『遠野物語・奇ッ怪 其ノ参』舞台映像を使用したトレイラー https://twitter.com/SetagayaTheatre/status/796978064454365188
日経新聞夕刊に『遠野物語・奇ッ怪 其ノ参』劇評(堀切克洋さん)
「現実と民話の触媒的役割を果たすのが、ヤナギタに民話を語る青年ササキ(瀬戸康史)だ。祖母役を演じる銀粉蝶の歯切れいい演技とともに、遠野弁で民話の世界観を作る。アドリブめいた洒脱なセリフ術で舞台に躍動感を与える山内の存在感も大きい。」「中央の演技スペースには最小限の小道具のみ。簡素な舞台だが、抽象画のような舞台奥のパネルは照明で印象を変え、山岳の険しさや現実からの距離感を暗示する(堀尾幸男美術、原田保照明)。」「現実と民話を往還する巧みな構成により、単なる原作の舞台化を超えて、怪談に登場する異形の人びとが、震災以降の〈東北〉の声なき声のようにも思われてくる。「死者の声」を語るのは演劇の特性のひとつだが、百年前のテキストを使って〈現在〉を描き出すところに劇作家・前川の力量がある。20日まで、世田谷パブリックシアター。」