文学座有志『白夜 -An Intermezzo- 』★★★★ - ほらほらコーヒーが冷めちゃってるよ 2

夜は文学座アトリエにて文学座有志による自主企画公演『白夜 -An Intermezzo- 』観劇。

昼間観た『刺青 / TATTOOER』の脚本を書いた兼島拓也さんの『ライカムで待っとく』で演出助手をされていた戸塚萌さんが演出！（なんと主人公猛夫が昼間の彫師と同じで匂いフェチ！）（私は匂いより音です←要らない情報）

「何も当てにはならない。犯罪事件さえも、真実のかわりに与えられたおまけに過ぎない。それでもやっぱり、きみは旅行を続けるつもりかね。」

「かくれんぼするものよっといで　もういいかい　まあだだよ　釧路の北海岸の安ホテルの一室。猛夫はともに暮らしていた『久方弓子』を探してこの最果ての地にたどり着いた。ホテルの人びとに弓子のことを尋ねるがみな知らないという。しかし猛夫は部屋の片隅で弓子の所有物を見つけた。５年にもおよぶ長いかくれんぼの末、猛夫はついに『希望』を見つけたのだ。『何もあてにはならない。犯罪事件さえも、真実のかわりに与えられたおまけに過ぎない。それでもやっぱり、きみは旅行を続けるつもりかね。』（寺山修司『白夜 - An Intermezzo -』前書きより）
「寺山がまだ天井桟敷を結成する前、1962年に『白夜 -An Intermezzo-』は文学座アトリエ公演のために書き下ろされました。上演当時（戸籍上）26歳の年の作品です。文学座初演出となる戸塚萌は同じく26歳。時代を超えた同年齢のコラボレーションとして、寺山修司の詩的世界を鮮明に描き出します。」http://www.engeki.org/2024/08/_-an_intermezzo-.html

海鳴りがする釧路の海岸沿いの安ホテルの一室でのワンシチュエーションもの。探して５年目やっとそこで恋人の匂いを見つけ嗅ぎ満ちる狂気の釆澤靖起さんの灰上猛夫、最高でした。猛夫は恋人の自死を伝えられたとしても「希望」を求めて旅を続けて行くような気がする。

isei benさんのモジュラーシンセサイザーの生演奏が贅沢！

物語には①猛夫（釆澤靖起）と５年前に失踪した久方弓子、②女中（片平友里絵）と島にいる恋人（毎晩９時に歌を歌いあう約束をしている）、③ホテルのオーナー夫妻（今村俊一・つかもと景子）の３組のカップルが登場。安ホテルの女中とオーナー夫妻は立ち聞き👂覗き見👀してます。

皆んな「希望」を胸に秘めていました。

作：寺山修司　演出：戸塚萌
出演：今村俊一　つかもと景子　釆澤靖起　片平友里絵　音楽・生演奏：isei ben（https://tfom.info/isei-ben/）

照明：阪口美和　音響：神田川雙陽　舞台監督：戸塚萌　宣伝美術絵：喜田裕也　チラシデザイン：迴トヲテツ

📌当日パンフの戸塚萌さんのコメントより「「白夜“An Intermezzo-」には寺山の詩人としての感性が大きく出ているように感じています。Ｏ・ヘンリーの『すべて備えつけられた部屋』を下敷きに書かれた作品ですが、大きく違うのは主人公が探し人の居た痕跡を見つけるか見つけないかです。寺山がなぜ “見つける”ことを選んだのか･･･見つけたことで「希望」という、一ばん重い病気」に罹る猛夫と、「希望」を与えることになる宿屋の面々の対比を体現できればと思います。〜　」

f:id:Magnoliarida:20240924002540j:image