スパイラルホールにて３回目の『ミネオラ・ツインズ』観劇。南４列目。90分とは思えない体感。すごく面白く観ました。３回目にして、この舞台を今やることの意味をズシリと感じました。世界中にある境界線がなくならないこと、自分と違う価値観を受け入れないこと、を思う時間。コメディ味が足りないと思ったけれど、価値観の対立がある意味コメディなのかもしれない。
一卵性双生児の姉妹マーナとマイラ、保守（ジムがマイラと浮気してからマーナは過激に…）とリベラルという価値観の違う女性の年代ごとの変化をとても自然に演じ分ける大原櫻子ちゃんがとても良くてかっこよかったです。
マーナの息子ケニーとマイラの息子ベンという14歳（年代は違う）を演じた八嶋智人さんがお利口で可愛い！体のキレがいい！ケニーもベンもそれぞれ母と思想が違う叔母に憧れ、慕うのは少し切ないけれど、それが14歳、なのかな。
そして八嶋さん、王下貴司さん、斉藤悠さんが場面を繋ぐ小野寺さんのステージングは惚れ惚れするくらいカッコイイです。王下さんと斉藤さんは〈物語全体を監視・拘束する〉役割を与えられています。
【夢の場面 その２】のマーラが精神科に入院している夢。マーラと精神科の助手（王下さんと斎藤さん）とのダンス。戯曲を読むとその夢は過去にあったこと…。他の夢の場面もきっとあったことなのでしょう。
各時代に使われている曲もとても良かった！聞いたことあったり知っている曲だけですが…歌詞がわかれば時代背景がもっと見えてくるのでしょうね。戯曲の本作を彩る実在の人物参照。
【オープニング】 I Will Survive https://youtu.be/FHhZPp08s74 @YouTubeより
【1950年代のミネオラ】キョンキョン演じる22歳のジムがプレイボーイっぽくパイプを手に、17歳のマーラがアルバイトしている食堂にリズムに乗って登場する場面の曲。でも実はジムは🍒↓
A Sweet Old Fashioned Girl (テレサ・ブリュワー)
【1969年】マイラはベトナム反戦を訴える運動に参加して逃げていたのかしら。
Joan Baez performs "We Shall Overcome" at the March on Washington
「We shall overcome／勝利を我らに」（ジョーン・バエズ） はボブ・ディランの「Blowin' In the Wind／風に吹かれて」と共に公民権運動のテーマソングだったらしい。
STORY「舞台は、ニューヨーク郊外の小さな町ミネオラ。一卵性双生児マーナとマイラ姉妹(大原櫻子)は、全く同じ容貌なのに性格は全く似ても似つかず、お互いを遠ざけながら生きてきた。
始まりは１９５０年代。核戦争の恐怖が日常生活にも蔓延るアイゼンハワー政権下。保守的な女子高生マーナは、結婚こそが輝かしいゴールだと、すでにジムと婚約中。一方のマイラといえば、世間の常識なんかクソくらえの反逆児。男の子たちと“発展的”交際を広げている。そんな評判が耳に入る度、お堅いマーナのストレスは爆発寸前。ある時、素行の悪いマイラを諭そうと、マーナに頼まれたジムがマイラの元へと向かったのだが…。
時代は飛んで１９６９年。ベトナム戦争の泥沼にあえぐニクソン政権下の世の中。“良い子”マーナと１０代の息子ケニーが銀行の列に並んでいる。ラジオからは、過激な反戦運動に身を投じたマイラが、ついには指名手配の逃亡犯になったニュースが流れてきた。ところが、不仲だったはずのマーナは、その銀行でマイラのための逃走資金をおろし、息子ケニーをマイラの隠れ家へと向かわせようとしていた…。一体、マーナの真意はどこに？
そして場面は、２０年一気に飛んで１９８９年。パパ・ブッシュ政権下の世の中へ。ラジオからは番組ＤＪの声が聞こえる…。
「言い返せ！やり返せ！咬みつき返せ！」
その声の持ち主は？
ジェンダー、セクシュアリティ、人種、格差…
時代と価値観の変遷の中で、真逆の道を歩んできた双子姉妹が見る夢は…？」
初日『ミネオラ・ツインズ～六場、四つの夢、（最低）六つのウィッグからなるコメディ～』★★★★
『ミネオラ・ツインズ～六場、四つの夢、（最低）六つのウィッグからなるコメディ～』２回目
