのはいつも全てが終わった後で、私には知らない自由もあったのだ。”
「運命」とは。「自由」とは。」