昨日の朝日夕刊にロンドンで上演された蜷川幸雄演出2作品の記事(岩城京子さん)
『英国バービカンセンターで5月に上演された蜷川幸雄演出「ハムレット」「海辺のカフカ」は、堅牢な一貫性の国に対しモザイク状に分断された美を提示する試みだった。』『反応は概(おおむ)ね好評。特に「海辺…」は「蜷川の高水準な舞台のなかでも群を抜く」(ガーディアン紙)と高評価。ただ東洋と西洋、漫画と哲学、近代とポストモダンを、いっしょくたに抱える現代日本をまるごと表象する多面的な演出に対し、親和性が抱けない古参の客からは批判的な意見も出た。』『例えば藤原竜也の「ダイナミックな」(フィナンシャル・タイムズ紙)劇言語、その言語の重量に負けていまにも崩れそうな日本の長屋、そして「漫画のような」(テレグラフ紙)身体の内田健司が共存する「ハムレット」は賛否が分かれた。バービカンセンター演劇部門のディレクター、トニ・ラックリンは「古典に異なる視座を与える」と好感を表し、ロンドン大学で演劇を教える教授は「ポストモダンすぎる」と難色を示した。』
『一方、「海辺…」は村上春樹の原作が、健忘的な歴史、一過性の主体、夢と現実の混在といった、儚い切片の積み重ねとしての生を物語の核に置く。そもそも多面的な演出と好相性だ。ガーディアン紙は、時間や空間が混線する「複雑な筋書き」を「舞台を駆け回る走馬灯的インスタレーション」で見事に表象したと讃えた。』
私も今回の2作品は圧倒的に『海辺のカフカ』が好き。『ハムレット』は和を意識しすぎた今回より12年前の演出のほうが好き。『わたしを離さないで』も海外でいい評価をもらえると思うけれど・・。