ほらほらコーヒーが冷めちゃってるよ 2

好きな人に伝えたいことはできる限り直接伝えます。都々逸作っています。浦和レッズと演劇と映画と音楽が大好き! 田島亮(・中嶋将人)、成河、亀田佳明、イキウメと浜田信也。演出家・藤田俊太郎を応援しています。小林賢太郎・片桐仁、ラーメンズは永遠に好き。B'z、BrandonBoyd&Incubus、JasonMraz、大橋トリオ、Eddie Redmayne

『ライカムで待っとく』再演★★★★★

ということで神奈川芸術劇場KAATへ。f:id:Magnoliarida:20240525214633j:image
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中スタジオにて再演のKAAT神奈川芸術劇場プロデュース『ライカムで待っとく』観劇。同じく初演を観ている成ちゃんファン友が神奈川県民割でチケット取ってくれたA列(最前列)にて。開演前に偶然お会いした兼島さんにご挨拶できて嬉しかったです。

初演を観ていることもあり、前半のある場面での「29歳」というセリフから涙が出てどんどん目が霞んでいき、霞んだままラストを迎える観劇となりました。

87歳で亡くなったおじいちゃん(霊)の時間が29歳で止まっているわけは…

客席から「バックヤード」に押し込まれたダンボールを見つめる私は、彼らの叫び・彼らの視線を向けられ言葉を失い茫然と立ちすくむ浅野でした。

メタファーとしてのダンボール… ライカム(ショッピングセンター)のバックヤードの時空が過去に変わるとダンボールの中に核兵器や毒ガスが隠されていた。現在の時間のライカムのダンボールには死者の魂が…。赤ちゃんの魂は…記憶がないからないと。

沖縄戦で、ガマの中で日本兵の命令で日本人が殺さなければならなかった赤ちゃん。糸満の海に飛び降りた家族。沖縄の人たちが犠牲になった戦争。

「〜の苦しみに寄り添いたい」という、寄り添うという言葉の軽さに愕然となる。

誰でもよかったんですよ。たまたまなんです。

「中立ってことは権力の側につくってことなんだよ」浅野が言われた言葉が私にも刺さる。

写真をコーラに浸して食べることで死者と話せる金城とスナックの多江子ママ役のあめくみちこさんを筆頭にうちなーぐち(沖縄語)を話す俳優さんたちが素晴らしい。力強い戯曲だけど彼らなくしてこんなに心に刺さる舞台にならなかったと思う。

【あらすじ】「雑誌記者の浅野は、60年前の沖縄で起きた米兵殺傷事件について調べることになったのだが、実はその容疑者が自分の妻の祖父・佐久本だったことを知る。調査を進めながら記事を書くうち、浅野は次第に沖縄の過去と現在が渾然となった不可解な状況下に誘われ、「沖縄の物語」が育んできた「決まり」の中に自分自身も飲み込まれていく……。

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f:id:Magnoliarida:20240527201558j:image(写真:引地信彦さん)

初演で 「この物語を進める」タクシー運転手と佐久本寛二を演じた南里双六さんが素晴らしかったのですが…新キャストの佐久本宝さんもまた沖縄生まれの俳優さんですごく良い!すごく上手いし、年齢的にもフィットしてますし、素晴らしかった。f:id:Magnoliarida:20240527201712j:image(写真:引地信彦さん)

