ほらほらコーヒーが冷めちゃってるよ 2

好きな人に伝えたいことはできる限り直接伝えます。都々逸作っています。浦和レッズと演劇と映画と音楽が大好き! 田島亮(・中嶋将人)、成河、亀田佳明、イキウメと浜田信也。演出家・藤田俊太郎を応援しています。小林賢太郎・片桐仁、ラーメンズは永遠に好き。B'z、BrandonBoyd&Incubus、JasonMraz、大橋トリオ、Eddie Redmayne

彩の国シェイクスピア講座『ジョン王』徹底勉強会 第1回

埼玉会館へ。ビストロやま以外で行ったのはじめて。f:id:Magnoliarida:20221106190731j:image

彩の国シェイクスピア講座『ジョン王』徹底勉強会 第1回「『ジョン王』の面白さはどこにあるか」講師は河合祥一郎先生。

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『ジョン王 King John』の注目ポイント

①母コンスタンスの嘆き

②アーサーの哀れさ

③私生児(BASTARD)フィリップのトリックスター


美しい台詞(「弱強5歩格」のリズムで殆ど一行10音で書かれているってシェイクスピア凄すぎ。韻文100%はジョン王とリチャード二世だけ。)を河合先生の美声で聞くことができましたし、何より面白そう。蜷川さんが演出したくないと後回しにしたのは何でかなぁ。

いやもうジョン王卑怯者だわ〜。アーサーを殺したヒューバートの役はどなたかしら? ←高橋努さんでした。

タイトルロールですがジョンはシェイクスピアの『ジョン王』の主役ではありません。アンジュー家プランタジネット家)ヘンリー2世の末っ子五男(長男ウィリアムくんが3歳で亡くなっているので四男)で、ヘンリー2世は兄たちに土地を分け与えジョンが継承できる土地がなかったのでジョンのあだ名は「失地王」(Lackland)。ジョンは兄リチャード獅子心王の跡を継いでイングランド国王に即位、プランタジネット朝第3代イングランド王🏴󠁧󠁢󠁥󠁮󠁧󠁿に。フランスにある広大な領土も相続。当時のフランス領土の地図を見ると現在と全然違います。f:id:Magnoliarida:20221107214928j:image
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第4幕第1場。アーサー少年が目を潰されると知って懇願する。詩人のA・C・スウィンバーーがシェイクスピアが書いた最も感動的な場面として絶賛した。f:id:Magnoliarida:20221108124757j:image
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「弱強5歩格」赤字は強く。f:id:Magnoliarida:20221107220028j:image

★鋼太郎さんがチョイスしたのはバスタードを主人公にする構成

吉田鋼太郎演出「ジョン王」の主演はタイトルロールのジョンではなく、私生児(BASTARD)のフィリップ・ザ・バスタード。

あらすじ「イングランド王ジョン(吉原光夫)の下へ、先王リチャード1世の私生児だと名乗る口の達者な男が現れる。ジョンの母エリナー皇太后中村京蔵)はその私生児・フィリップ・ザ・バスタード(小栗 旬)を親族と認め従えることを決める。
そこへフランス王フィリップ2世(吉田鋼太郎)からの使者がやってくる。ジョンは、正当な王位継承者である幼きアーサーに代わってイングランド王となっていたが、「王位をアーサーに譲り、領地を引き渡すよう」に要求しにきたのだ。それを拒んだジョン王は、私生児を従えてフランスと戦うために挙兵する。
まんまと王族の仲間入りをした私生児は、権力者たちの愚かなふるまいを鼻で笑いながらも、戦争へと巻き込まれていく。
アーサーの存在が疎ましいジョン王は、腹心の臣下であるヒューバートに、恐ろしく非情な命を下す。この決断が、ジョン王と私生児の運命を大きく狂わせるのだった。
権力者の思惑に振り回され、世界は混迷を極めていく

