ほらほらコーヒーが冷めちゃってるよ 2

好きな人に伝えたいことはできる限り直接伝えます。都々逸作っています。浦和レッズと演劇と映画と音楽が大好き! 田島亮(・中嶋将人)、成河、亀田佳明、イキウメと浜田信也。演出家・藤田俊太郎を応援しています。小林賢太郎・片桐仁、ラーメンズは永遠に好き。B'z、BrandonBoyd&Incubus、JasonMraz、大橋トリオ、Eddie Redmayne

Runs First プロデュース公演Vol.1『帰郷 -The Homecoming-』2回目★★★★★ 

 シアター風姿花伝。     グロスター公・中嶋しゅうさんへ、ヘンリー六世・浦井健治くんからのお花がありました。
 
今日のアフタートークは、演出の小川絵梨子さんと、中嶋しゅうさん・那須佐代子さん・浅野雅博さん(鵜山仁さん演出の『ヘンリー六世』に出演していた3人)で、ゲストはその鵜山さんでした。客席にはノーサンバランド伯石橋徹郎さんがいらしてトークのときにしゅうさんに「何か質問はないのか?」っていじられていました。あ、リチャード・岡本健一くんも観にこられたようです。長い時間をともにしたので「絆」があるようです。
 
濃密な2時間+楽しいトーク。開演13時7〜8分くらい?終わったのは16時でした。2回目だったので、ひとり一人の表情や仕草を隈無く見ましたし、照明のことを気にしたり、最初のほうにあった台詞が最後に繋がっていたんだ・・と気づく楽しみもありました。
サムのタクシーのバックシートの話のとき・・「ほかのやつってだれだ」としつこく聞いたマックスとか・・。いま思うとそれはマックグレゴーのことを言っていたのかもしれない。
 
『ロンドンの下町に男だけ暮らす労働者ファミリーのもとへ、学者としてNYで成功した長男が数年ぶりに帰郷した。結婚後、実家に帰るのはこれがはじめてである。彼が妻を連れて来たことに、父、叔父、弟たちは色めき立つ。その結果、ルースは、夫の実家に住む男全員と関係を持つ。ルースが夫の父、そして夫の弟2人となぜ寝たのかはわからない。ルースはその地で売春婦として働くことが決まる。夫の家族のためである。テディは妻を実家に残したまま、子供の待つアメリカに帰っていく。』
 
おもしろかった。「戯曲を読んだだけじゃわけわからない(台本の句読点も独特のものらしい)」らしいハロルド・ピンターですが、スーっと入っていけました。
 
ハサミだとかチーズサンドだとか朝食をつくるとかお皿をガリガリ洗うだとか、些細なことでいがみ合いながらも同じ家に暮らす家族(チーズサンドはテディとレニーの会話ですが)。1960年代のロンドン、肉屋というのは下層階級の職業だったらしい。自分の暮らしがみじめだと思っている彼らの標的になったのは、アメリカで成功した長男が帰郷して連れてきた妻ルースだった。
 
ルースはアメリカの生活で洋服も靴も自由に選べないんだろうな・・。テディのとても上質な旅行カバンが目を惹きました。ルースの黒いドレスも高いヒールの靴も赤いEPIもテディの指定なんだろうな・・。私は、アメリカから帰郷した哲学者の長男テディが連れてきた妻ルースの行動に共感するところがあります。今の時代なのに会社組織のなかでは女性の地位は仕事する以前にずいぶん下に置かれているから・・。(ぎゃふんと言わせたいよね〜)だから、ひとりアメリカに戻る夫テディ*に「また来てね」と言った妻ルース(兄嫁ルースだけがこの家の人間ではない)。そのとき私はちょっとスッキリしました。(*言葉は優しいけれど精神的なDV夫です。モラルハラスメント?ひとりだけ血が通っていない印象です)(←さすが斉藤さま(ё_ё)←サロメ以降で今回がいちばん好き)
 
テディがアメリカに帰る日。「おお、ダニー・ボーイ♪」わたしはここで待っている〜というアイルランド民謡を歌いながら出てきた父マックス。しみじみではなくタップまじりの鼻歌なんだけど、その歌がやっぱり沁みました・・。少し痴ほうが入っている父マックス。家を出て行った兄。結局、どこにでもありそうな家族の話なのかもしれない。
Shall We Dance? から ちゅ〜 からの 家族の突飛な発想は、よくまぁそんなことおもいつくな〜と異常すぎて可笑しかったです。

テディのこと。24年前に家出して一度も帰省しなかった「あまちゃん(朝ドラ)」の主人公アキの母・春子と変わらない。24年ぶりに結婚して子供を連れて帰った春子・・アメリカから帰国したテディは9年ぶり。3人の男の子のお父さんになっていたんだものね。しかも、ロンドンを発つ前日に式を挙げていた(ということでルースもアメリカ人だとわかる)←英語での上演だったら、発音の違いで国の違いがすぐわかるかもしれない。そういうことも含め翻訳劇って大変なんだろうね。
 
シアター風姿花伝で30日まで、おススメです。成河くんもブログでおススメしておりますよ。
私の1回目 http://d.hatena.ne.jp/Magnoliarida/20130618/1371571100
演劇キック『帰郷/ホームカミング』稽古場レポートと演出家×キャスト座談会 vol.1 http://blog.livedoor.jp/enbublog-forecast/archives/51875014.html
vol.2 http://blog.livedoor.jp/enbublog-forecast/archives/51875015.html
 
          『結局、「勝つ、勝たない」で動いている人たちなので。』
 
    アフタートークのことは後日・・の予定。
(追記)アフタートークのこと、少し。
「美術にも喚起力があるね」と鵜山さん。みなさん「いらないもの」を持ち寄ったそう・・舞台上で使われているカウチ(リビングのなかでその椅子はレニーの定位置なんだと思う)を見て鵜山さんが、上手に背もたれがあるカウチは珍しいらしく探したけれど見つからなかったって欲しそうなお顔。鵜山さんの他の作品であのカウチが見られるかもしれませんね。
お客様からピンタレスクについての質問がありました(ピンターはそう呼ばれるのを嫌っていたらしい)。文体や特異な原語、リズム、間、思っていることを言わない。などのこと(ト書きに細かく書かれているらしい)
ピンターの本は「、( , )」や「。( . )」の置き方が特異なようです。とにかく日本語にするのは大変みたいです。ピンターの指示通り演るのは海外の俳優さんでもキレちゃうくらい大変だそうです(←うまく書けません)
小川さんの翻訳では台詞は(ほとんど)カットしていないけれど、原作ではテディの帰郷は6年振りなんだそうです。映画版が9年振りで・・今回も俳優さんの実年齢にあわせて(笑)9年振りの設定にしたそうです。
小川さんの台本読みたいなと私も思ったのですが、ピンター側の版権の問題でいまのところ許可がおりていないそうです。小川さんが思うピンターは「すごく正直なひと、目を背けないひと」だそうです。
 
あさのさんのBiogにこの日のお茶目な小川さん! http://blog.goo.ne.jp/asano0327/e/7f40b237a058a7c03541a70dc0e797e4?st=0