ほらほらコーヒーが冷めちゃってるよ 2

好きな人に伝えたいことはできる限り直接伝えます。都々逸作っています。浦和レッズと演劇と映画と音楽が大好き! 田島亮(・中嶋将人)、成河、亀田佳明、イキウメと浜田信也。演出家・藤田俊太郎を応援しています。小林賢太郎・片桐仁、ラーメンズは永遠に好き。B'z、BrandonBoyd&Incubus、JasonMraz、大橋トリオ、Eddie Redmayne

新国立劇場『サロメ』3回目★★★★★ 

  
なるべくその日のうちに感想を書くことにしているのですが、このごろの私は毎晩の夜更かしでこの時間になると思考がまわりません・・・これからウクライナvs.フランスですし・・。
EUROダイジェストの間にちょっとだけ。今日は2階A列のほぼセンターでした。上から観たかったんですよ・・水溜の牢屋の外(堀)が。ヨカナーンの足元やナーマンの動きがよく見えました。2階だと鏡の効果は見られませんが。

昨夜のアフタートークで聞いた『ヨカナーンの予言の解釈』が頭にあっての観劇でした。 以下、多いにネタバレありです。平野さんのご本と亜門さん・成河くんの解釈にそって書いてみます。
 
「主は来られた!人の子は、来られた。(半身半馬の)ケンタウロスは川に身を隠し、セイレンは川を去って、森の木の下に身を横たえた(20ページ)」当時人間として神が下りて来ることはありえなかったそうです。そのときが来たら神話の世界の神々はひれ伏すだろう、ということらしい。
 
サロメに強請られはじめて水溜から出てきたヨカナーンは「この世の罪の杯を、早溢れさせんとしているかの人は、どこにある?いつの日か、白銀の衣を纏い、民の前にて、蛆の餌食になりその死を曝すこととなるかの人は、どこにある?(25ページ)」近親相姦の罪を犯したヘロデとヘロディアを探し、警告しています。女の原罪への。
「いつの日か、白銀の衣を纏うかの人」というのは・・民衆の前で死を曝すことになるヘロデの孫ヘロデ・グリッパのこと。ヘロデ王の一族の終焉をといている。そのときに天使がくる(*1)であろうと予言。
 
「宮殿に、死の天使の翼の羽ばたく音が鳴り響いている(29ページ)」さぁ大事件です!w(゜o゜)w ヨカナーンくんが予言していたヘロデ・グリッパのところに来るはずの天使がもう来ちゃったから(*1)。そのとき、サロメが天使を呼び寄せたとヨカナーンくんは知るのです。
この瞬間がほんとうのふたりの出会い:*:・( ̄∀ ̄)・:*:。女がゆえに、のサロメへの葛藤。←「天使とサロメの板挟みですね」と成河くん。
この「主なる神の天使」「死の天使の翼の羽ばたく音」を聞いてからのヨカナーンの予言の対象はヘロディアではなくサロメになります。天使が探しているのが誰か気づいたときから。
 
その後、水溜の牢に戻ったヨカナーンは熱いです。 サロメを追う姿はまるで中学生男子のよう!青い無花果ですから( ̄ー ̄) 「あたしキスする、ヨカナーン」なんて何度も言われちゃってもう・・・内心・・きっとあれよ・・(ごめんなさい、妄想です)
 
カナーンに魅かれ、もう彼のことしか考えられない必死のサロメ。ヨカナーンが欲しくてほしくてたまりません。でも・・ヨカナーンの言葉を聞き逃さないよう理解しようと聞いている好奇心溢れるサロメ姫は、ヨカナーンとはじめてあったときに「バビロンの娘よ、ソドムの娘!」と言われていたことが頭にあるから、「おおおおーー、淫婦よ!娼婦よ!おお!金色に塗られた目蓋と、黄金の瞳を持つバビロンの娘よ!主なる神は告げられた。群衆をその女の許へと来らしめよ。そして、石を拾わせ、女に向かって投げさせよ、と」「部隊長たちに、その剣で、女の体を刺し貫かせ、槍で押し拉がせるのだ」(50ページ)サロメのことです。←この予言が母のことではなく自分のことだと気がついてしまうのです。母のヘロディアはそれも自分のことだと思い怒りまくるのですが・・(かなり自意識過剰です)。
そして薄々自らの死を覚悟し・・蒼褪め放心状態になるサロメサロメの顔色が醜く蒼いのに気づくヘロデ(いつもサロメを見ている)、気づかないヘロディアサロメを見ていないから。ヘロディアは誰も見ていないから)。
 
そして「その日、太陽は、毛織の行衣の如く黒ずみ、月は血のようになるであろう(*2)、天の星々(*3)は、未熟な青い無花果(*4)が枝から落ちるが如く地に落ち、地上の王たちは、震え戦くであろう(52ページ)」でヨカナーンは結末を、自らの死を予言。その後現れる予言者たちの行く末も予言。でも冒頭の予言「私の後には、私よりも更に強力な方が来られるであろう、私など、その方の履物の紐を解くだに値しない(15ページ)」のときからかもしれませんが。
(*2)月は血のようになる:月のように高揚していくサロメ。初潮。(*3)天をあずかる星々:Stars of Heaven 予言者たちのこと。この時点では自分のこと。(*4)未熟な青い無花果:童貞の性器(三島由紀夫さんの作品で、そういう使われ方をしている)
 
なので、静寂のなかでのヨカナーンの死。自ら首を(サロメに)差し出すかのように。「物音一つしない。何も聞こえない。どうしてあの男は泣き叫ばないの?・・・・・あ、何かが落ちた。(75ページ)」
 
後に殺されるサロメもきっと静かに死を選び、受け入れ、自らその首を差し出したかもしれない。そしてヨカナーンのもとへ・・・(後ろの壁に映し出された影絵のように・・ ヨカナーンに優しくつつまれて) かな?
最後の場面、ヨカナーンの首にキスしながら
「・・・でも、もういいの、ヨカナーン、わたしはまだ生きているけど、お前はもう、死んじゃっているんだから、(77ページ)」と。 「まだ、」というのは、死をわかっているからよね? 「わたしは一人の王女だった」ともう過去形。
「愛の神秘は、死の神秘より大きいの。人はただ、愛だけを見つめているべきなのよ。(79ページ)」
 
サロメ』はヨカナーンの予言にひっぱられる、ヨカナーン(を演じる成河くん)なしでは成立しない物語。そして、ヨカナーンサロメ姫の究極の恋愛物語・・愛し方を知らないふたりの純愛。(と思っています。)
 
サロメを見ようとしないヨカナーンですが、牢の中にいるときは地上(ヘロデの宮殿)のサロメを追っています。好きという気持ちには気づかない(愛し方をしらないので)のですが、求め、心の目でサロメを見ているような気がします。
 
そうそう話が飛びますが、若いシリア人が銃で自殺をしたのですが、原作では「剣で自らを刺し、」とあります。これは亜門サロメが現代というか近未来的美術なので剣では合わないから、ということのようです(by山口馬木也さん)。銃声が効いていますよね。
 
 
とここでEURO2012、ウクライナvs.フランス0−0で前半終了。今夜は感想文?(台詞の)に集中しましたが・・文章下手でごめんなさい。