世田谷パブリックシアター開場20周年記念公演『子午線の祀り』成河インタビュー!
「険しく、高い山を登る気持ちで挑みたい」http://enterstage.jp/interview/2017/06/007435.html
(文/杉田美粋さん 撮影/関口佳代さん)
“言葉の源流”に触れたという感覚
「いろんな言い方ができるとは思うのですが・・・。今思うと、源流っていう方がしっくりくるかもしれません。演劇には「様式」っていうものがあって、僕はその演劇のいろんな様式に興味があり、それぞれの手法で織りなされる様式美が好きで、学生時代からの観劇も含めて演劇に関わってきました。今になって分かることは、様式って「言葉」が決めているんですよね。この言葉をしゃべるために、こういう身体になろう。そんな思いの中で、この『子午線の祀り』を読んで、“言葉の源流”がここにあるなと感じたんです。」
「僕が好きだったのは、つかこうへいさんであり、野田秀樹さんであり、唐十郎さんであり、井上ひさしさん。ほかにも、魅了されてきた多くの方の言葉があります。そういった方々の日本語というものに触れてきて、「この日本語をしゃべる身体っていうのは何が一番いいんだろう」という気持ちを持って、今まで役者をやってきました。そして今、そういう方々が紡いできた言葉をずっと遡ったところにあるものに、この『子午線の祀り』という本戯曲を通して触れた気がしたんです。ですので、この作品の稽古は、言葉の源流を辿る旅だと思っています。険しく高い山になると思います。」
1978年の戯曲発表、翌年の初演から39年、7度上演を重ねてきた歴史ある作品 ←知らなかったーー。
「僕自身、日本の伝統や歴史、古典にそこまで知識があったわけじゃないですよ。でも、読んでみたら分かるわけですよ。それを伝えるための言葉が深くて美しくて幅があるということを、僕は学びましたし、伝えたいと思っています。だから、こういう作品を観てこなかった方や、観られなかった世代の方たちにもこの世界に入ってみようとしてほしいですね。」
「舞台の上に人がいて、言葉をしゃべって、いろんなところに連れて行ってくれる。さらに、自分から入っていこうとするだけで、楽しさは2倍にも3倍にもなる。エンターテイメントってそういうことだと思うんです。演劇“初心者”の方、そういうことを体験したことがなかった人にも、この作品を観ている時間を贅沢なものだと感じてもらえたら嬉しいです。」