ほらほらコーヒーが冷めちゃってるよ 2

好きな人に伝えたいことはできる限り直接伝えます。都々逸作っています。浦和レッズと演劇と映画と音楽が大好き! 田島亮(・中嶋将人)、成河、亀田佳明、イキウメと浜田信也。演出家・藤田俊太郎を応援しています。小林賢太郎・片桐仁、ラーメンズは永遠に好き。B'z、BrandonBoyd&Incubus、JasonMraz、大橋トリオ、Eddie Redmayne

デカローグ 第5話 ある殺人に関する物語

DEKALOGデカローグ 第5話『ある殺人に関する物語』のDVDを見た。 昨日6を観たのだけれど、5はまたこれまでと全然違う。これまでの1〜4も、全部普通の人たちの話で、全部違う偶然と選択。‬クシシュトフ・キェシロフスキの凄さ。

(デカローグDekalog は1989年から1990年にかけて製作されたポーランドのテレビドラマ・シリーズ)(元浦和のスコルジャ監督🇵🇱も観たかな〜)

6は『愛に関する短いフィルム』、5は『殺人に関する短いフィルム』としてロングバージョンで映画化されていて、翻訳の久山さんが「死刑制度に異議を表明する社会的作品であるこの作品『殺人に関する短いフィルム』を劇場で見て、その芸術性の高さに圧倒された」という。

撮影カメラマンが全話違う(3と9は同じ)という効果も大きい。5はキェシロフスキと大学の撮影科で出会い作品に多く参加しているヴォミル・イジャック。黄緑色のフィルターを通したカメラの映像の効果も大きく、ズビグニエフ・プレイスネルの音楽も絶妙です!

キェシロフスキは「殺人」というテーマを撮るにあたりレンズに緑のフィルターをつけて撮影したそうだ。「緑色は春の色、希望の色と言われているが、カメラに緑色のフィルターを装着すると、世界はいっそう残酷で、しらけきって、空虚になる。」そうキェシロフスキは語っている。

「デカローグ1」と違う意味でとても苦しかった。重い…「法は自然の法則を真似ずに改良すべきだ。法は人間どうしの関係を規制するために作られている。我々の生き方そ のものが法であり、その効力を守ったり犯したりする。人間は自由だ。だがその自由は他者の自由に制限されている。刑罰は復讐である。特に犯罪の防止ではなく、犯罪人を傷つける時は。法が復讐するとは何事か。 無垢なる者の代りに?法を作った者は無垢なのか」(リーフレットより)彼の弁護を担当する新米弁護士ピョートルのモノローグと、一年前の事件当日のまだ20歳のヤツェック。 2つの時間軸で進む。

<あなたはなにものをも殺してはならない> 撮影:スワヴォミル・イジャック

STORY「20歳の青年ヤツェクは、街中でたまたま、傲慢で好色な中年のタクシー運転手ワルデマルのタクシーに乗り込み、人気のない野原で運転手の首を絞め命乞いする彼を撲殺する。殺人により法廷で有罪判決を受けたヤツェクの弁護を担当したのは、新米弁護士のピョトルだった......。」(新国立劇場の「デカローグ」より)

若者の暴力。上の階から落ちてきた雑巾、トイレで人を突き落とす、高架から石を落とす、最後に彼も…

カフェでシュークリームを食べ、ロープを手に巻くヤツェック。 ピョートルが「カインの昔から刑罰によって人は変わらないし犯罪を抑止する力になり得ない」と弁護士の面接試験で語っていたのは同じ時、同じカフェだったという偶然の残酷さ。

カフェを出たヤツェックを乗せたタクシーがすれ違った天使は道路工事作業員でこれまで(5作品を観て)にない表情で彼を見つめていた。首を少し振ったようにも見えた。このタクシーにドロタのアンジェイが乗車を断られる(時はデカローグ3より前ではなく元気になったアンジェイかしら?)

誰でもよかったのか… あのとても感じの悪いドライバーじゃなくても?躊躇いもなく?という殺人。(ドライバーは感じが悪かったけれどサンドイッチを持たせてくれる奥さんのことは愛していたと思う。犬にも優しかった)

ヤツェックがロープで首を絞めたタクシードライバーを運んだ池はパヴェウがスケートした池だ。小説に「去年の暮れに水死事故があった」とあった。車に残された運転手が野良犬にも分けてあげたサンドイッチを食べるヤツェック… という誰にでもある矛盾。

一年後の死刑執行の日、ピョートルに子どもが生まれたことが検事との会話でわかる。ここにも天使が🪽

ヤツェックがどうしてそうなったかは語られないけれど、彼の友人の飲酒運転で12歳で亡くなった妹が影響しているのでしょうか。この5にも写真(過去)が出てきた。広場にいた可愛い少女、ヤツェックが笑ってみせたカフェの窓越しの少女たちは妹と同じ年くらいにだったかな。

「あなたはなにものをも殺してはならない」

非常な殺人を犯した青年と、法権力が行う死刑という殺人。(ポーランド🇵🇱 人権と基本的自由の保護のための条約を批准すると1998年9月1日に法改正され完全に死刑制度は廃止された。)(日本は死刑制度が続行されている)

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小川絵梨子さんの演出でどんな演劇になるのだろう。現在上演中の1〜4と同様に想像もつかなくて楽しみ。セットは変わるだろうけれど、5と6同時になんて、どうなるの?

「プログラムC(5話6話)も通し通しの稽古になってきました。」と6に出演する田中亨くん。

🎞️ Krzysztof Kieślowski