デカローグ プログラムDラスト『デカローグ7・8』観劇。寂しいーーーーーーーーーー。今日はB3列(フルチケット券)にて。
1〜10まで観てきて「デカローグ8」がこの壮大なドラマの核なんじゃないかなと思っています。
そして「天使」と呼ばれ、劇中では「男」として現れる彼の存在は…
私たち一人ひとりの中にいる「自分の存在をもう一人の自分が俯瞰で見ている、見つめている」そういう存在かなと思いました。だから…そこにいる全員に見えているわけではない。
7月5日の『デカローグ 7・8』(プログラムD)2回目★★★★★🚕🍰デカローグ7(プログラムD) ある告白に関する物語 演出:上村聡史
<あらすじ>「国語教師と女子高生の娘の間に生まれた子供を密かに自分の子供として育ててきた母親の真実。 両親と同居している22歳のマイカは、最終学期中に大学を退学。彼女は6歳の妹アニャを連れてカナダに逃れたいと考えていた。実はアニャはマイカが16歳の時に生んだ子供で父親はマイカが通っていた学校の国語教師ヴォイテクであった。その学校の校長であったマイカの母エヴァは、その事実が醜聞になることを恐れ、アニャを自分の娘としていたのだった......。 」
出演:吉田美月喜、章平、津田真澄/大滝 寛、田中穂先、堀元宗一朗、 笹野美由紀、伊海実紗/安田世理・三井絢月(交互出演)/亀田佳明
世の中にはいくつもの理由から自分の娘に愛情をもてないエヴァ(津田真澄)のような母親が想像以上いるのかもしれない。二度と出産できないことが実の娘に冷たく当たる理由だったら本当に悲しい(私も一人っ子で、小さい頃母は入退院を繰り返していたけれど愛情深く育ててもらったから)。父ステファン(大滝寛)もエヴァに負い目があるのかマイカ(吉田美月喜)に優しくしてあげられない。ステファンもエヴァにプライドを奪われているように見える。
厳しい母の元いい子の殻をかぶってきただろう16歳のマイカの妊娠で家族の日常が変わってしまったのだと思う。
「マイカはあなたの子供、アニャは私の子供」とステファンに言うエヴァの言葉にゾッとした。
【あなたは盗みをしてはならない】
アニャ連れてアニャの本当のパパであるヴォイテク(章平)の家を尋ねるも拒絶され(だからマイカも彼に素直になれない)味方が誰もいないマイカが悲しい。
アニャにテディベアを作ってみせるヴォイテクはパパの顔になっていたけれど、エヴァに国語教師の道を断たれ(将来を盗まれた)世間の険しい奔流の中を必死で生きてきたのだろう。家を出て行ったマイカとアニャを追うときの映像がヴォイテクの人生を映しているようだった。
アニャを連れて駅で始発を待つマイカ。探しに来たエヴァとステファンの声を聞いて「ママ!」と、エヴァの胸に飛び込むアニャ。最後にやっとマイカの手を握り引き止めようとしたエヴァにマイカへの愛情がはじめて見えたけれど、マイカにほしいのはアニャだから。遅いよぉ。
全員が別々の方向を向いているラスト。松葉杖の男(天使・亀田佳明)はアニャだけを見ているラスト、いつか本当のことを知ることになるだろうアニャ。悲しいラストでした。そして前へ進むマイカ。 (撮影:宮川舞子さん)
阿部海太郎さんの音楽がたまらない(T ^ T)
もし長編にするなら上村さんがアニャのその後を舞台にしたいと言っていたデカローグ7。
幕開け、同じ場面が繰り返される。最初はいなかった松葉杖の男(亀ちゃん)が見ている演出のことを上村さんにお聞きしたい。(撮影:宮川舞子さん)
🚕🍰デカローグ8(プログラムD) ある過去に関する物語 演出:上村聡史
出演:高田聖子、岡本 玲、大滝 寛/田中穂先、章平、堀元宗一朗、笹野美由紀、伊海実紗/亀田佳明
<あらすじ>「倫理学を教える大学教授とその聴講生。聴講生の質問は教授の隠された過去を暴いていく。 スポーツ好きの女性大学教授ゾフィアは、隣人の切手コレクターと親しくしている。ある日、勤務先の大学に、ある日ゾフィアの著作の英訳者である女性大学教員エルジュビェタが来訪する。ゾフィアの倫理学講義を聴講した彼女は、議論する為の倫理的問題提起の題材として第二次大戦中にユダヤ人の少女に起こった実話を語り始めるが、その内容は二人の過去に言及したものであった......。」
いちばん好きなのが『デカローグ8』。映像を全て見終わったときもそう思いました。
📀DVDの感想📀デカローグ第8話 ある過去に関する物語
他の9作品もだけど、少しのせりふで登場人物の過去がわかります。
苔むした厚い壁、SIN(罪)という文字が映し出された壁を前に膝から崩れ落ちる男(亀田佳明)の後ろ姿から始まる最初の場面、男が壁を押して消えてゆくときの映像がとてもよかった! この壁が時空を超え観客を過去に連れていきます。第二次世界大戦のワルシャワの 1943年の〈あの夜〉に。この男は少女の付き添い人ですね。 (撮影:宮川舞子さん)
【あなたは隣人について偽証してはならない】
