ほらほらコーヒーが冷めちゃってるよ 2

好きな人に伝えたいことはできる限り直接伝えます。都々逸作っています。浦和レッズと演劇と映画と音楽が大好き! 田島亮(・中嶋将人)、成河、亀田佳明、イキウメと浜田信也。演出家・藤田俊太郎を応援しています。小林賢太郎・片桐仁、ラーメンズは永遠に好き。B'z、BrandonBoyd&Incubus、JasonMraz、大橋トリオ、Eddie Redmayne

映画『あんのこと』★★★★★

新宿武蔵野館にて『あんのこと』f:id:Magnoliarida:20240616235947j:image
『22年目の告白-私が殺人犯です-』『太陽』『聖地X』しか観たことがなかった入江悠監督作品。

思い切りネタバレの感想になると思います。f:id:Magnoliarida:20240617000114j:image


f:id:Magnoliarida:20240617000027j:image

f:id:Magnoliarida:20240617000030j:image

 

河合優実ちゃん演じるあんから目が離せない。薬で捕まったことで担当刑事(佐藤二郎)支えられ地獄から抜け出せて介護の仕事につき(とても素直で優しい女の子なので、入居者さん(小林勝也)に好かれていた)はじめて生きようと生きていいんだと笑顔を見せるようになり、夜学にも通えるようになったところでスクリーンが「無音」に…コロナ禍へ。終盤にふたたびくる「無音」に不安になりながらも祈る気持ちで観ていました。赤ちゃんを預けられてしまい戸惑うも一生懸命育てようとした優しい女の子。見捨てない、自分がされた虐待をすることなく健気で…希望が見えていたのにーーーーーーーー

 

あらすじ「21歳の主人公・杏は、幼い頃から母親に暴力を振るわれ、十代半ばから売春を強いられて、過酷な人生を送ってきた。ある日、覚醒剤使用容疑で取り調べを受けた彼女は、多々羅という変わった刑事と出会う。
大人を信用したことのない杏だが、なんの見返りも求めず就職を支援し、ありのままを受け入れてくれる多々羅に、次第に心を開いていく。
週刊誌記者の桐野は、「多々羅が薬物更生者の自助グループを私物化し、参加者の女性に関係を強いている」というリークを得て、慎重に取材を進めていた。ちょうどその頃、新型コロナウイルスが出現。杏がやっと手にした居場所や人とのつながりは、あっという間に失われてしまう。行く手を閉ざされ、孤立して苦しむ杏。そんなある朝、身を寄せていたシェルターの隣人から思いがけない頼みごとをされる──。」

2020年の現実に起きた事件。朝日新聞の記事「コロナが奪った25歳の中学生活 路上で倒れていたハナ」に登場したハナ(仮名)を主人公のモデルとした映画。

annokoto.jp

「ハナは勉強するとき、警視庁のマスコット「ピーポくん」があしらわれたシャープペンシルを使っていた。元刑事の男性からもらったもので、「必ず立ち直って、介護の仕事に就く目標をかなえようと思えるんです」と話していた=2020年3月23日、東京都、稲垣千駿さん撮影」

www.asahi.com

f:id:Magnoliarida:20240617001823j:image

河合優実、「誰かを生き返す」ということ。救いやカタルシスで終わらせない映画にこそ、私たちは希望を立ち上げる。逆転不可の現代社会を描く映画「あんのこと」Hanako河合「ハナさんの記事を書かれた新聞記者の方に長時間話をうかがいましたし、彼女の人柄やエピソードもいろいろ教えていただいたんです。やっぱり、彼女の生きた時間に思いを巡らせることがわたしには大事で、そうすることで、彼女は虐げられた弱者であるという思い込みは薄れていって、逆に懸命に生きようとする意志の力を強く感じるようになりました。その中ですごく印象に残ったのが、人とのつながりが強くなっていったから薬物をやめられた、という彼女の言葉でした。それは、彼女を助けた刑事さんだったり記者さんだったり、薬物依存の更生サークルの人たちだったりなんですが、たぶん、いろんな人と出会って外の世界が開けたことが大きかったんだと思うんです。ですから、わたしも刑事の多々羅を演じた佐藤二朗さんを感じよう、ジャーナリストの桐野を演じた稲垣吾郎さんを感じようとすごくしていたと思います。」

――ところで、河合さん自身が「つらいな」「息が詰まるな」と思うことってありますか?

河合「やっぱり、無関心な風潮ですよね。本当に生きづらさを感じる人たちって、声を上げるとかそういう次元にもいってないから、声を上げられる立場にいる人たちがもうちょっと関心を持たないと何も変わらないなと思うんです。非常に難しいことではあるんですが。杏もそうですよね。自分のいる世界しか知らないから、自分が特殊な環境下にいるとか、そういう考えに及ばないし、逆に、「生きづらい世の中だな」とも思わない。知らないから、「世の中とはこういうもの」だと。でも、役所へ行って、「生活保護を支給しろ」と役所の担当者に多々羅が怒って初めて知るんです。「言ったら変わるんだよ、世の中は」って。」