いつもながら素晴らしい文章。あの舞台のことをこんな風に書けるなんて！！
SEVEN HEARTS 阪 清和さんの【舞台】羅生門（2017）http://blog.livedoor.jp/andyhouse777/archives/66261614.html
最後だけ抜粋。
「荒廃した世界に描かれる人間の根源的な罪と、絶望的な状況。こいねがっても得られぬ夢や欲望。ただれたような人間関係…。あまりにも普遍的であるため、時代を超えて現代の観客にも突き刺さるテーマを時には妖しく、時には母のようにたおやかに優しく包むのが音楽やダンサーたちの身体表現。俳優たちも役柄の心情をダンスなどで表現することを求められるシーンもあり、すべてのシーン、すべての動きが有機的につながっているような感覚がある。インバル・ピントとアブシャロム・ポラックが目指す「総合芸術」としての演劇のひとつの完成形がここにはある。そしてそれは同時に未完成で常にうごめき、それぞれの時代でそれぞれの状況でかたちや色を変えていく生き物のようでもある。」「すべてが終わったとき、夢を見ていたのだろうかと感じる自分に気づいたが、その直後にすべてのシーンが一瞬にして現実の世界へと流れ込んでいき、たちまち夢と現実をひとつの世界に包んでしまった。圧巻の体験。いまシアターコクーンは羅生門という結界への導き路へと続く入り口に存在している。」
