ほらほらコーヒーが冷めちゃってるよ 2

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小泉佳穂の存在

小泉佳穂がいるといないとでは浦和のリズムが明らかに違う。ACL経由でさらなる高みへ【コラム】 サッカーマガジンWEB soccermagazine.jp/j1/17532992

文◎国吉好弘さん

 

【全文】

◼️相手を苦しめるアイディアとひらめき

4月10日のFC東京戦(J1第8節)で0-0と引分け、3試合連続のドローで勝ち点を伸ばせない浦和レッズだが、リカルド・ロドリゲス監督は試合後「全体的には、非常に良いプレーができていたと思います。チャンスも多く作れていた」と語り、無得点に終わったことは引き続きの課題ながら、プレーの内容については合格点を出した。

 この試合で、指揮官のいう「多くのチャンス」に起点として絡んでいたのが3試合ぶりにスタメン出場した小泉佳穂だった。

 22分に巧みなターンで相手のマークをかわしてペナルティエリア前の柴戸海へつないだところから、キャスパー・ユンカーを経てダヴィド モーベルグが決めるシーンを作り出したが、これはVARチェックの末に酒井宏樹オフサイドで取り消された。34分には、ボックス内左で受けてターンし一旦、柴戸海に戻してリターンパス受けて左足でクロス、右から上がった酒井がヘッドでGKを破るが、カバーしたFC東京森重真人に阻まれ、こぼれを江坂任がボレーで狙ったが左へ外した。

 さらに41分には、中盤で柴戸のパスをダイレクトで左スペースへ送って明本考浩を走らせ、折り返しを江坂がつないで、ユンカーがフリーでシュートするが左へ外す決定機を演出した。いずれも得点になってもおかしくない、ロドリゲス監督が頭を抱えたくなるシーンだった。

 これらのシーンが象徴するように、小泉のプレーには相手にとって厄介な展開を生み出すアイディアとひらめきがある。それは高い技術と視野の広さから生まれるもので、彼の特長である左右両足をそん色なく使いこなせることも大きい。どちらの足でも確実にボールをコントロールし、正確に蹴ることができる。さらにはボールを持って左右どちらにもスムーズにターンできるので、背後や左右から寄せてるくる相手をかわすのもうまい。

「今日ははボールも握れて、自分も少なからずボールに絡めた中で、結果的に0点でしたけどチャンスはいくつか作れました。決め切るところを決めると、言うのは簡単ですが、チームとしてはああいうチャンスをたくさん増やすのが大事だと思います。あとはもっと、その中に自分がどれだけ絡めるかというところで、もう少しゴール前で仕事ができればと思っています」と、手ごたえと課題を語った。

◼️国際舞台を経験すれば代表も
 今季の浦和にはモーベルグや4月新加入のアレックス・シャルクをはじめ、松尾佑介、松崎快らも加わり、豊富な陣容を揃えているが、その分出場メンバーも流動的で、昨季築いたリカルド監督が求めるスタイルを発揮できない試合も少なくない。例えば第6節の北海道コンサドーレ札幌戦は押し込まれてカウンターを狙う展開になり、第7節の清水エスパルス戦では途中で伊藤敦樹が退場処分となるアクシデントがあったにせよ、落ち着いてゲームを組み立てることができなかった。この2試合には小泉がほとんどプレーしていなかったことも影響していただろう。

 充実したメンバーを擁しているだけに、小泉が欠場してもレッズはJ1を戦うレベルを維持できる。しかし、いるといないとではボールを動かすリズムが明らかに違う。中盤で緩急の変化をつけるには小泉の存在が重要になっている。リカルド監督が熱望してチームに加わった岩尾憲はその戦術を最も理解していると言われるが、まだレッズでフィットしきれていない面も見られていた。それでもこのFC東京戦では、岩尾が深い位置でボールを持ち、続いて相手陣内の小泉に預けるシーンが何度も見られ、スムーズな連携を生んだ。目指す方向性を進んでいるように映った。

 この連係の良さを維持して、AFCアジアチャンピオンズリーグACL)に臨みたい。ここで本来狙う「ボールを支配して主導権を握る攻撃的なサッカー」を確立することができれば、その後のJ1での復調につながるはずだ。

個人的には、小泉がACLという国際舞台で大きく成長することができれば、日本代表の座も狙えると思っている。

 フォーメーションを4-3-3にして川崎フロンターレのスタイルが色濃くなっている日本代表は、中盤の遠藤航、守田英正、田中碧が絶対的存在だが、3人に次ぐバックアップは手薄だ。小泉は国際試合の経験を積み、プレーの強度が上がればその候補になり得る。インサイドハーフとしてより攻撃に変化をつける存在になるのではないか。

 それだけの可能性を持つ選手だと見る。まずレッズの中軸を担う存在となることが先決だが、それが日本代表の地位をつかむことにもつながってくる。