命とは、正義とは、神とは、どう生きるか、、
最初に書いたように1〜10まで観て「デカローグ8」の核だと思う(*)(新国立劇場Instagram)
以下思いついたことをパラパラ書いているので取り止めのない感想になっています。
終盤で、お紅茶(重要な小道具となる🫖)を飲みながら、 エルジュビェタ(岡本玲)に過去〈あの日の夜〉にあったこと、消えない後悔、そして「何よりも子どもの命が大事」だと話すゾフィア(高田聖子)。
〈あの夜〉6歳のユダヤの少女=エルジュビェタに紅茶🫖を出してくれたのがゾフィアでした。父親がゲットーにいる少女を避難させるために課されたのがカトリックの洗礼。その立会人になることを承諾したのに直前に断った夫婦の妻がゾフィアでした。自分たちを守るために少女の命を優先しなかった「神さまに嘘はつけない」と言って。
ふたりが通じ合ったことが伝わってきたとき、エルジュビェタに話した「誰にでもある善を信じたい」善か悪かを決めるのは「内なる声に耳を傾けるのよ〜」という台詞がそれ(*)じゃないかな。
★その【内なる声】が、このデカローグに出てくる「天使」なのかなぁ〜。
『デカローグ8』は完走した観客(の一部の天使ファン)にも特別なご褒美の章だったと思う。だって「亀田佳明さんが、天使が、喋ったーー」のですから。
そう、ゾフィアの「倫理的課題」というテーマを分析する講義で女子学生が提示した「癌で死にかけている男の妻と医師の話〜(これはこの物語の中では実話で「デカローグ2」の内容)」を途中から天使が語る演出だったんです!『デカローグ 2・4』プログラムB★★★★★ - ほらほらコーヒーが冷めちゃってるよ 2
「偶然にも」(の第一声にキャー🙊)「〜夫がいつ死ぬのか、医師から聞き出そうとする〜」女子学生も話していますから、その声が聞こえ、天使が見えるのは観客だけ。★天使は姿勢が良く、凛として美しい★
職業倫理か、命か、医師はカトリック。←カトリックが「デカローグ8」のキーとなります(デカローグ2も)。【デカローグ1からそうです。デカは数字の十、ローグは言葉。ベースに「旧約聖書の十戒」があります】(撮影:宮川舞子さん)
あ、ゾフィアの隣人である切手コレクターの紳士(大滝寛)が2回出てきますが、団地の外で会ったとき心臓を押さえ苦しそうにしたとき天使が彼を見つめているのですよ。その場面がデカローグ10に繋がっていて、→大滝さん出てきませんがお茶目なお顔が浮かぶのよー。
・神と言う言葉は使わない、使わなくても信じることはできると語ったゾフィアの息子さんは牧師になっていた。
・書きたいことがまとまらない!!
・「ちょっと遅すぎだかもしれない」けれど「明日も続ければもっとできる」と言った公園の朝活仲間(違う?)のクネ男(田中穂先)の言葉が明るい。
ラスト、エルジュビェタが、1943年に6歳の自分を助けようとしてくれた仕立て屋さん(大滝寛/2役)を尋ねる場面💐💐💐に繋がる長い場面転換のときの美術と照明と、彼らを包む音楽がとても美しく、希望的で涙が…。
(あの仕立て屋さんはゾフィアの元夫?と深読みしてみましたが、夫は亡くなっていますね)
「生きていた」エルジュビェタのこの来訪により、ゾフィア、 エルジュビェタ本人、過去にユダヤ人の女の子を匿おうとしてできなかった仕立て屋、全員の魂が救われた再生の物語。
衝撃的な死を描いたデカローグ1から始まった物語。この8を最後にせずに、同じく死を描いているのに「人間って🤣」と笑って終わる「デカローグ10 ある希望の物語」を最後にしたクシシュトフ・キェシロフスキさん、粋です。
📌占領下のポーランドのゲットー(ホロコースト百科事典)@HolocaustMuseumより
原作:クシシュトフ・キェシロフスキ/クシシュトフ・ピェシェヴィチ
翻訳:久山宏一 上演台本:須貝 英
演出:E小川絵梨子/D上村聡史
美術:針生 康 映像:栗山聡之 照明:松本大介 音楽:阿部海太郎 音響:加藤 温 衣裳:前田文子 ヘアメイク:鎌田直樹 演出助手:長町多寿子/西 祐子 舞台監督:濵野貴彦 清水浩志 総合舞台監督:齋藤英明 新国立劇場のスタッフの皆様
https://x.com/nntt_engeki/status/1812073697945215087?s=46
【#デカローグ】(1/3)
— 新国立劇場の演劇 (@nntt_engeki) 2024年7月12日
各話、緩やかにリンクし、実はひそかなつながりを持っているという隠された楽しみもある本作✨
プログラムDEのつながりをご紹介🤭
8話で登場した「ポラール・ファールト」を手に入れた!と喜んでいた切手コレクター(#大滝寛)。… pic.twitter.com/uPq4DwqyJq
毎回同じ曲(サントラがあったら「デカローグのテーマ」というタイトルになる)から始まる1時間のドラマ。阿部海太郎さんのサントラ販売してください!