ほらほらコーヒーが冷めちゃってるよ 2

好きな人に伝えたいことはできる限り直接伝えます。都々逸作っています。浦和レッズと演劇と映画と音楽が大好き! 田島亮(・中嶋将人)、成河、亀田佳明、イキウメと浜田信也。演出家・藤田俊太郎を応援しています。小林賢太郎・片桐仁、ラーメンズは永遠に好き。B'z、BrandonBoyd&Incubus、JasonMraz、大橋トリオ、Eddie Redmayne

野田さんの朝日賞スーパートーク つづき 

 ←この写真は授賞式のときの野田さんです。2009年度の朝日賞を受賞したときの野田さんのスピーチを載せておきます。「精神技術」という言葉は野田さんの造語ですって。←授賞式当日の朝に思いついたんだって(*)
『賞罰、功罪と言います。受賞を機に、逆に日本の演劇や文化状況にどんな罪を犯してきたかを殊勝に考えました。
 創造性やモノ作りは、幼児性と深くかかわっています。僕も幼児性をフルに発揮して芝居を作ってきました。ただ、今の文化には、無批判で無防備な幼児性がはびこっています。自分には、その状況の先陣を切ってしまったのではないかと、若干、痛恨の思いがあります。
 演劇を始めたころは、言葉中心の、しかつめらしい文化の時代でした。そこに切り込むのに、自分の幼児性は役立ちました。でも、批評性はあったと自負しています。江戸文化も幼児性が強いのですが、「精神技術」(*)が高かったと思います。
 30代半ばに、そのことに気づき、僕は、精神技術の必要性を感じて、文化が成熟しているヨーロッパに目を向けました。精神技術の手練手管に向かう姿勢を続ける中で、海外への扉も開かれたのだと思います。だから、アニメといった海外で人気の日本文化も、精神技術を伴わないと、いずれあきられ、消費されてしまうでしょう。』

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スーパートーク前半は、「夢の遊眠社」〜「NODA・MAP」の『半神』、『THE BEE』(日本/海外)、『キル』、『赤鬼』(タイ版)等の映像を見ながらのトーク
知っていること、知らなかったこと、楽しく聞いてきました。ロンドン留学のきっかけになった話や、夢の遊眠社を解散することになったいきさつとか、興味深いお話を聞くことができました。
「何かのために芝居をするのはいけないと思う。」「そのために海外に行ったりしている。」「舞台は嘘をつかない。」
前半最後に『ザ・キャラクター』が流れ、「演劇が語るもの」について。
この作品で「やっちゃっいけないことの到達点をやっちゃった」「たかが演劇、ろこつに言ってしまったことはいけない」だから「取り消します!」と。 演劇は「すべて無力」「そのために何かしたいなら、そこに行ってなにかしたほうがいい」「演劇は祈ることでしかない」「(ザ・キャラクターで)無力だと言うことをいっちゃった」「祈ることは自由 そのさきに表現はない」
その反動で喜劇『表にでろいっ!』←これが演劇だよな〜とか。
あーうまく文章に出来なくてごめんなさい。あの芝居を観た方には伝わるかなぁ〜〜

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後半は質疑応答。楽しかったです!!メモが便りなので、野田さんの言葉のままではないことをご了承くださいませ。かなり脳内変換しています。しかも抜粋。 ↓ ほぼ箇条書きですが、野田さんの言葉はあたたかく、とても丁寧で聞きやすく、心地のよいものでした。
 Q.今の若者に
(お芝居をやっている若者へ)「テンションを上げる!」脱力系と言われる芝居をしている(阿部サダヲにしても)決して脱力してないから。
 Q.お芝居や演出で気をつけていること
「表現の説明をしない。」「表現で芝居しない。」「説明のために表現しない。」
 Q.海外のひとたちと仕事するにあたり
文化をリスペクとしていないかぎり一緒に仕事をしてはいけない。
 Q.人の目が気になるんですけれど 
今の若い世代は生まれたときから家庭用ビデオがあって、自分が映っているを見ているので、「自分がどう見られているか不安」という自意識が今のひとたちのほうが過剰じゃないかな。ナルシストが増えるか。不安視する人が増えるか・・。
 Q.女性役について 
小学5年のとき「赤ずきん」の劇を同級生だった金子修介監督とやったときの「赤ずきん」役が初めて。役者やるんだったら、どんなのがきても抵抗なんて言ってられない。(卒業生を送る劇で、小5の金子少年が演出だったそうです←twitterでご本人が教えてくださいました)
 Q.困難だったこと、トラブルについて
トラブルなんてしょっちゅう。トラブルがあったら、すぐに切り替える。そして、次の手を考え、動くから落ち込む暇もない。
 Q.今の若者へ 
ゲームで育ったひとたち、横一列でしゃべらない。携帯もだけど、一緒にいるのに、せっかくいるのに。無視しているのではなく安心しているのか?そういう人間関係。平成生まれは、そういうひとたちが批判されているのを見ているので、しっかりしている?おもしろいのが出て来ている気がする。20歳くらいの若者に期待しているって 
 Q.授賞式スピーチにあった「精神技術」(*)について 
野田さんが思いついた造語。日本の文化の幼さ、江戸時代鎖国したことからじゃないか。外を知らない=「幼くいられる」でもそれが300年つづいた。技術だけは高い日本。
20代のときにテーマ主義から離れようと思った。野田さんは「自分の幼稚さも価値になるよう」やってきた。
親父ギャグも35年間書きつづけるのは大変!=技術=『精神技術』 ということで。
 Q.脚本で大切にしていること
「説明にならない」←私もいつも都々逸でこれを注意されます。
「カットする!」(自分に書いた言葉は子どものようなもので、つまらないものでも愛しちゃうからカットするのが怖い)
書いているひとは、他人の芝居を見ること(・・きっちゃえばいいのにって思うから)
 Q.日本語の強み弱み
日本語の響きは美しい。でも、それは日本人だから思うことで、比較にならない。
七五調のリズムを美しいと思う。
文法が違う。弱みでもあり、強みでもある。
日本語は、日本の考え方 →語尾まで決断を延ばせる。
英語だと、最初に結論を出してしまう。←Yes!〜から始まる。
フランス語はノン(否定しているようでそうでなかったり)=日本語のハイみたい
 Q.影響を受けた本
澁澤龍彦さんとか中井英夫さん とか とか (数人聞き取れず)
 Q.将来役者になりたいんのですが
つまならいタレントは演じることしか考えていない。芝居はそのひとが持っているものすべて出すこと。とにかく「観察する」(いつか役立つのかな)
あと「柔軟」
 Q.この仕事をしていなかったら
いまでも演劇をやっているときは仕事と思わない。仕事はインタビューとかトークとか。他のことは想像したことがない。
 Q.最近感動したこと 
「あるんですけど言いたくない」←(場内爆笑でした〜)
 Q.次回作について
アイデンティティ」のようなものを書こうかな。
『キャラクター』『表に出ろいっ!」と3作、絡めていこうと思っていたけれど、絡めないでもいいかなと思っている。作ってみないとわからない。

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   ソフトで、全然偉そうじゃない野田さんでした。