シアターイーストにてserial number『スローターハウス』観劇。
「障害者を殺した青年と殺された母の、この世に在るありとあらゆる断絶、その狭間で紡がれる、絶望と希望に関しての対話劇。」
記憶に新しい2016年相模原の障害者施設で起きた入所者19人が元職員に刺殺された事件。その元職員が意思疎通が十分にできない障害者には人権がないなどと主張していた凄惨な事件を元にした作品という情報が出ていた。詩森さんだからかなり取材しているだろうし内容が重いのでキツイかなと観るの迷ったけれど那須さんと津村さんが出るなら…と行くことにしました。J列下手で。
ものがたり「少年は過酷な環境の中育ち、取り返しのつかない犯罪を犯した。それは障がい者をこの世に必要ないものと考えて殺すという許されざる犯罪だった。未成年だった青年は20代後半となり刑務所を出て、いまは孤独に暮らしている。(実際の事件とは設定が違う)
そこにひとりの女が訪ねてくる。それはかつて彼が殺した障がいを持つ子供の母であった。ふたりの行き場のない会話が、鋭く現代を切り裂いていく。」
上演時間90分。出所して名前を変えてひっそり暮らしている青年・前島亨(原嘉孝)が自分を訪ねてきた被害者直樹(新垣亘平)の母親佐恵子(那須佐和子)に提示した1時間半。リアルタイムで進んでいくふたりの会話。時折、事件のとき当直で顔を刺され今でも職員だという戸田(津村知与支)が語り手となり直樹の回想シーンが挟まれる。
あの那須さんと堂々と対峙する原くん凄いな。
前島が意思疎通を取れない人間は動物以下だと思っている言葉がセリフに出てきて辛い。まるで理解できない。
怪我を負った職員の戸田に対しての戸田の母親の言葉は・・世間なのだ。
そこで終わるの?という終わり方だった。答えが出ないのだ…
相鉄ローゼン… 直樹とお母さんといつも行っていたんだなぁ〜「ローゼンでシール買おうね」横浜の家の近くにもローゼンがあるから、このセリフが出るたびにものがたりとは違う懐かしい感情に… 恐竜が大好きな直樹くん、言葉だって話せるし青年と何も変わらない。知ろうともしないで世の中に必要じゃないと他人に決める権利はない。
続きます。
「お告げ?」・・
slaughterhouseとは殺場 畜殺場、修羅場を意味する。
「タイトルは敬愛する作家カート・ヴォネガットの作品『スローターハウス5』へのオマージュです。ヴォネガットは「戦争は子供を奴隷にする」との言葉を残していますが、いまや社会全体が子供を奴隷にするシステムなのではないか。わたしたちの稽古場でのもがきが、そのシステムに例え糸ほどの儚い亀裂でいいから走らせることができたらと願います。」と詩森さん。スローターハウスを検索したとき真っ先に出て来たのがこの本だったので何でだろうと思っていました。
作・演出:詩森ろば
出演:原嘉孝、那須佐代子、津村知与支、新垣亘平
舞台美術:杉浦充 照明:榊美香(有限会社アイズ) 音響:青木タクヘイ(STAGE OFFICE) 舞台監督:土居歩/田中翼 演出助手:溝端理恵子 宣伝美術:詩森ろば
芸劇一階のおにぎり屋さんお休みだったので地下のカフェでボロネーゼ。