初演で雑誌記者の浅野を演じたのは亀ちゃん(亀田佳明)。新キャストの中山祐一朗さんは全然違う浅野になっていました。違いをうまく言えないけれど。

おじいちゃんの青いアルバムを見る場面で、亀ちゃんの写真が貼ってあって… 「えっ亀ちゃん?😳」と二度見。嘘、二度見の時間はなかったけれど見逃さなかった。笑

写真と言えば、 ラストとリンクする沖縄の4人が撮った記念写真(1964年)がなくなっていた。

『ライカムで待っとく』はこれからも再演を続け多くの人に観て、考えてほしい作品です。

誰も読もうとしなかった、読まれなかった沖縄(こっちがわ)の物語は、沖縄の人々から我々が鋭く問われている、"今を生きる私たち"の物語

作:兼島拓也 演出:田中麻衣子

出演:中山祐一朗 前田一世 佐久本宝 蔵下穂波 小川ゲン 神田青 魏涼子 あめくみちこ

美術:原田愛 照明:齋藤茂男 音楽:国広和毅 音響:徳久礼子 衣裳:宮本宣子 ヘアメイク:谷口ユリエ 演出助手:戸塚萌 舞台監督:藤田有紀彦

★★初演の感想も読んでいただけたら嬉しいです★★

初演の感想『ライカムで待っとく』初日★★★★★ 

千秋楽2回目★★★★★ 

■兼島拓也さん「この作品を再演することができ、とても光栄です。初演から2年、ウクライナでの悲劇は未だ収束せず、あらたにガザ地区でも見るに堪えない事態が勃発し、心が苦しくなるばかりです。 
私が住むここ沖縄は、相変わらず「決まり」が覆ることもなく、粛々と、そして堂々と、物事は進んでいきます。先日屋久島沖でオスプレイが墜落した後、同じ機体たちは1週間ほど何事もなく飛び続け、休憩に入りました。この文章が公開される頃には、優雅に、気持ちよく飛び回っているでしょう。 
本土復帰50年というお祭りも終わり、変わらず嫌な方へと変わり続ける世界の中に、この作品が何かしらの影響をもたらしてくれたらと願いますが、まあ、どうなんでしょう。」

「ライカム」とは「かつて沖縄本島中部の北中城村比嘉地区に置かれていた琉球米軍司令部(Ryukyu Command headquarters)の略。現在「ライカム」は地名として残っている。司令部があった近辺の米軍関係者専用のゴルフ場の跡地には、2015年「イオンモール沖縄ライカム」がオープン。地元民のみならず県外からの観光客も多く訪れる場所になっている。」
 「米兵殺傷事件」とは「1964年8月16日未明、宜野湾市普天間の飲食街周辺で、米兵2人と数人の沖縄人が乱闘し、米兵1人が死亡、1人が重傷を負った。沖縄青年4人(2人は徳之島出身)が普天間地区警察署に逮捕され、傷害致死罪で米国民政府裁判所に起訴された。事件は陪審に付された。沖縄人に重罪を課そうとする米国人らが陪審員の多数を占め、評議は4人に不利な流れとなったが、無罪を主張する沖縄人陪審員・伊佐千尋の粘り強い説得で形勢は逆転し、傷害致死罪については無罪、傷害罪では有罪の評決に至った。しかし、同年11月の判決では3人に懲役3年の実刑(1人は猶予刑)という初犯としては重い量刑が下った。 殺傷事件と沖縄住民への差別意識が渦巻く陪審評議、その後の判決は米統治下に置かれた沖縄の過酷な現実を浮き彫りにしている。」
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アフター・ライカムで感想を話し合えて楽しかった〜。ピエトロのスープありがとう。f:id:Magnoliarida:20240525233447j:image

📌演劇「ライカムで待っとく」上演 沖縄の基地問題を描く - 日本経済新聞 「 初演した2022年は沖縄本土復帰50年にあたっていた。再演が決まり「周年のものとして終わらせてはいけないという思いが形になった」と兼島。「2年間で世界情勢が変わり、争いを具体的なものとして目にする機会が増える中で、作品の新しい見方が提示できるのではないか」と語った。」

www.nikkei.com

東京新聞 5月15日本土復帰の日の社説】沖縄の自治は神話なのか:東京新聞 TOKYO Web 

www.tokyo-np.co.jp

兼島さんの作品情報『刺青』『花売の縁(仮)』f:id:Magnoliarida:20240525233956j:image

【おまけ】浅野の妻の祖父のアルバムにいた亀ちゃんと天使(デカローグ)f:id:Magnoliarida:20240603004723j:image