フィリップ・ザ・バスタード(小栗 旬):ジョン王の兄、リチャード獅子心王の私生児。
ジョン王(吉原光夫):イングランド王。中身がなく、残忍で優柔不断な男。
太后エリナー(中村京蔵):亡きヘンリー2世の妃で、ジョン王の母。
コンスタンス夫人(玉置玲央):・幼きアーサーの母。アーサーを王にするため、フランスを頼る。
ルイ皇太子(白石隼也):フランス王の息子。冷静な野心家。
ヒューバート(高橋 努):ジョン王の腹心。ジョン王の命でアーサーに同行する。           
ブランシェ(植本純米):ジョン王の姪で、スペインの王女。ルイ皇太子と結婚する。
フィリップ2世(吉田鋼太郎):フランス王。正当な王位継承者アーサーを支持し、ジョン王と戦う。

ジョン王はかなり卑怯な男だったようです。王位継承者であった兄ジェフリーの子でまだ少年のアーサーを腹心ヒューバートを使って殺害を目論みます(実はヒューバートはアーサーを殺せなかった)

この物語、これだけ?と思ったのだけど、きっと鋼太郎さんが面白くしてくれるはず。

 

コロナで中止になってしまった2020年のインタビュー「主演・小栗旬が語る、シェイクスピアの“問題劇”『ジョン王』 親交が深い吉田鋼太郎横田栄司とのクロストーク模様も」

鋼太郎さん「ちょっと、寓話的にも読み取れるんですよ。要するに、敵対するイギリスとフランスの間に私生児がいて。もちろんイギリス側なんだけれども、自分の主君も平気で批判するし、あるいはフランス側を褒めたりもする。二つの権力に対して、彼はある意味とても批判的な目を持っているんです。でも皮肉なことに彼は、正統な血筋ではなく私生児であって。つまり、何も関与していない人間こそが冷静な批評眼を持てるのではないか。そういったことが、この作品には書いてある気がするんです。ただ、それをどうダイナミックに見せていくか……今の時点では、まだ具体的なことは語れないんですけど(笑)。だけど、歴史イコール、必ず誰かしら英雄がいて、その人間がすべてを動かしてきたわけでは決してないぞ、ということ。その裏には、根底には、もちろん庶民がいて、その彼らの意見もあって。そのへんのところも混在している芝居として描ければ、より面白くなるのではないかと思いますね。また、この私生児というのが、非常にパワーがあるキャラクターなんです。肉体的にも精神的にも。だからこそイギリスとフランスの間を行ったり来たりしながら、そして戦いながら批評をし、何かを守りながら誰かを殺していく。本当にものすごくパワーがある役です。」

横田「(ジョン王は)まあ、ひどいね。ダメな王様だよ。そういう小さい男を、スケール大きく演じてみたいです。スケールの大きい、小さい男というか(笑)。」

 

「弱強五歩格」についてわかりやすい説明がありました。たまたま河合先生の講座です。

《たっぷりシェイクスピア!》演劇講座 vol.1シェイクスピアの台詞の音楽性 【講師:河合祥一郎

ロビンフッド12世紀のイングランド、王リチャード1世は「獅子王」の異名を持つほどに優れた王様。けれどある日遠征の最中敵に捕まってしまいます。すると、留守を守る弟のジョンは、民に重税を課し、私利私欲に走る勝手な振る舞いを始めます。悪政に苦しめられた民は追い詰められ、貧困に喘いでいました。そんな中、人々を守るために立ち上がったのが元は領主であったロビン・フッド。彼は緑の衣を纏った弓の名手。仲間たちとシャーウッドの森に隠れ住み、悪政の限りを尽くすジョン王に立ち向かいます。」

ノルマン・コンクエストやジョン王の暴政など、辛い世情に対抗して、人々の「こんな英雄がいてほしい」という願いのもと、生まれたヒーロー。

waqwaq-j.com

 

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