ほらほらコーヒーが冷めちゃってるよ 2

好きな人に伝えたいことはできる限り直接伝えます。都々逸作っています。浦和レッズと演劇と映画と音楽が大好き! 田島亮(・中嶋将人)、成河、亀田佳明、イキウメと浜田信也。演出家・藤田俊太郎を応援しています。小林賢太郎・片桐仁、ラーメンズは永遠に好き。B'z、BrandonBoyd&Incubus、JasonMraz、大橋トリオ、Eddie Redmayne

イキウメ『関数ドミノ』大阪公演★★★★★ 


 ラスト森魚。 森魚って呼んでいいって言ってましたから。(ナースの澤村さんに)
先に発表しますと『関数ドミノ』。アップデートした新型2014年版『関数ドミノ』が、私の上半期ベスト1です。他にもいくつも好きな作品がありますが、やっぱりオリジナルは最強です。
(23日追記)
あらすじ『ある地方都市で奇妙な交通事故が起こる。見渡しの悪い交差点、車の運転手は歩行者を発見するが、既に停止できる距離ではない。しかし車は歩行者の数センチ手前で、まるで透明な壁に衝突するように大破した。歩行者は無傷。幸い運転手は軽傷だったが、助手席の同乗者は重傷。目撃者は六人。保険調査員の横道はこの不可解な事故の再調査を依頼される。改めて当事者と目撃者が集められた。そこで目撃者の一人が、これはある特別な人間「ドミノ」が起こした奇跡であると主張する。彼の発言は荒唐無稽なものだったが、次第にその考えを裏付けるような出来事が起こっていく。』
 
彼・・真壁は「ドミノ」を証明するために「盗聴」という手段をとる。舞台の真ん中に真壁の部屋(部屋だとわかるものはない一段低い四角い床)その四角い面を囲む枠が道になっている。その枠の外にはテーブルセットや机、ソファ、喫茶店らしいテーブルセットなど。事故現場や彼が「ドミノ」だと思っている左門森魚の部屋や立ち寄る場所や病院などになります。森魚が動くたびに真壁の視線も動く。真壁の視線は最初から森魚にしか向けられず、奇妙な交通事故を目撃したひとり登呂さんが「すごいものを見ちゃったかなと思いました」と言ったときの真壁のニヤニヤぶり。森魚にいいこと(ドミノらしく)が起こるとまるで鬼の首をとったように喜ぶ真壁は気持ち悪さ全開です。
 
初日前日のABCホールのスタッフブログ『イキウメさん、今朝小屋入りされ、仕込み真っ最中です■前回の『片鱗』に続き、今回の作品でも、当ホールの箱馬と平台で組まれた仮設舞台が完全に取り払われました。ホールの床面が露出し、これから独自の舞台作りが始まるところ。さてどんな美術が出来上がるのでしょう■イキウメの代表で作・演出を務める前川さんが構築する舞台は平面をうまく使うなあ、と毎回思います。舞台上に人が乗る高い構築物が立つことはまずない。俳優はほぼ2次元の舞台面を移動します。場面によって、その座標軸は揺れ動く、つまり、舞台上のある地点が作品内で表現する場所や時間は目まぐるしく変化し、それは小劇場演劇において常套手段には違いないのですが、そこに曖昧さ、分かりにくさが一切ない。誰にも分かるように空間が変容し、場面が変化する。当然のことみたいですが、ダメ観客(?)の僕は、観劇中しばしば「え!?いつの間に場面が転換したの?」なんて置いてけぼりを食らうことがあるので、イキウメのこういう丁寧な作品作りは本当に大好きなのです』http://blog.asahi.co.jp/abchall/2014/06/post-688.php
 
前のほうの席だったからかもしれませんがシアタートラムは舞台を見上げますが、ABCホールは客席から舞台を見下ろすかたちになるので(私が座った最前列からも)奥までしっかり見えるので奥行きが広く、天井が高く感じました。いつも思うけれど、劇場が違うと体感が変わるから大変そう・・私だったらぶつかったり踏み外したりしそう。1回くらいしか通してやる時間なさそうなのにーー。全員が同じ方向を向いていないと呼吸があわなそうです。
ABCホールの壁は反響しないで音が吸い込まれてしまうらしく声を張るので大変らしいです。ABCでの3回でトラムの一週間分疲労するって。大阪が終わったら新潟まで少し時間が空くので声と体を休ませてあげてほしいですね。
ABCスタッフブログさんが言うように今回も場面転換がさりげない。人と人が交錯して夜が昼、部屋から街頭へ。いつのまにか「おやすみなさい」から「こんにちは」へ。座標軸は刻々と変わっていきます。照明が当たらない人物たちが生活していると同時にさりげなく小道具を次の準備のため動かしていたり。
(私は森魚が指を鳴らして場面が変わるところが好き)(森魚のペン回しも好き←転換全く関係なし)
   
           なんかダラダラ収集が着かなくなってきました。
 
「この弟ふつうに駄目でしょ」調査員の横道さん、いつも的を得てます。「面白いことに今のところほぼ、真壁さんの思い通りになっているんですよ」←森魚を指して言った言葉ですが、最後に繋がっているよね。でも、それ以前にドミノは幻想なんだろうけれど・・と思わせての、あのラスト。ヒッチコック劇場だとかミステリーゾーン的なハッピーじゃない背筋が凍るラストでした。泣くほど怖いけれど嫌いじゃないです。
 
泣くといえば・・大阪でも「真壁が創り上げた森魚じゃない本来の森魚」に戻ったときの森魚の言葉に涙腺崩壊。
 
森魚を演じた浜ちゃんは大変だっただろうなぁ(安井さんの真壁もだけど)だって他の登場人物と同じ次元を生きる森魚と別次元を生きる森魚を演じなければいけなかったから・・しかも真壁の妄想する森魚は「へんな動き」をするのだから。セリフと連動していないあの右手の指。私に伝染します。シンプルだけど、インパクト大ですよね。

関数ドミノ的*まとめ
プレビュー公演初日 http://d.hatena.ne.jp/Magnoliarida/20140525/1401027260
2回目 http://d.hatena.ne.jp/Magnoliarida/20140530/1401466480 
3回目 http://d.hatena.ne.jp/Magnoliarida/20140607/1402158135
東京千秋楽 http://d.hatena.ne.jp/Magnoliarida/20140615/1402844868